「VILTROX AF 56mm F1.2 Pro」のレビュー第一弾 外観・操作・AF編を公開。金属外装の良好な作り・操作性に加え、ボイスコイルモーターによる高速AFが印象的でした。
製品提供について
このレビューは映像嵐株式会社より無償提供(2週間)された製品を使用しています。
金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。2週間と短い試用期間、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。
簡易的なまとめ
VILTROX Proシリーズらしく、優れた作りと操作性のレンズ。防塵防滴やボイスコイルモーター駆動のAFを含めて全体的に高水準。中国レンズメーカーとしては頭一つ抜けたクオリティであり、これを10万円以下の価格設定でリリースできるのは驚異的。
主な欠点はF1.2レンズらしく大きく重いこと。このレンズが対応するEマウントやXマウントは特にグリップの小さなモデルが多いため、アンバランスと感じることが多いと思います。
リバースエンジニアリングのためか、拡大AFやC-AFの動作が完璧ではありません。将来的にファームウェアアップデートで改善するかもしれませんが、互換性が保証されているわけではない点に注意が必要です。
True to the VILTROX Pro series, this lens boasts excellent build quality and operability. It maintains a high standard overall, including dust and splash resistance and voice coil motor-driven AF. As a Chinese lens manufacturer, it stands head and shoulders above the rest in quality, and releasing it at a price point under ¥100,000 is nothing short of astonishing.
The main drawback is its size and weight, typical of an F1.2 lens. Since the E-mount and X-mount systems this lens supports often feature models with smaller grips, it frequently feels unbalanced.
Possibly due to reverse engineering, the performance of Magnified AF and C-AF isn't perfect. While future firmware updates might improve this, note that compatibility isn't guaranteed.
VILTROX AF 56mm F1.2 Proのレビュー一覧
Index
まえがき
VILTROX3本目となるAPS-C F1.2 Proシリーズレンズ。
35mm判換算で約85mmに相当する中望遠でF1.2の大口径を実現しています。全体的なデザインは従来通り。ただし、過去2本のレンズはステッピングモーター(STM)を使用していましたが、今回はボイスコイルモーター(VCM)を採用。より高速で滑らかなAFを期待できそうです。
- 発売日:2025.9.1
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主な仕様
同シリーズの「VILTROX AF 27mm F1.2 Pro」とほぼ同じレンズサイズ・重量。APS-C F1.2レンズを揃えるのであれば、面白い組み合わせとなりそうです。
全く異なる光学系ですが、レンズ構成枚数や最短撮影距離などは富士フイルム「XF56mmF1.2 R WR」とよく似ています。
レンズマウント | E / X |
対応センサー | APS-C |
焦点距離 | 56mm |
レンズ構成 | 8群13枚 |
開放絞り | F1.2 |
最小絞り | F16 |
絞り羽根 | 11枚 |
最短撮影距離 | 0.5m |
最大撮影倍率 | 不明 |
フィルター径 | 67mm |
手振れ補正 | - |
テレコン | - |
コーティング | 不明 |
サイズ | Φ78.4mm×92mm |
重量 | 約575g |
防塵防滴 | 対応 |
AF | VCM |
絞りリング | 搭載 クリック切替対応 |
その他のコントロール | AFMF AFLボタン |
付属品 | レンズキャップ レンズリアキャップ レンズフ-ド 収納袋 |
価格のチェック
AF駆動はVCMにアップグレードしていますが、販売価格は他のF1.2 Proと同程度。富士フイルムの競合製品と比べると価格は2/3程度で、手頃な価格で導入できるF1.2レンズとなっています。
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外観・操作性
箱・付属品
これまでのVILTROX製品の箱は白を基調としたデザインでしたが、Proシリーズは黒を基調としたデザインを採用。Labのようなマットブラックではなく、少し光沢のある黒色。外装にはVILTROXのロゴとと共に、レンズ外装の画像がプリントされています。
レンズ本体のほか、レンズフードやポーチ、保証書などが付属。
外観
外装は金属製。フォーカスリングと絞りリングはどちらも金属製で、ゴム製カバーは無し。
デザインはProシリーズで一貫しています。
レンズを前後に倒すと「カタカタ」と音がしますが、これは通電していない時にボイスコイルモータ駆動のフォーカスレンズが固定されていないため。他社でよく見る仕様であり、特に不思議なことではありません。
コントロール以外の意匠は最小限。側面に「Pro」のバッヂを配置しているのみ。マウント付近にはシリアルナンバーなどのシールが張り付けられています。
ハンズオン
75mm F1.2 Proほどではないものの、富士フイルムの56mm F1.2 R WRと比べると少し大きく重めのレンズです。グリップの小さなAPS-Cカメラでは保持が難しい。
VILTROX | FUJIFILM | |
レンズ構成 | 8群13枚 | 8群13枚 |
サイズ | Φ78.4mm×92mm | φ79.4×76mm |
重量 | 約575g | 約445g |
前玉・後玉
67mm径の円形フィルターに対応。富士フイルムと同じサイズであり、このクラスでは一般的。
前玉周辺にはレンズ銘や撮影距離などを白字で記載。個人的に、白字はフィルター装着時に反射で写りこむ可能性があるので好きではありません。
金属製レンズマウントは5本のビスで本体に固定。周囲には耐候性を確保するシーリングとファームウェアアップデート用のUSB-Cポートを備えています。
フォーカスリング
適度な幅の金属製フォーカスリングを搭載。ソニーとよく似た抵抗感ですが比較的重め。回転速度による変化がないリニアレスポンスで動作。再現性が高く、使いやすい。そしてピント全域のストロークが270°ほどあるため、正確な操作が可能です。
絞りリング
感触はシグマのI Seriesとよく似ていますが、クリック感は弱め。クリック無しの無段階操作にも対応しています。
スイッチ類
適度なクリック感のあるFnボタンを搭載。表面はゴム製で深めに押し込むことができますが、動作するまでのストロークは浅い。AF/MFスイッチの操作性に問題はありませんでした。
レンズフード
花形のプラスチック製レンズフードが付属。直毛やゴムカバーはありませんが、本体にしっかりと固定可能。やや深めのレンズフードなので、逆さ付けの時はフォーカスリングが覆い隠されます。
装着例
α7R Vに装着。
APS-C用の中望遠レンズとしては大きく重いものの、F1.2レンズとしては許容範囲内。とはいえ、グリップの大きなカメラと組み合わせて使うことをおススメします。
AF・MF
フォーカススピード
ボイスコイルモーター2基を使用したリニア駆動。至近から遠景へのピント移動は電光石火と言えませんが、ストレスがない程度に素早く動作します。一般的な撮影距離では電光石火と評価できるほど高速。(ただしAF-Cに限る)
AF-S/AF-Cともに問題ありませんが、拡大AFを使用すると動作が不安定。また、被写体検出利用時にAFの挙動がおかしくなる時が稀にありました。このあたりはファームウェアアップデートで改善することを期待。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
皆無ではないものの、目立たない程度に抑えられています。
精度
拡大AFを使わない限り、α7R Vとの組み合わせで問題ありませんでした。
MF
前述したように、約270°のストロークを持つリニアレスポンスのフォーカスリングを利用可能。応答性や滑らかさに問題はなく、近距離チャートテストでの微調整でも問題ありませんでした。
まとめ
良かったところ
ポイント
- AF F1.2レンズとしては低価格
- 金属製のしっかりとした作り
- 防塵防滴
- リニアレスポンスのマニュアルフォーカス
- 絞リング搭載
- 非常に高速なAF
VILTROX Proシリーズらしく、優れた作りと操作性のレンズ。防塵防滴やボイスコイルモーター駆動のAFを含めて全体的に高水準。中国レンズメーカーとしては頭一つ抜けたクオリティであり、これを10万円以下の価格設定でリリースできるのは驚異的。
悪かったところ
ポイント
- 大きく重い
- 拡大AFの動作が不安定
- C-AF 被写体検出時に動作が不安定な場合がある
主な欠点はF1.2レンズらしく大きく重いこと。このレンズが対応するEマウントやXマウントは特にグリップの小さなモデルが多いため、アンバランスと感じることが多いと思います。
リバースエンジニアリングのためか、拡大AFやC-AFの動作が完璧ではありません。将来的にファームウェアアップデートで改善するかもしれませんが、互換性が保証されているわけではない点に注意が必要です。
光学性能は現在テスト中ですが、VILTROX Proシリーズらしく非常に良好です。F1.2から優れた解像性能とコントラストで、ボケは滑らかで綺麗。逆光耐性は状況によってフレアが発生するものの、それ以外は概ね良好な結果が得られています。
購入早見表
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作例
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