「VILTROX AF 56mm F1.2 Pro」のレビュー第四弾 諸収差編を公開。
製品提供について
このレビューは映像嵐株式会社より無償提供(2週間)された製品を使用しています。
金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。2週間と短い試用期間、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。
簡易的なまとめ
大口径レンズで問題になることが多い色収差をよく補正しています。アポクロマート設計と言えるほどではないものの、大部分の撮影シーンで問題を感じないはず。同様に像面湾曲や歪曲収差も良好な補正状態です。
気を付けたいのは絞った際に発生するフォーカスシフト。絞り開放測距となるAF-SでF1.4を使用すると、微妙にピントが外れた写真となる可能性があります。F1.4以上に絞るか、MFで実絞りのピント合わせがおススメ。
フレーム隅の点像再現性も微妙に良くないですが、細部を気にしなければ無視できる程度。
It effectively corrects chromatic aberration, a common issue with large-aperture lenses. While not quite apochromatic, it should perform well enough for most shooting scenarios. Similarly, it provides excellent correction for field curvature and distortion.
One thing to watch out for is focus shift when stopping down. Using AF-S at F1.4, which focuses at the maximum aperture, may result in photos with slightly off focus. It's recommended to stop down beyond F1.4 or use manual focus (MF) to focus at the actual aperture setting.
Point image reproduction in the frame corners is also slightly subpar, but it's negligible if you don't mind minor details.
VILTROX AF 56mm F1.2 Proのレビュー一覧
- VILTROX AF 56mm F1.2 Pro レンズレビューVol.4 諸収差編
- VILTROX AF 56mm F1.2 Pro レンズレビューVol.3 遠景解像編
- VILTROX AF 56mm F1.2 Pro レンズレビューVol.2 解像チャート編
- VILTROX AF 56mm F1.2 Pro レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
Index
像面湾曲
像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。
中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。
実写で確認
絞り開放 F1.2から像面湾曲の影響は目立ちません。
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。
- 良好な補正
- 倍率色収差あり
実写で確認
絞り全域で倍率色収差は良く補正されています。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。
実写で確認
完璧な補正状態ではないものの、F1.2の大口径レンズとしては良好。僅かに色収差が残存していますが、実写で問題となる可能性は低い。
作例を見ると、絞っても手前の被写界深度が広がっていないことが分かります。これはピントの山が後方へシフトしているため。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
- 糸巻き型歪曲
- 適切な補正
- 樽型歪曲
比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。
実写で確認
穏やかな糸巻き型歪曲が発生。無視できる程度。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。
- 良好な補正状態
- 悪い補正状態
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。
実写で確認
フレーム全体からすると軽微な影響ですが、細部を拡大すると収差の影響は明らか。絞ることで改善しますが、F2.8まで絞っても完璧ではありません。
球面収差
まとめ
良かったところ
ポイント
- 像面湾曲の影響が目立たない
- 軽微な軸上色収差
- 倍率色収差の影響が目立たない
- 穏やかな歪曲収差
大口径レンズで問題になることが多い色収差をよく補正しています。アポクロマート設計と言えるほどではないものの、大部分の撮影シーンで問題を感じないはず。同様に像面湾曲や歪曲収差も良好な補正状態です。
悪かったところ
ポイント
- フレーム隅にコマ収差の影響
- フォーカスシフトの影響
気を付けたいのは絞った際に発生するフォーカスシフト。絞り開放測距となるAF-SでF1.4を使用すると、微妙にピントが外れた写真となる可能性があります。F1.4以上に絞るか、MFで実絞りのピント合わせがおススメ。
フレーム隅の点像再現性も微妙に良くないですが、細部を気にしなければ無視できる程度。
購入早見表
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