「VILTROX AF 35mm F1.7」のレビュー第五弾 ボケ編を公開。大きな弱点が無く、低価格ながら扱いやすい大口径レンズのボケ質となっています。
簡易的なまとめ
2万円台の35mm F1.7としては非常に良好。滑らかな後ボケ、玉ねぎボケが目立たない、多くのシーンで縁取りが目立ちにくい、色収差が少ない、などなど。APS-Cの標準レンズでコストパフォーマンスの高いボケが得たい場合、真っ先におススメできる製品。
As a 35mm F1.7 lens in the $200 price range, it performs exceptionally well. It offers smooth background blur, minimal onion-like bokeh, low edge sharpness in many scenes, and minimal chromatic aberration. For those seeking a high-performance bokeh at an affordable price with an APS-C standard lens, this is the product we highly recommend.
VILTROX AF 35mm F1.7のレビュー一覧
- VILTROX AF 35mm F1.7 レンズレビューVol.5 ボケ編
- VILTROX AF 35mm F1.7 レンズレビューVol.4 諸収差編
- VILTROX AF 35mm F1.7 レンズレビューVol.3 遠景解像編
- VILTROX AF 35mm F1.7 レンズレビューVol.2 解像チャート編
- VILTROX AF 35mm F1.7 レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
Index
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。
後ボケ
ボケの縁取りが弱く、柔らかい印象を受ける描写。ニュートラル寄りですが、後ボケの質感が少し良好と言えるでしょう。35mm F1.7で前ボケを入れる機会が少ないと思われるので、良いバランスだと思います。軸上色収差の影響も少なく、とても良好。
前ボケ
後ボケと比べると、やや硬めのボケ描写。極端ではなく、複雑な前景を入れる機会が無ければ無視できる程度。色収差の影響も目立ちません。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
- 影響が強い
- 影響が弱い
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
- 前ボケ
- 後ボケ
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
実写で確認
中央は良好ですが、フレーム隅に向かって口径食とボケの縁取りが目立ちます。ただし、色収差の影響は良く抑えられています。非球面レンズによる玉ねぎボケはほとんど無く、価格帯を考慮すると優れた結果。
F2.8まで絞ると、口径食や縁取りを大幅に低減することが出来ます。この際も玉ボケは円形を維持しており、心地よい描写。
ボケ実写
至近距離
微ボケの質感を議論するほど細部の描写は目立ちません。大きなボケは全体的に滑らかで文句なし。絞っても滑らかな描写を維持しています。
近距離
撮影距離が少し長くなっても、全体的に滑らかで綺麗。フレーム隅で口径食や縁取りの影響が僅かに見られるものの、「非常に良好」という評価は覆りません。
中距離
さらに撮影距離が長くなると、フレームの端や隅で口径食と縁取りが目立つようになります。ただし、「悪目立ち」と表現するほどでもなく、快適に利用できる描写。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。
フレームに全身を入れるほどの撮影距離ではボケが小さく、被写体を背景から分離しにくい。ただし、ボケ質は良好で、フレーム中央から端まで違和感はありません。この価格帯のレンズとしては予想外に良好。撮影距離を短くすると、文句なし。
まとめ
2万円台の35mm F1.7としては非常に良好。滑らかな後ボケ、玉ねぎボケが目立たない、多くのシーンで縁取りが目立ちにくい、色収差が少ない、などなど。APS-Cの標準レンズでコストパフォーマンスの高いボケが得たい場合、真っ先におススメできる製品。
撮影距離が長い(ボケが小さくなる)場合も特に大きな問題が見当たりません。状況によってはフレーム隅で縁取りや口径食が少し目立つかもしれませんが、弱点と指摘するほどの問題とはなりません。
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