「VILTROX AF 85mm F1.4 Pro」のレビュー第五弾 ボケ編を公開。至近距離で滲むように柔らかい描写となり、一般的な撮影距離でも滑らかで綺麗なボケが得られるレンズです。
製品提供について
このレビューは映像嵐株式会社より無償提供(2週間)された製品を使用しています。
金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。2週間と短い試用期間、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。
簡易的なまとめ
撮影距離によってボケ味が少し変化するものの、概ね滑らかで綺麗な結果が得られるレンズです。撮影距離が長い場合は競合製品と同じく滑らかで綺麗な描写。接写時は球面収差が大きくなり、滲むように柔らかい描写へと変化。
また、非球面レンズを一枚使用していますが、玉ねぎボケの兆候はほとんどありません。ムラのない綺麗な玉ボケを得ることができます。口径食の影響は穏やかで、隅に向かって玉ボケが変形する度合いも控えめ。色収差によるボケの色付きは少なく、悪目立ちする要素が少ない。
総じてボケの描写は良好。ポートレート用レンズとしてはおススメしやすい。
While the bokeh quality varies slightly depending on the shooting distance, this lens generally produces smooth and beautiful results. At longer shooting distances, it delivers the same smooth and beautiful imagery as competing products. At close-up distances, spherical aberration increases, resulting in a softer, more diffuse bokeh. Additionally, although it uses one aspherical lens, there are virtually no signs of onion-like bokeh. You can achieve uniform, beautiful bokeh. The influence of vignetting is mild, and the degree of bokeh deformation toward the corners is also subtle. Chromatic aberration-induced color fringing in the bokeh is minimal, with few elements that stand out negatively. Overall, the bokeh rendering is excellent. This lens is highly recommended for portrait photography.
VILTROX AF 85mm F1.4 Proのレビュー一覧
- VILTROX AF 85mm F1.4 Pro レンズレビューVol.5 ボケ編
- VILTROX AF 85mm F1.4 Pro レンズレビューVol.4 諸収差編
- VILTROX AF 85mm F1.4 Pro レンズレビューVol.3 遠景解像編
- VILTROX AF 85mm F1.4 Pro レンズレビューVol.2 解像チャート編
- VILTROX AF 85mm F1.4 Pro レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編
Index
球面収差
F1.4
絞り開放における前後のボケ質に違いが見られます。球面収差が残存しており、これがボケ質に影響を及ぼしているのでしょう。軸上色収差のテスト時もフォーカスシフトが発生しています。
F2
1段絞ったF2では前後のボケ質に差がありません。球面収差がほぼ収束したと思われます。
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。
後ボケ
後ボケは輪郭が滲むように溶ける柔らかい描写。特に重要な後ボケで、このような描写が得られるのはポートレートレンズとして強みになるはず。
前ボケ
後ボケから一転して、縁どりの硬いボケ。色収差による色づきは少ないものの、硬調なボケが雑然とした雰囲気。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
- 影響が強い
- 影響が弱い
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
- 前ボケ
- 後ボケ
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
F1.4
隅に向かって口径食の影響があるものの、玉ボケは滑らかで綺麗な描写。色収差による色づきは少なく、ボケの内側に違和感はありません。
F2.0
絞る必要性はほとんどありませんが、F2まで絞ると口径食が緩和します。
ボケ実写
至近距離
最短撮影距離では被写界深度が非常に浅く、背景を完全にぼかすことが出来ます。質感を議論するような撮影距離ではありません。敢えて言えば、球面収差の影響が残存しており、ピント面が滲むように柔らかい描写。
近距離
少し距離を長くしても同様の傾向が続きます。
中距離
撮影距離をさらに伸ばしても問題ありません。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。
全体的に滑らかで綺麗。競合製品も健闘しているので長所とは言えないかもしれませんが、少なくとも欠点ではありません。全身をフレームに入れて問題ないので、近寄ることで完璧に近い描写となります。
まとめ
撮影距離によってボケ味が少し変化するものの、概ね滑らかで綺麗な結果が得られるレンズです。撮影距離が長い場合は競合製品と同じく滑らかで綺麗な描写。接写時は球面収差が大きくなり、滲むように柔らかい描写へと変化。
また、非球面レンズを一枚使用していますが、玉ねぎボケの兆候はほとんどありません。ムラのない綺麗な玉ボケを得ることができます。口径食の影響は穏やかで、隅に向かって玉ボケが変形する度合いも控えめ。色収差によるボケの色付きは少なく、悪目立ちする要素が少ない。
総じてボケの描写は良好。ポートレート用レンズとしてはおススメしやすい。
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