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VILTROX AF 16mm F1.8 レンズレビューVol.4 諸収差編

VILTROX AF 16mm F1.8」のレビュー第四弾を公開。今回は色収差や歪曲収差など各収差を恒例のテスト環境でチェックしています。

VILTROX AF 16mm F1.8のレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

像面湾曲の影響は小さく、F1.8から遠景のパンフォーカスが可能となっています。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

とても良好に補正されています。6100万画素のα7R V使用時にフレーム隅を拡大しても目に見える色収差は確認できません。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

最小限に抑えられ、F1.8の絞り開放から目立ちません。とても良好な補正状態です。

球面収差

 

 

前後のボケ質に大きな違いはありません。軸上色収差のテストから分かるように、顕著なフォーカスシフトも無し。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

スライドショーには JavaScript が必要です。

未補正のRAWでは陣笠状の歪みを伴う僅かな樽型。ミラーレス用の超広角レンズとしては非常に良好な補正状態です。このままでも十分良好ですが、Adobe Camera RAWにはレンズの補正用プロファイルがあるので適用可能。ただし、僅かに過補正の糸巻き型となってしまいます。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

完璧とまではいかないものの、F1.8から目立たない程度に補正されています。絞ると徐々に改善し、F4でほぼ解消。

まとめ

フルサイズに対応する大口径の超広角レンズとしては手ごろなサイズ・価格ですが、諸収差は全体的に良好な補正状態です。ミラーレス用レンズはカメラ側のレンズ補正に依存する場合が多々見られるものの、VILTROX AF 16mm F1.8 FEは倍率色収差や歪曲収差などが犠牲となっておらず、光学的な補正にこだわっている模様。未補正のRAWでも快適に利用することが出来るため、カメラや現像ソフトを選ばずに使用することが出来ます。倍率色収差や軸上色収差の補正状態も非常に良好。F1.8から快適に利用できるうえ、像面湾曲やコマ収差も良く抑えられているので夜景や星景の撮影にも利用しやすい性能。安い時には6万円前後で入手できる16mm F1.8の光学性能としては十分以上の価値があると言えるでしょう。

購入早見表

VILTROX AF 16mm F1.8
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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