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VILTROX AF 16mm F1.8 レンズレビューVol.5 ボケ編

VILTROX AF 16mm F1.8」のレビュー第五弾を公開。今回は前後のボケ質差や玉ボケの形状と絞り羽根の影響、撮影距離を変化した場合のボケ質などをチェックしています。

VILTROX AF 16mm F1.8のレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

実写で確認

前ボケが滑らかであるいっぽう、後ボケは縁取りが硬めで2線ボケの兆候あり。背景が少し騒がしいと感じる場合はF2.8くらいまで絞って残存する球面収差を収束したほうが良いかもしれません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

非球面レンズの研磨状態がお世辞にも良いとは言えず、玉ボケがムラ(いわゆる玉ねぎボケ)が目立ちます。また、ボケは縁取りが強く、残存する色収差が悪目立ちするのが欠点。絞ることで描写が改善する場合もありますが、玉ねぎボケは解消しません。

ボケ実写

近距離

16mmの超広角レンズながら、開放F値がF1.8と大口径。被写体に接近することで背景を十分にぼかすことが出来ます。この際の後ボケは縁取りが強いものの、パッと見は悪くない描写。とは言え、細部をよく見てみると、縁取りが強く、隅に向かって色ずれが目立つようになります。

中距離

撮影距離が長くなると全体的にボケが騒がしくなります。とは言え、ボケが小さいのでぱっと見はそこまで悪目立ちしません。APS-Cクロップなどで大きく拡大する場合は注意したほうが良いでしょう。F2.8くらいまで絞ると中央から広い範囲は少し落ち着いた描写となります。

 

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、F1.8を使って撮影した作例が以下の通り。
フレームに全身を入れるとほとんどボケません。膝上で背景がわずかにボケ始め、上半身~バストアップで被写体が背景から分離し始めます。全体的に後ボケが硬調。これはこれでアリと感じる場合もありますが、少なくとも背景が溶けるような滑らかな描写ではありません。

まとめ

良好なビルドクオリティや解像性能、諸収差の補正状態を高く評価してきました。全体的におススメしやすいレンズですが、注意すべきポイントがあるとすればボケの質感。超広角レンズで重視するポイントではないものの、もしもポートレートなどで使用する場合はいくつか注意点があります。2線ボケの兆候が見られる背景の描写、玉ねぎボケの兆候が見られるレンズの研磨状態、フレーム周辺部に発生する色収差など。致命的な問題とは感じませんが、ベストな選択肢とは言えないかもしれません。とは言え、超広角でボケ質が綺麗で高性能なレンズは貴重。特に10万円以下で手に入る「16mm F1.8」にボケ質まで求めることは出来ません。それに、質感にこだわらなければ、実写で問題と感じるシーンは多くないはず。イルミネーションなど玉ボケが大きく、多く発生する場合のみ注意が必要かなと思います。

購入早見表

VILTROX AF 16mm F1.8
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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