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VILTROX AF 56mm F1.7 X-mount レンズレビューVol.4 ボケ編

「VILTROX AF 56mm F1.7」のレビュー第四弾を公開。価格を考慮すると非常によくまとまったボケ描写で、これと言った欠点がなく、かなりおススメしやすいレンズとなっています。

簡易的なまとめ

製品提供を受けている

このレビューはPERGEARより無償提供された製品を使用しています。金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。無料であること、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。

簡易的なまとめ

2万円ちょっとの販売価格を考慮すると、驚くほど良くまとまったボケ描写。ボケに関して弱点と指摘するような部分はなく、快適に利用することが出来ます。接写時の球面収差は好みが分かれるかもしれませんが、絞りで調整することが可能。

ボケに関しては本当にコストパフォーマンスが高く、対応する富士フイルムX・ニコンZの競合製品はかなり厳しい戦いとなりそう。

VILTROX AF 56mm F1.7のレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

滲むようにボケてゆく柔らかい描写。芯が残りにくく、2線ボケの兆候は皆無。色収差によるボケの色づきもなく、非常に使い勝手の良い後ボケとなっています。基本的に後ボケがフレームに入ることが多いと思われ、肯定できるさじ加減の描写。

前ボケ

後ボケとは打って変わって硬調な描写。幸いにも色収差が良く抑えられているため、過度な悪目立ちはしないように見えます。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

玉ボケは滑らかで縁取りが少ない綺麗な描写。倍率色収差と思われる色づきが目立つものの、それ以外は良くまとまっているように見えます。口径食がいくらか発生しており、これはF2.8まで絞るとほぼ解消。

ボケ実写

至近距離

口径食が見られるものの全体的に綺麗で柔らかい描写。ピント面が球面収差の影響が少し滲むため、パンチのある解像感が必要な場合は1~2段絞ると改善します(柔らかい描写もなくなってしまいますが)。

近距離

口径食がさらに強くなるので、状況や好みに応じてF1.7からF2.8までを使い分けるのが良いでしょう。この撮影距離でも球面収差の影響は残っており、ピント面はわずかに滲むような描写。

中距離

このあたりから球面収差の影響は途絶え、開放から見違えたようなシャープネスとコントラストが得られます。後ボケは少し硬調になりますが、それでも悪目立ちしない綺麗な描写。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。フレームに全身を入れるような撮影距離でも、まずまず良好な結果を得ることができます。色収差の影響がほとんどないため、悪目立ちする要素が少ないのもGood。膝上や上半身くらいまで近寄ると、欠点はほとんど目立ちません。

まとめ

2万円ちょっとの販売価格を考慮すると、驚くほど良くまとまったボケ描写。ボケに関して弱点と指摘するような部分はなく、快適に利用することが出来ます。接写時の球面収差は好みが分かれるかもしれませんが、絞りで調整することが可能。柔らかい後ボケのいっぽうで前ボケは硬め。と言っても、硬い前ボケが悪目立ちするシーンは少なく、軸上色収差が良好に補正されていることで、パープルフリンジが発生する可能性は非常に低い。特に心配する必要はありません。ボケに関しては本当にコストパフォーマンスが高く、対応する富士フイルムX・ニコンZの競合製品はかなり厳しい戦いとなりそう。

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