度重なる衝動買いの結果、異なるマウントのフルサイズミラーレス用35mm単焦点レンズ「RF35mm F1.8 IS STM」「FE 35mm F1.8」が防湿庫に生えてきました。そこで今回は「どちらを手放すか?」を念頭に置いてじっくり2本のレンズを撮り比べてみたいと思います。
Index
レンズのおさらい
発売日と価格
? | RF35mm F1.8 IS STM | FE 35mm F1.8 |
発売日 | 2018-11-15 | 2019-8-30 |
初値 | ?61,838 | ?67,613 |
実勢価格 (Amazon) |
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対応マウント | キヤノンRFマウント | ソニーEマウント |
どちらもここ最近登場したフルサイズミラーレス用の広角単焦点レンズ。ソニーでは長いこと不在だった定番レンズですが、キヤノンはRシステム始動と同時に投入してきました。
価格は僅かにFE35mmのほうが高く、さらにRF35mmはEOS RPのキットレンズとして手頃価格で手に入れることが出来ます。
RF35mm F1.8 MACRO IS STM | ||||
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FE 35mm F1.8 | ||||
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仕様の確認
同じ焦点距離・明るさのレンズですが、コンセプトは全く異なっています。ソニーFE35mm F1.8は比較的スタンダードな35mmであるのに対し、キヤノンRF35mm F1.8は接写性能を重視した珍しい大口径レンズに仕上がっています。
フォーカス駆動はギアタイプのSTMを採用したRF35mmとリニアモーターを採用したFE35mmで少し挙動が異なります。フォーカス速度はインナーフォーカス+リニアモーターのFE35mmがやや有利ですが、電源オフ時にフォーカスレンズが固定されないので振動で前後に動きます。直ちに故障へ繋がるものとは思いませんが、個人的に気になるところ。
RF35mmは特許を見る限り、後群のレンズ2枚を残して全て前方へ繰り出すフォーカス方式。当然ながらより少なく軽量なフォーカスレンズを移動するFE35mmよりフォーカス速度は遅いです。その一方、大胆にレンズを動かすことで近接時の収差変動を効果的に抑えている印象。
FE35mm F1.8はレンズフード同梱、RF35mm F1.8は別売りとなっています。アコギな商売しやがって…。
RF35mm F1.8 IS STM | FE 35mm F1.8 | |
レンズ構成 | 9群11枚 非球面1枚 |
9群11枚 非球面1枚 |
絞り羽根枚数 | 9枚(円形絞り) | 9枚(円形絞り) |
最小絞り | 22 | 22 |
最短撮影距離 | 0.17m | 0.22m |
最大撮影倍率 | 0.5倍 | 0.24倍 |
フィルター径 | 52mm | 55mm |
最大径×長さ | φ74.4×62.8mm | φ65.6×73.0mm |
質量 | 305g | 280g |
レンズフード | 別売り | 同梱 |
手ぶれ補正 | ハイブリッドIS | - |
駆動方式 | STM(ギア) | リニアモーター |
フォーカス方式 | 前群繰り出し | インナー |
防塵防滴 | - | 配慮した設計 |
外観・操作性
全体的なレンズサイズはほぼ同等。レンズキャップ抜きの状態ではFE35mm F1.8のほうが少し長く、RF35mm F1.8のほうが少し太い鏡筒。重量は僅かにRF35mm F1.8のほうが重いものの、手に取って判断できない程度の差と言えるでしょう。
外装はプラスチック製のRF35mmに対してFE35mmは金属製。素材は異なりますが、どちらもボディに合う外観となっています。
レンズフードはねじ込み式フジツボタイプのコンパクトなRF35mmに対して、FE35mmはスタンダードなバヨネット花形タイプ。RF35mmはフィルター枠にねじ込むタイプなので、フィルター交換時は多少の手間が掛かります。その反面、C-PLや可変NDを操作する時はレンズフードごと操作できるので便利。
どちらもAF/MF切替スイッチを搭載。RF35mm F1.8は光学手ぶれ補正を搭載しているので、手ぶれ補正のオンオフも可能です。
補助的な操作として、RF35mm F1.8は絞りや露出補正を操作できるコントロールリング、FE35mm F1.8はカスタマイズ可能なフォーカスホールドボタンを搭載しています。
レンズフードを装着した場合、フジツボタイプのRF35mmのほうが収納性に優れています。ただし、使用時(特に接写時)は内筒が伸びるのでぶつけ無いように注意が必要。防塵防滴仕様でも無いので悪天候での運用は難しいかも。
実写テスト
遠景解像
中央
解像性能で特に大きな差はありません。絞り開放からどちらも良好、2400?3000万画素のカメラでは絞ってもあまり変化なし。
軸上色収差の補正は僅かにFE35mm F1.8のほうが良好に見えますが、光条件が一定では無いので評価が難しいところ。
四隅
四隅の解像性能は明らかにRF35mm F1.8のほうが良好。3000万画素のEOS Rだから、と言う訳では無くFE35mm F1.8の四隅は少し低コントラストでヌケが少し悪い感じ。
絞るとどちらも改善するので結果的に最後までRF35mm F1.8のほうが良好な結果となります。
ボケ1
全体 F1.8
特にこれと言った差は無し。どちらもまずまず綺麗なボケですが、四隅のボケが荒れやすいのが難点。
中央クロップ
FE35mm F1.8は球面収差が綺麗に補正されている反面、ニュートラルなボケで背景が少し騒がしい。一方、RF35mm F1.8は後ボケ重視で比較的柔らかい描写。ただし、あおりを受けて前ボケはFE35mm F1.8より騒がしい。
RF35mm F1.8は固い前ボケにより、軸上色収差による色づきが目立ちやすい場面があるかもしれません。
ボケ2
全体 F1.8
小ボケ領域が増えるとFE35mm F1.8の後ボケが少し騒がしく見えます。相変わらず四隅の描写は同程度。
中央クロップ
ボケ質の違いは見て取れるものの、正直に言えば誤差の範囲。やはり撮影シーンによってFE35mm F1.8の後ボケや、RF35mm F1.8の前景に色づく軸上色収差が目立つ可能性はあります。
口径食の影響
どちらも似たような影響を受けていますが、影響の度合いRF35mm F1.8のほうがやや大きめ。
最短撮影距離・最大撮影倍率
RF35mm F1.8は「マクロ」と冠され、最大撮影倍率0.5倍と伊達じゃない性能。近接時の収差変動も少なく、かなり安定した接写撮影が可能となっています。
一方のFE35mm F1.8も寄れる35mmではありますが、周辺?四隅の描写が荒れやすい。しっかりと解像させるためにはF5.6~F8まで絞りたいところ。
近接解像性能
RF35mm F1.8は絞り開放から良好なパフォーマンスを発揮していることが分かります。ほぼ全群繰り出し式のフォーカス駆動は伊達じゃない。
その一方、FE35mm F1.8はフレーム全域の画質を考慮する場合は少なくともF4まで絞って撮影する必要があります。
逆光
どちらも抜群に良いとは言えませんが、まずまず良好な逆光耐性です。今回のテストではRF35mmのほうが僅かにフレア耐性が低いように見えます。
F1.8
F22
コマ
どちらも絞り開放付近はそこそこ目立つコマ収差が発生。お世辞にも良いと言える結果ではありません。F2.8まで絞るとFE35mm F1.8は改善し、RF35mm F1.8はさらにもう1段絞りたいところ。
以下の作例で示したように、木漏れ日をはじめ、夜景・イルミネーション・天体など点光源が多い場合には気を付けたほうが良いでしょう。
オートフォーカス
ギア式STMのレンズ繰り出し式のRF35mmとリニアモーター駆動のインナーフォーカスを採用したFE35mm F1.8で差が出るのは当然。しかし、RF35mm F1.8が思ったよりも健闘しています。
今回のおさらい
甲乙つけがたい、というのが正直なところ。どちらを買っても満足いくパフォーマンスだとは思います。基本的に描写性能で大きな違いは無いので使い勝手で選ぶと良いでしょう。
RF35mm F1.8 STMは非防塵防滴でレンズ繰り出し式のフォーカス駆動ながら、安定した解像性能で接写性能が非常に高い。レンズにスピードを求めなければ個人的にはコチラが好み。
FE35mm F1.8はインナーフォーカスの高速AFを備え、防塵防滴、そつのない光学性能のレンズ。RF35mmほど際立った個性は無いものの、比較して子供など動く被写体やスナップ、ストリートフォトと相性が良い。
RF35mm F1.8 MACRO IS STM | ||||
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FE 35mm F1.8 | ||||
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