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七工匠 7Artisans AF 24mm F1.8 レンズレビュー完全版

このページでは「7Artisans AF 24mm F1.8」のレビューを掲載しています。

7Artisans AF 24mm F1.8のレビュー一覧

レンズの評価

ポイント 評価 コメント
価格 24mm F1.8としては導入しやすい
サイズ 適度なサイズ
重量 片手持ち可能
操作性 フォーカスリングの操作性が悪い
AF性能 開放測距のみ
解像性能 均質性が高く、絞れば改善
ボケ 接写以外は粗い
色収差 良好な補正状態
歪曲収差 若干の糸巻き型だが良好な補正状態
コマ収差・非点収差 良好な補正状態
周辺減光 絞っても全く改善しない
逆光耐性 強い光源でフレアとゴーストが目立つ
満足度 要ファームウェアアップデート

評価:

レンズの評価

コストパフォーマンスの高い光学系だが動作は要改善

光学的にはコストパフォーマンスの高いレンズ。F1.8からきちんとした結果が得られ、絞れば隅まで良好。逆光時のフレアや不快な玉ボケを回避すると、満足度の高い24mmとなるはず。

残念だったのは絞りの不良やフォーカスリングの動作など、コントロールの部分。ファームウェアの問題なのか、メカの部分に問題があるのか不明ですが要改善。

操作性や動作に改善が見られた場合、おススメしやすい手ごろな価格の24mmになると思います。

Optically, this lens offers excellent value for money. It delivers solid results from F1.8, and when stopped down, the image is sharp from edge to edge. By avoiding flare and unpleasant bokeh in backlit conditions, this should be a highly satisfying 24mm lens. The disappointing aspects include issues with the aperture and focus ring operation. It is unclear whether these are firmware-related or mechanical issues, but improvements are needed. If improvements are made to operability and performance, this could become a recommended 24mm lens at an affordable price.

まえがき

七工匠 7Artisansブランドにおける5本目のAFレンズ。本製品はその中でも「AF 50mm F1.8」「AF 85mm F1.8」に続くフルサイズ対応モデルで、現時点では最も広い画角をカバーしています。

「24mm F1.8」は定番の単焦点レンズですが、中国レンズメーカーでこれをリリースしているのは他にVILTROXくらい。あとはサムヤンやシグマ、タムロンなど。

希望小売価格は6.7万円。小売店では5.5万円くらいで販売中。「驚くほど安い」というわけではないものの、「手ごろな価格のF1.8」として競合するのはサムヤンくらいで、他は小口径だったり価格が高かったり。「24mm F1.8」が必要な人にとっては面白い選択肢となりそうです。

主な仕様

最短撮影距離が0.32mと長く、撮影倍率は不明ながら低めの可能性大。シグマ「24mm F2 DG DN」で0.245m、サムヤン「AF 24mm F1.8 FE」が0.19mであることを考慮すると、接写性能は低い。また、レンズサイズは全長が最も長く、最も重い。これは、シグマよりも多い14枚のレンズを使用しているためと思われます。そのぶん光学性能には期待したいところ。

発売日 2025.5.25
初値 54,900円
レンズマウント E
Z/L(予定)
対応センサー フルサイズ
焦点距離 24mm
レンズ構成 11群14枚
開放絞り F1.8
最小絞り F16
絞り羽根 11枚
最短撮影距離 0.32m
最大撮影倍率 不明
フィルター径 62mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング 不明
サイズ φ72mm×92mm
重量 424g
防塵防滴 -
AF STM
絞りリング 搭載
その他のコントロール AF/MF
付属品 レンズフード

価格のチェック

焦点工房ストアをはじめ、楽天市場やAmazonなどで販売中。価格は約5.5万円で、サムヤンより高いもののシグマより安い。

7Artisans AF 24mm F1.8
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

ここ最近のAF 7Artisansレンズらしく、白を基調として赤いラインがアクセントのデザイン。箱にはレンズの図面や特徴がプリントされています。

レンズフードと前後のキャップ、さらにファームウェア更新用のUSBケーブルが付属しています。

外観

他の7Artisans AFレンズと同じく、外装やフォーカスリングは金属製。頑丈でしっかりとした質感ですが、寒い時期は素手に触るのが辛いかもしれません。外装にはマットブラックの塗装が施され、光沢を抑えています。

フォーカスリングと絞りリングはそれぞれ滑り止めの加工が施されていますが、デザインは同じ。触覚で二つのリングを識別するのは難しい。

コントロールはフォーカスリングと絞りリングそしてFnボタンとAF\MFスイッチを搭載。意匠はほとんど無く、「7Artisans」のロゴのみ。

ハンズオン

小型軽量なレンズではありませんが、24mm F1.8 としては許容範囲内のサイズと重量。同社の「7Artisans AF 50mm F1.8」「7Artisans AF 85mm F1.8」と同様のデザイン・操作性で一貫性があります。

前玉・後玉

外装から少し奥に隠れたところに前玉があります。前面にフッ素コーティング処理の記載はないため、水滴や油汚れが予想できるシーンには保護フィルターを装着したほうが良いでしょう。

フィルター径は62mmで、50mm F1.8 や 85mm F1.8 と同じ。

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金属製のレンズマウントは3本のビスで本体に固定。マウント面にはファームウェア更新用のUSBポートあり。

フォーカスリング

幅広い金属製のフォーカスリングを搭載。適度な抵抗感で滑らかに回転。個人的にはソニー純正よりも好み。

リニアレスポンスで動作するため、回転速度でピント移動量は変化しません。回転量に応じてピント移動量は固定されています。

このレンズのピント全域のストロークは90度未満。ストロークが短いうえ、ピント移動時の動作がやや粗い。フォーカスリングの感触は良好なものの、細部の微調整には不向き。85mm F1.8のストロークが360°あったことを考えるとちぐはぐな仕様。

絞りリング

従来通りクリックレスの絞りリングを搭載。静止画では使い辛いものの、リングの操作が重めで、使えなくもない操作性。しかし、個人的にはやはりクリックが恋しいので、基本的には「A」ポジションに設定してカメラ側で絞りを操作しています。

リングには「F1.8」から「F2.0」までにある謎の3目盛りも健在。もちろん、この間に設定しても動作しませんが、2/3のところでF2.0に切り替わります。

レンズフード

プラスチック製の花形レンズフードが付属。マットな塗装が施されたシンプルなデザインで、鏡筒の質感と比べると少しチープな印象。レンズ本体のバヨネットに装着しますが、非常にタイトで、装着するには力が必要。特にフードを取り外す際に苦労します。

装着例

α7R Vに装着。85mm F1.8 とほぼ同じデザイン・サイズ・重量。24mm F1.8 としては大きめですが、苦になるほどのサイズでもありません。片手での保持も可能。

AF・MF

フォーカススピード

AFはステッピングモーター駆動で動作。電光石火とは言えないものの、十分な速度で動作します。

AFの絞り駆動は「サイレント優先」に対応していないため、実絞りAF-Sには非対応。このため、AF時は絞りを開けた状態から測距がスタートします。

  1. 撮影待機状態:初期設定では設定値まで絞りが閉じる状態
  2. AF開始:絞り開放
  3. AF終了+レリーズ:設定値まで絞りが閉じる

AF時に絞りを開けて閉じる動作が入るため、合焦までに露出と被写界深度が乱れます。絞り開放を使うぶんには問題ありませんが、風景など絞って撮影する場合は注意が必要。さらに、F8~16では所定の口径以上に絞っているのか、適正露出よりもアンダーとなる傾向があります。
(下部掲載のブリージングテスト結果のように)

このため、絞った状態のままピント合わせをしたいときはAF-Cを使う必要あり。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

最短撮影距離と無限遠で画角に大きな変化はありません。フォーカスブリージングは良く抑えられています。

精度

α7R Vとの組み合わせで問題無し。VILTROXではしばしば動作不良が発生する拡大AFも利用可能でした。

MF

前述したように、リングの操作性は良好ですがストロークが短い。そして、動作が粗く微調整ふは不向き。使えないこともないですが、MFメインで使うレンズではありません。

手振れ補正

カメラ側へ自動的にレンズ情報が伝達されるものの、手振れ補正がうまく動作していないようです。カメラ側の設定で「手振れ補正調整」がオートになっていると、想定よりもブレを抑えることができません。設定を「マニュアル」に切り替え、手動で24mmに焦点距離を設定したほうが良好な結果を期待できます。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:ILCE-7RM5
  • 交換レンズ:7Artisans AF 24mm F1.8
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

注意ポイント

最短撮影距離が長い

今回はレンズの最短撮影距離が長く、最大撮影倍率が小さいため、定型チャートを所定の倍率で撮影することができません(チャートを大きく撮影できない)。従来と異なるテスト環境でチェックしているので、他のレンズと比較し辛くなっている点に留意してください。あくまでも近距離における解像性能の傾向を知るテストとなります。

レンズのAF・MFの精度が悪い

このレンズのフォーカスレンズはステッピングモーターで動作します。しかし、ステッピングモーターの動作が粗く、細かい微調整が難しい。これはAF・MFどちらにも当てはまるため、ピントの山に合わせてチェックし辛くなっています。

テスト結果

絞り開放では球面収差や軸上色収差の影響が残っており、全体的に性能が低め。絞ると徐々に改善しますが、途中で発生するフォーカスシフトの影響(F2.8あたり)を回避しつつMFでピントを合わせる必要あり。ピークとなるF5.6に向かって、全体的にシャープネスやコントラストが改善します。ピント合わせの苦労はあるものの、絞れば伸びる良好な性能。

中央

前述したように、F5.6付近でピークに到達。ピークの性能が必要ない場合でもF4くらいまでは絞らないとコントラスト低下の影響が残ります。遠景でも同じ傾向あり。

周辺

中央と同じく、絞り開放付近で低コントラスト。ただし、解像性能はまずまず良好で、絞れば十分な結果を得ることができます。改善速度が遅いので、F8までしっかり絞りたいところ。

四隅

基本的には周辺と同程度。倍率色収差の影響が残るものの、手頃な価格の24mm F1.8としては健闘しています。やはりF5.6-8でピークの性能に到達。

数値確認

Center Mid Corner
F1.8 3926 3335 3304
F2.0 3600 3323 3898
F2.8 4135 3906 3824
F4.0 4779 3833 3868
F5.6 5229 4515 4804
F8.0 4774 4692 4641
F11 3951 4134 4010
F16 3087 2821 2684

競合製品比較

前述した注意点から直接の比較はできません。しかし、解像性能の傾向を見比べることはできます。本レンズは絞り開放付近のコントラスト低下が弱点となるものの、F2.8-F4まで絞ると競合製品と同じような結果を得ることが可能。ズームレンズと比べると周辺や隅の安定感が良好。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2025.6.20 晴れ 無風
  • カメラ:α7R V ILCE-7RM5
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:BF BAFANG BFA-01
  • 露出:ISO 100 絞り優先AE
  • RAW:Adobe Lightroom Classic
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズリダクションオフ
    ・レンズ補正オフ

テスト結果

中央

コントラストとシャープネスがやや低めですが、全体的に見ると安定した結果。F2.8-4まで絞るとコントラストが向上し、細部も良く解像しているように見えます。

周辺

基本的には中央と同じ傾向。画質の低下は見られず、像面湾曲も良く補正されているように見えます。

極端な隅は絞り開放付近でソフトな結果。ただし、F4-5.6まで絞ると画質が安定し、細部まで良好な結果が得られます。倍率色収差など、軸外収差が良く補正されているようです。

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

ピントを合わせる位置で大きな変化はありません。像面湾曲の影響は良く抑えられています。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り全域で倍率色収差は良好に補正されています。追加の補正はほぼ必要ありません。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

F1.8で若干の色付きがあるものの、大口径レンズとしては良く抑えられています。軸上色収差以外の注意点として、F2からF4まで絞った時にピントの山が遠側へシフトする現象が発生しています。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

若干の糸巻き型歪曲。大部分の撮影で目立つことはありませんが、直線的な被写体をフレーム周辺に配置すると歪みが少し気になるかもしれません。レンズプロファイルが無いため手動補正となりますが、綺麗に手動補正するのが難しい。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

点像の歪みはフレーム隅でも目立ちません。コマ収差は良く補正されています。

球面収差

少なくとも前ボケを入れることが出来る撮影距離では、前後のボケ質に大きな変化があります。球面収差が残存しており、これがフォーカスシフトやボケ質に影響している可能性が高い。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

ボケの縁取りが少し強めの描写。実写では滑らかな描写となることもありますが、撮影距離によっては心地よいとは言えない描写となるようです。

前ボケ

後ボケと同じく、縁どりがやや強めのボケ質。状況によっては不快な描写となる可能性あり。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

光の分散にムラがあり、かつ縁取りに残存する色収差の影響があり、非球面レンズの研磨ムラと思われる不快な描写が見られます。お世辞にも綺麗なボケとは言えません。絞ると軽減しますが、ボケがかなり小さくなります。

ボケ実写

至近距離

最短撮影距離に近いと、滑らかで綺麗な後ボケが得られました。不快と感じる描写はほとんどありません。

近距離

ボケ質に変化があり、細部をよく見ると硬めのボケ質。ただし、色収差が良く抑えられているので、不快と感じるほど酷くはありません。

中距離

24mm F1.8で質感を議論するほど大きなボケは得られません。ただし、細部を拡大すると不快なボケの描写であることが分かります。やはり色収差が良く抑えられているため、悪目立ちはしていない模様。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

フルサイズの24mm F1.8らしく、フレームに全身を入れても多少の後ボケが得られています。ただし、背景を分離する場合は膝上か上半身くらいまで近寄りたいところ。ボケ質は至近距離でのみ良好。撮影距離が長い場合は騒がしい描写ですが、不快と感じるほどボケが大きくありません。

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

大口径の広角レンズらしく、やや目立つ周辺減光が発生します。これは絞ってもほとんど改善しません。レンズプロファイルに対応していないので、手動での補正が必要となります。

無限遠

最短撮影距離側と同程度の周辺減光が発生。やはり絞りによる改善は期待できません。

逆光耐性・光条

中央

光源周りにフレアが発生するものの壊滅的ではありません。とはいえ、コントラストが低下しており、状況によっては非常に目立つ可能性あり。さらにレンズ間面反射と思われるゴーストが複数発生しています。絞るとフレアは大幅に改善しますが、ゴーストが非常に多い。

光源を隅に移動するとフレアとゴーストの影響が穏やかになります。

光条

F8付近からシャープな光条が発生。絞り羽根の枚数が多く、全体として見ると光条の描写は控え目。また、解像性能テストで言及しているように、F11やF16は数値以上に絞っている可能性あり。回折の影響で崩れた描写となっています。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 24mm F1.8 としては手頃な価格
  • 金属製のしっかりとした作り
  • 適度なレンズサイズ・重量
  • 絞ると隅まで均質的な解像性能
  • 像面湾曲の影響が目立たない
  • 色収差の補正状態が良好
  • 歪曲収差が穏やか
  • コマ収差を良好に補正
  • 接写時に滑らかな後ボケ
  • 光条が綺麗

低価格ながら隅まで一貫性のある解像性能を発揮。F1.8からベストの解像性能ではないものの、大口径を活かした天体撮影や夜景の撮影に適した光学性能。諸収差の補正状態も良く、使い勝手が良い。接写時は24mm F1.8を活かした大きく滑らかなボケが得られるのも強み。

悪かったところ

ココに注意

  • フードの脱着が非常に固い
  • 粗い動作で使い辛いフォーカスリング
  • クリック無しで不自然な目盛りの絞りリング
  • (個体差か初期不良なのか)小絞りの動作が良くない
  • 手振れ補正が上手く動作していない(マニュアルモードで解決)
  • 至近距離で球面収差が目立つ
  • 玉ボケが不快な描写
  • 周辺減光が絞っても改善しない
  • 逆光時にフレアとゴーストが目立つ

初期不良の可能性もありますが、特に小絞りで回折の影響や露出の不安定さが目立つ。同時期にテストしたAPS-C用7Artisansも同じ傾向が見られたため、ファームウェアなどの問題かもしれません。不快な撮影体験となるので、早急にアップデートしてほしいところ。

また、(夜景で使いやすい光学性能にも関わらず)MFの使い勝手が良くないのは残念でした。

光学的な欠点は球面収差の補正不足や、非球面レンズの研磨ムラなど。24mm F1.8で何をしたいのかにもよりますが、最も注意すべきは逆光時のフレアとゴースト。強い光源はフレームに入れないように避けておきたいところ。

結論

光学的にはコストパフォーマンスの高いレンズ。F1.8からきちんとした結果が得られ、絞れば隅まで良好。逆光時のフレアや不快な玉ボケを回避すると、満足度の高い24mmとなるはず。

残念だったのは絞りの不良やフォーカスリングの動作など、コントロールの部分。ファームウェアの問題なのか、メカの部分に問題があるのか不明ですが要改善。

操作性や動作に改善が見られた場合、おススメしやすい手ごろな価格の24mmになると思います。

7Artisans AF 24mm F1.8
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競合製品について

FE 24mm F2.8 G

純正品で手頃な価格の24mmと言えばコレ。ただし、口径は少し小さくなります。
テストしたことが無いので詳細はノーコメント。

FE 24mm F2.8 G
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24mm F3.5 DG DN

同社に「24mm F2 DG DN」も存在しますが、価格的に競合するのはコチラ。口径が小さいものの、小型軽量で安定したパフォーマンスを発揮。AFや絞りの動作も問題なく、接写性能は良好。F1.8にこだわらなければ、無難な選択肢。

新モデル

24mm F3.5 DG Leica L Black
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24mm F3.5 DG Leica L Silver
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24mm F3.5 DG Sony E
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旧モデル

24mm F3.5 DG DN Leica L
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24mm F3.5 DG DN Sony E
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AF 24mm F1.8 FE

価格的に競合する唯一の24mm F1.8。テストしたことが無いので詳細はノーコメント。

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購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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