ついにオリンパスのハイエンドモデル「OM-D E-M1X」が発売されましたね。細かいレビューは後日として、まずは新機能である「ライブND」を実際に使ってその効果を確かめてみました。色々と制限やデメリットはありますが、使えるシーンではなかなか便利な機能。
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ライブNDを試す
ライブNDとは?
撮影メニュー2に加わった新しい機能。
カムコーダーやコンパクトデジタルカメラに内蔵されている「電子ND」とは全くの別物。(電子)NDフィルターが実際に露光時間を延ばすのに対し、ライブNDは間髪置かずに連写したイメージをコンポジット(合成)して露光時間を延ばしたかのように見せる技術。
ライブコンポジットと似たような機能ですが、ライブNDはシャッタースピードと疑似ND濃度(おそらく合成枚数:後述)を微調整出来るのがポイント。
RAW出力に対応しているので思ったよりも実用的な機能です。
ND濃度
対応する濃度はND2~ND32まで。それぞれ最速シャッタースピードに制限が設定され、ND2=~1/30秒から1段ずつ上限が遅くなっていきます。
ND2 | ND4 | ND8 | ND16 | ND32 |
1/30秒 | 1/15秒 | 1/8秒 | 1/4秒 | 1/2秒 |
ちなみに下限は60秒まで。
性質上、シャッタースピードを撮影者が設定できるマニュアル露出(Mモード)・シャッタースピード優先AE(Sモード)限定の機能です。それ以外のモードでは機能を適用できません。つまり60秒を超えるシャッタースピードやバルブモードには対応していない点に注意が必要です。
ライブビューへの反映
実際にライブビューへ設定値を反映できるのがライブNDのメリット。ただし、シャッタースピードの設定値が遅ければ遅い程反映されるのが遅く、手持ちでは視認するのが難しくなります。遅いシャッタースピードであれば三脚の使用がおススメ。
撮影時にモニター上部にND濃度が表示されます。
実際にライブNDを使ってみる
動画で確認
まずは実際に使った動画を見ていただくのが早いでしょう。
実際はカスタムボタンに「ライブND」を割り当てることでオンオフをボタン一つで操作可能。
ND段数の変更やLVシュミレーションのオンオフはメニュー画面を開く必要があります。このためマイメニューに登録しておくと便利。ライブNDを使う以上は少なからず触る機会が多いはず。
EXIFへの反映
撮影情報にはライブND込みのシャッタースピードが登録されています。E-M1Xならば「ライブND適用」が判断できますが、パソコンなどで見るとライブNDオン・オフは判断出来ません。
今回の動画では基本的なシャッタースピードを「1/6秒」に設定し、ライブNDで徐々にシャッタースピードが1段ずつ遅くしました。
画像を確認
実際に撮影した画像がコチラ
- ライブNDオフ
- ND2
- ND4
- ND8
- ND16
- ND32
細かいことは置いておくとして、実際に被写体がスローシャッターで流したかのようになっていますね。
ライブNDの欠点
(基本的には)コンポジットなので被写体の速度によって合成過程でムラが発生する。今回の作例は特にその傾向が顕著に発生しているので、実際にND16の円形フィルターで撮影した画像を見比べてみましょう。
左(円形ND16 2.5秒露光):右(ライブND16 2.5秒)


違いは一目瞭然。
ライブNDが2.5秒の間にどれだけ露光回数を重ねているのか不明ですが、(1回露光する)シャッタースピードが速すぎて光が線状となっていません。
このため、2.5秒に伸ばしたとしてもムラができるだけで線状には決してならないのです。ND2~32の画像を見比べてみると分かりますが、ムラの程度は一定のためND設定値で(一回あたりの)露光時間に変化は無さそうです。
シャッタースピードを調整する
次にもう少し露光時間を延ばした上でライブNDフィルターのオンオフを撮り比べてみましょう。
今回は円形ND16フィルターを装着した状態で絞り値を使い露光時間を調節
左(円形ND16+F11 10秒 ISO200):右(円形ND16+ライブND8+F4 ISO200)


まだ違いはありますが、ムラが見えずらくなり違和感が緩和しています。
このように被写体の動く速度に合わせて「ライブNDを違和感なく使えるシャッタースピード」を見極める必要があります。
実写
プラレールばかり撮ってるのもアレなので、実際に屋外で使ってみましょう。
左(円形ND16+F8 1秒 ISO64):右(ライブND16+F7.1 1秒 ISO64)


ライブND16は(これまでのテストを考慮すると)恐らく15コマ程度をコンポジットした1秒露光、つまり1/15秒の15コマ合成となっていますが円形フィルターとぱっと見比べても違和感がありません。
円形フィルター(marumi DHG ND16)が色被りしているのに対し、フィルター無しのライブNDはニュートラルな発色となっています。ライブNDには欠点がありますが、色被りしなかったり、オートフォーカスに影響が無かったりと長所もあるようです。
ノイズ低減
コンポジットなのだから、RAW現像時にノイズ低減効果が見込めるはず…と思ったので実際にRAWファイルを操作して確認。


ご覧の様に「E-M1Xが持つダイナミックレンジ内であれば」カラーキャストが大幅に低減され、使える画質を保っています。上の画像は極端にシャドーを持ち上げているので、実際は問題無く快適に利用できると思われます。
まとめ
ライブNDの特徴と恩恵
特徴
- 基本的にコンポジット画像
- RAW出力対応
- シャッタースピード調整対応
- S・Mモード限定の機能である
- 最高シャッタースピードはND2~32で1/30秒~1/2秒
- 元となる露光時間は(推定)1/60秒~30秒
- 被写体速度と露光時間のバランスよってはムラができる可能性あり
- EXIFにはライブND込みの設定値が反映される
- コンポジットのため線状の光の輝度が低下する場合がある
恩恵
- 絞り値とISO感度の自由が向上する
- 高濃度NDのようなオートフォーカス性能低下が無い
- 高濃度NDのような色被りが無い
- コンポジットRAWのためシャドーのノイズ改善効果がある
シャッタースピードの上限が厳しいので(大口径レンズに対する)減光効果を狙った機能ではない点に注意したい。あくまでもスローシャッターで被写体を流したい時に利用するもの。
今回のテストで判明したように、元となるシャッタースピードによっては被写体にムラができてしまう可能性があります。完全にNDフィルターを手放せるような機能では無く、NDフィルターとライブNDを掛け合わせる必要を感じました。
長秒露光の上限が60秒と使いどころを選びますが、RAW出力に対応している上にノイズ低減効果もあるので編集の柔軟性は高いです。違和感なく使える環境であればおススメ出来る機能です。
今回使用した機材
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