「VILTROX AF 56mm F1.7」のレビュー第二弾を公開。近距離では球面収差が強くなるものの、少し絞れば全体的にシャープな結果が得られるようです。
簡易的なまとめ
製品提供を受けている
このレビューはPERGEARより無償提供された製品を使用しています。金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。無料であること、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。
簡易的なまとめ
撮影距離によって絞り開放の描写が変化するレンズですが、F2.8-4くらいまで絞れば全体的にシャープな結果を得ることができます。至近距離のF1.7-2.0の柔らかい描写は「味」を活かせるスウィートスポットと考えれば、若干ソフトな描写も許容できるかもしれません。
VILTROX AF 56mm F1.7のレビュー一覧
- VILTROX AF 56mm F1.7 X-mount レンズレビュー完全版
- VILTROX AF 56mm F1.7 X-mount レンズレビューVol.5 諸収差編
- VILTROX AF 56mm F1.7 X-mount レンズレビューVol.4 ボケ編
- VILTROX AF 56mm F1.7 X-mount レンズレビューVol.3 遠景解像編
- VILTROX AF 56mm F1.7 X-mount レンズレビューVol.2 解像チャート編
- VILTROX AF 56mm F1.7 X-mount レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:FUJIFILM X-T30
- 交換レンズ:VILTROX AF 56mm F1.7
- パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」 - オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 160 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果
絞り開放付近は球面収差や軸外収差の影響で全体的に低コントラストで解像性能も低め。遠景ではF1.7から良好であることを考慮すると、撮影距離によって収差が変動しやすいレンズのようです。幸いにも、近距離時も絞れば画質が大幅に改善。近距離でもF2.8-4まで絞れば広い範囲でシャープな結果を期待できます。
中央
遠景の撮影で大きな問題はありませんでしたが、至近距離では球面収差が大きくなる模様。ピント面も滲むほどの収差が残っており、コントラストは大幅に低下します。ピントの山は確認できるのでフォーカシングに問題はありません。ただし、開放測距後に絞ることでフォーカスシフトの影響が想定されます。近距離で絞る際はAF-Cを使ったほうが良いかもしれません。
周辺
絞り開放こそややソフトですが、絞ると急速に改善します。F2.8まで絞ってしまえば中央と遜色ないくらいにシャープで、細部までコントラストの高い結果を得ることができます。倍率色収差の影響が若干見られるものの、簡単に補正できるので気にする必要はありません。
四隅
周辺と比べてさらにソフトですが、やはり絞ることで改善が期待できます。F2.8まで絞ってもまだソフトさが残るものの、F4まで絞ると中央や周辺に近い結果を得ることが可能。手頃な価格の中望遠レンズとしては良好な結果と言えるでしょう。
数値確認
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F1.7 | 2871 | 2315 | 1732 |
F2.0 | 3040 | 2463 | 1687 |
F2.8 | 3338 | 3389 | 2636 |
F4.0 | 3352 | 3656 | 3264 |
F5.6 | 3414 | 3648 | 3389 |
F8.0 | 3621 | 3564 | 3364 |
F11 | 3175 | 3239 | 3228 |
F16 | 2865 | 2672 | 2710 |
実写確認
競合製品との比較
最も競合するTTArtisanと比べると、周辺や隅のパフォーマンスに安定感があります。絞り開放の中央は球面収差の増大で低下していますが、そのぶんボケ描写にプラスとなる影響を期待したいところ。
より高価なF1.4クラスのシグマ・VILTROXレンズと見比べてみると、ベストはシグマ56mm F1.4 DC DN。F1.4から一味違う切れ味が得られます。ただ、個人的に至近距離は解像性能よりもボケの滑らかさや滲みを重視しているので、球面収差が残存するVILTTROXのほうが好み。
まとめ
撮影距離によって絞り開放の描写が変化するレンズですが、F2.8-4くらいまで絞れば全体的にシャープな結果を得ることができます。至近距離のF1.7-2.0の柔らかい描写は「味」を活かせるスウィートスポットと考えれば、若干ソフトな描写も許容できるかもしれません。個人的にはVILTROX AF 56mm F1.7のさじ加減が気に入っており、低価格ながら解像性能と美しいボケを見事に両立しているレンズ。まだまだテストは進行中ですが、この時点で既に「(コスパ抜きに)良いレンズ」という印象が強い。
購入早見表
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作例
関連レンズ
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- 56mm F1.4 DC DN
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