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キヤノン RF16mm F2.8 STM 徹底レビュー 諸収差編

キヤノン「RF16mm F2.8 STM」のレビュー第六弾を公開。今回はレンズの色収差や歪曲収差などについてチェックしています。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれを指す。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要。ただしボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できるので、残存していたとして大問題となる可能性は低い。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向がある。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

完璧な補正状態とは言えず、フレーム周辺部には倍率色収差と思われる色ずれが発生している。極端に目立つ収差では無いものの、周辺部を大きくクロップすると目に付く可能性あり。絞りによる大きな変動はなく、F2.8からF22まで一定して存在する。レンズ補正で修正しやすい問題なので、特に心配する必要は無い。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指す。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられる。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところだが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多い。

軸上色収差を完璧に補正しているレンズはピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できる。

参考:Wikipedia 色収差

実写で確認

完璧な補正状態では無く、絞り開放付近ではピント面前後の高コントラスト領域で収差が発生している。一般的な撮影シーンで目立つ収差の量では無いが、例えば水面の反射などでは少し目立つかもしれない。F5.6まで絞ると、ほぼ完璧に収差を抑えることが可能。

球面収差

ピント面前後の玉ボケについて、描写の大きな違いは見られない。球面収差は良好に補正されていると思われる。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうことを指す。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれる。

参考:Wikipedia 歪曲収差

比較的補正が簡単な収差だが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となる。

実写で確認

このレンズにおける欠点の一つ。
光学的に恐ろしいほど大きな歪曲収差が残っている。カメラ内で現像すると、適切な歪曲補正により自動的に歪みが解消、JPEG出力では歪みを知覚することが出来ないレベルまで抑えられている。ただし、強い歪曲補正が適用されるので、周辺部の解像感は必然的に低下する。
社外製RAW現像ソフトなどは自動補正が適用されないので、歪曲を補正する手段が必要。大きな樽型歪曲で、陣笠状の歪みも見られるので手動による補正は難しい。出来れば専用のレンズプロファイルを使用したいところ。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指す。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある。

参考:Wikipedia コマ収差

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる。

実写で確認

絞り開放では典型的なコマ収差が残存している。収差の量は驚く程ではないものの、周辺部の画質低下の要因となっているのは間違いない。1段絞ると改善し、F5.6~F8でほぼ完璧に抑えることが出来る。周辺部の点像再現性を重視するのであれば、少なくともF2.8は避けたほうが良い。

今回のまとめ

最も気を付けたいのは巨大な歪曲収差。まるで魚眼のように歪みので、直線的な被写体が写る場合は修正が必要と感じると思う。キヤノン謹製のカメラ・現像ソフトであれば、自動補正されるので問題ない。しかし、レンズプロファイルに対応していない、社外製RAW現像ソフトでは問題に直面する。また、手動補正必須にも関わらず、陣笠状の歪みにより手動補正で完璧に修正するのは難しい。満足のいく結果を得るためにはレンズプロファイルが必要となる。

歪曲収差の補正が必要無いと感じた場合、通常よりも広い画角で超広角を楽しむことが可能。ただし、カメラのライブビューは常に歪曲収差の補正が適用される。RAWの構図を確認するのは難しい。
もう一つ注意点があるとすれば、ライブビューでは確認できない領域まで撮影しているので、意図せずに強い光源がフレームに入っている可能性あり。この場合、レンズフレアやゴーストの発生原因となる可能性がある。また、歪曲収差補正に切り取られる部分は収差が非常に強くなるので、画質的には厳しい。

歪曲収差以外で気になる問題があるとすれば、絞り開放のコマ収差。周辺部から隅の解像感・コントラストに影響するので、特に撮影距離が長い場合はF5.6付近まで絞ったほうが良い結果を得られる場合が多い。(フォーカスブリージングにより、ピント位置で画角が変化するため。無限遠側で最も画角が広がり、周辺部の収差が目立つ)
とは言え、超広角で四隅の画質を気にする機会は少ないと思う。F2.8がまったく使えない画質でも無いので、場合によっては積極的にF2.8を使うのも一つの手段。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて

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