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キヤノン RF16mm F2.8 STM 徹底レビュー 周辺減光・逆光耐性編

キヤノン「RF16mm F2.8 STM」のレビュー第四弾を公開。今回は周辺減光や逆光耐性についてチェックしています。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ちを指す。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となる傾向。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生する。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象だが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離 JPEG:RAW

このレンズは大きな樽型歪曲収差が残っており、デジタル補正前のRAWファイルと補正後のJPEGではフレームの使用領域が異なる(補正後は画角が狭くなる)。未補正の場合は強い樽型の歪曲収差が発生すると共に、隅が真っ黒(ケラレ)になる。これはRF16mm F2.8 STMのイメージサークルが35mmフルサイズセンサーをカバーしていないことを意味している。このレンズで最大の妥協すべきポイント。

絞ってもF22まで解消することは無く、イメージサークルは完全に不足している。このケラレを解消するにはカメラ内の歪曲収差補正か、現像ソフトのレンズプロファイルを適用する、もしくはケラレ部分をトリミングするしかない。
幸いにも周辺減光の影響が強くなく、適切な補正状態であれば影響は最小限で済む。ただし、隅の光量落ちは絞っても解消せず、現像ソフトの手動補正では適切な補正が出来ない。完璧な補正状態には専用の補正データが必要。

無限遠 JPEG:RAW

最短撮影距離と比べるとRAWのケラレが少なく、絞ることで大きく改善する。その一方で周辺減光は最短撮影距離よりも強く、中央から隅に向かって光量の低下が目立つ。これは絞っても改善せず、レンズプロファイルによる補正が必要となる。ただ、(隅に向かって)直線的な周辺減光となっているので手動補正でも綺麗に修正しやすい。

逆光耐性・光条

中央

7群9枚のレンズ構成中にはスーパースペクトラコーティングが施されている。お世辞にも逆光耐性が良好とは言えないが、レンズフレアやゴーストの見栄えは良く、状況によってはフレアがアクセントとなるかもしれない。強い光源の周辺はフレアによってコントラストが低下しているが、光源から離れると、まずまず良好なコントラストを維持しているように見える。
ただし、絞ると状況は悪化し、F8付近からフレアの影響がフレーム全域へと波及する。こうるなると「実用的な画質」とは感じない人が多いかもしれない。

絞り開放はコントラストがまずまず良好に抑えられているものの、絞り始めるとゴーストが顕在化する。やはりF8付近からフレアの影響も強くなっているので、強い光源は極力避けて通りたいところ。

フレーム外の光源について

これまでテストした通り、このレンズはJPEGとRAWで画角が大きく異なる。このため、ライブビュー上(JPEGと同じ画角)で強い光源を回避したつもりでも、実際には(RAW)光源がフレーム内に写りこんでいる可能性がある。このため、強い光源を回避するには、画角の違いを意識して遠ざけておく必要あり。

光条

絞り羽根の枚数は7。この際、絞ると14本の光条が発生する。光条はF4から既に発生し始め、F11~F16でシャープな描写になる。先細りする綺麗な光条であり、低価格な広角レンズとしては強みとなるポイント。

今回のまとめ

マクロ・テーブルフォトの撮影距離ではRAWで周辺のケラレが発生し、遠景・無限遠では強い周辺減光が発生する。どちらにしても適切なソフト補正が必要となる。カメラ出力のJPEGであればケラレ・周辺減光は自動的に補正可能だが、社外製のRAW現像ソフトを使う場合はレンズプロファイルが必須となる。2021年11月現在、Adobe Lightroomにはプロファイルが存在しないため、RAW現像は注意が必要。

逆光耐性はいつものテスト環境でフレアやゴーストが目立つものの、一般的な撮影シーンで大問題となる可能性は少ない。もちろんゼロでは無いので過信は禁物。さらに、このレンズはフードが付属していないので、遮光性を最大化するためには追加投資が必要。残念ながら、レンズの供給不足と共に、レンズフードも入手が困難となっている。既にJJCなどが互換性のあるレンズフードを販売しているので、どうしてもフードが必要であれば要検討。

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前述した通り、ライブビューでは確認できない(RAWの)フレーム内に強い光源が入り込む可能性あり。キヤノンEOS Rシステムのライブビューは基本的に絞り開放となるので、特に絞った際は予想外の影響が発生するかもしれない。撮影前に絞りプレビューなどで撮影状態での影響を確認しておきたいところ。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて

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