EOS R5が登場してから数年が経過しましたが、2023年3月末にキヤノンがEOS R5に「IBISハイレゾ撮影」に対応するファームウェアを公開。9枚合成で4億画素の画像を生成できる機能を実装しました。今回はこの機能が実写でどれほど役に立つのかチェックしてみたいと思います。
EOS R5 IBISハイレゾ
導入から使用まで
EOS R5 ファームウェア Ver 1.8.0を導入すると、撮影メニュー5の最下部に「IBISハイレゾ撮影」が追加されています。現状でこの機能を呼び出すにはメニュー画面のみ。ボタンカスタマイズなどに登録することはできないようです。素早くオンオフを切り替えたいのであれば、お気に入りに登録する必要あり。
機能は非常にシンプルでハイレゾ撮影のオンオフのみ。他社のように「レリーズまでの間隔」「フラッシュの使用」「動体補正」「RAW出力」「画像サイズ」など幅広い設定には全く対応していません。4億画素のJPEG画像を出力するのみ。パソコン合成が必要なソニーや富士フイルムよりも取っつきやすいですが、RAW現像が出来ないので柔軟性の高い後処理が出来ないのは悩ましいところ。
IBISハイレゾ撮影がオンの場合はライブビュー画面の左上部(赤枠)にピクセルシフト撮影を意味するマークが表示されます。撮影時間はシャッタースピード×9枚の合計となり、撮影後には合成処理で十数秒待つ必要があります。
撮影後は画像情報にIBISハイレゾ撮影のマークが表示されます。
実写で確認
- EOS R5 Ver 1.8.0
- SIGMA 70mm F2.8 DG HSM
- F8 ISO100 1/20秒
- JPEG(Lightroomで同じ場所をクロップ)
- 通常
- IBISハイレゾ
IBISハイレゾ撮影は非常に細かいディテールもしっかりと描写することが出来ています。通常であれば偽色やモアレが発生する厄介なパターンでも問題なし。レンズの限界もあり4億画素を十分に活かせる結果とは感じませんが、最新の高解像レンズを使用することでさらに良好な結果を得られるかもしれません。(今回はカメラテストで常に使用している70mm F2.8 DG HSMを使用)
動体
猫の置物を回転するプレートの上に置き、プレートを回転させた状態でIBISハイレゾ撮影を実行したのが以下の作例です。
ご覧のように、9枚合成の撮影回数ぶんの像ブレが見られます。動体以外は良好に合成できているので、動体をスローシャッターで十分に流すことで不自然な合成結果を緩和することができるかもしれません。ただし、EOS R5の電子シャッターは最長でも0.5秒までしか設定できないので、長秒露光で動体を十分に流すことができない可能性が高い。
まとめ
フルサイズミラーレスでは3社目(ソニー/パナソニックに次ぐ)となるピクセルシフトマルチショットに対応しました。ソニーの同機能と異なり、合成処理にパソコンを必要とせず、簡単に高解像の画像が得られるのは強み。ただしRAW出力には非対応。撮影後の柔軟性は大幅に制限されます。撮影時に露出やホワイトバランスなどを適切に調整しておく必要があり。
また、動体補正に非対応、0.5秒以上の長秒シャッター不可、レリーズ間隔の調整不可などなど、IBISハイレゾを十分に活かす機能が備わっていない点は今後のファームウェアアップデートや新機種での導入に期待したいところ。現状では飛び道具の域を出ておらず、現地で積極的に使いたいとは感じませんでした。
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