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TTArtisan AF 56mm F1.8 X-mount レンズレビュー Vol.3 諸収差編

銘匠光学「TTArtisan AF 56mm F1.8」富士フイルムXマウント用のレビュー第三弾を公開。価格を考慮すると良好な色収差補正を実現しているポートレートレンズのようです。

TTArtisan AF 56mm F1.8のレビュー一覧

    おことわり

    今回は国内代理店より無償提供の「TTArtisan AF 56mm F1.8」を使用してレビューしています。提供にあたりレビュー内容の指示や報酬の受け取りはありません。従来通りのレビューを心がけますが、無意識にバイアスがかかることは否定できません。そのあたりをご理解のうえで以下を読み進めてください。

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    像面湾曲

    像面湾曲とは?

    ピント面が分かりやすいように加工しています。

    中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

    最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

    ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

    参考:ニコン 収差とは

    実写で確認

    中央にピントを固定した状態で、F1.8からフレーム全体でピントを合わせることができるように見えます。ただし、F1.8からフレーム全体でシャープなレンズとは言えず、隅まで良好な結果を得るにはF8くらいまで絞る必要があります。

    倍率色収差

    倍率色収差とは?

    主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

    参考:ニコン 収差とは

    実写で確認

    絞り全域で良好な補正状態。追加の補正は特に必要ないように見えます。

    軸上色収差

    軸上色収差とは?

    軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

    参考:ニコン 収差とは

    実写で確認

    ピント面の直前・直後にわずかな色づきが発生するものの、低価格の大口径レンズとしては良好な補正状態です。完璧ではありませんが、価格を考慮すると文句のつけようがありません。

    歪曲収差

    歪曲収差とは?

    歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

    参考:ニコン 収差とは

    比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

    実写で確認

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    未補正状態でごく僅かな樽型の歪曲収差。この状態でも目障りと感じることはほとんどありません。

    コマ収差

    コマ収差・非点収差とは?

    コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

    参考:ニコン 収差とは

    絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

    実写で確認

    フレーム隅に点光源のわずかな変形がみられ、これはF4-5.6まで絞ると改善します。絞り開放でも無視できる範囲内ですが、点像にこだわる場合、このレンズは選択肢から外したほうが良いでしょう。

    球面収差

    前後のボケ質に大きな差はなく、良好な補正状態であることがわかります。この価格帯のレンズとしてはかなり良好。あえて言えば、前ボケの縁取りが若干強めですが、ボケの味付け程度。

    まとめ

    低価格の大口径レンズながら、色収差が良く抑えられています。完璧ではないものの、目立つ場面が少なく、大部分のシーンでF1.8を快適に利用することができます。歪曲収差や球面収差の補正状態も良好。像面湾曲は問題ないように見えますが、フレーム隅がソフトな画質となります。非点収差やコマ収差の影響のと思われ、これを改善するにはかなり絞る必要があります。このようなレンズでフレーム隅までシャープな結果を求める撮影は珍しいと思いますが…。低価格のポートレートレンズとして、補正すべきところはきちんと補正している印象。価格を考慮するとコストパフォーマンスの高いレンズと感じることでしょう。

    購入早見表

    TTArtisan AF 56mm F1.8
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