「NIKKOR Z 35mm f/1.8 S」のレビュー第五弾 ボケ編を公開。
簡易的なまとめ
これと言って特徴のない没個性的なボケですが、35mm F1.8 でこの特性は意外と貴重。35mm F1.8 レンズ は撮影距離が長い場合に隅が悪目立ちする場合が多く、比較してこのレンズは綺麗な描写。色収差やボケの縁取りも目立たないため、様々なシーンに好適。Z 35mm f1.4 よりも扱いやすい。
若干残念だったのが口径食。許容範囲内ではあるものの、価格とサイズを考えると隅に向かってボケが変形しやすいのが気になりました。と言っても、他社の35mm F1.8も口径食の影響が強いレンズが多く、このレンズに限った話ではありません。
This lens has no particular characteristics and is rather bland, but this trait is surprisingly valuable in a 35mm F1.8 lens. 35mm F1.8 lenses often produce poor image quality at longer shooting distances, but this lens produces beautiful images in comparison. Chromatic aberration and bokeh edges are also not noticeable, making it suitable for a wide range of scenes. It is easier to use than the Z 35mm f1.4.
One minor drawback is the vignetting. While it is within acceptable limits, considering the price and size, the bokeh tends to distort toward the edges, which is a bit concerning. That said, many other 35mm F1.8 lenses from other manufacturers also exhibit significant vignetting, so this is not unique to this lens.
NIKKOR Z 35mm f/1.8 Sのレビュー一覧
Index
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。
後ボケ
滲むような描写ではないものの、縁どりが弱く滑らかなボケ質。軸上色収差の影響が少し残っているものの、概ね良好な描写。
前ボケ
後ボケと比べると、微ボケに僅かな硬さを残す描写。とはいえ、ボケが大きくなるにつれて差は目立たなくなります。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
- 影響が強い
- 影響が弱い
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
- 前ボケ
- 後ボケ
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
実写で確認
高価でやや大きめの35mm F1.8ですが、口径食は競合他社と比べて大きな違いはありません。倍率色収差は良好に補正されているため、フレーム隅のボケに色付きが無い点はGood。玉ボケの内側に非球面レンズの研磨ムラは目立たず、滑らかな描写。
ボケ実写
至近距離
最短撮影距離付近ではボケが大きく、滑らかで綺麗な後ボケ。色収差の影響は目立たず、口径食はボケのサイズから変形が目立たず許容範囲内。接写時も球面収差の変動が少ないため、コントラストが高く滲みの少ないボケ質となっています。
近距離
撮影距離が少し伸びても描写の傾向に変化はありません。口径食は少し目立つようになりますが、滑らかで綺麗なボケ質を維持しています。
中距離
さらに撮影距離が長くなると、隅の口径食が目立つようになります。それでも、全体的に滑らかで綺麗な描写に違いなし。四隅の問題は許容範囲内に収まっています。
中距離2
他の35mm F1.8では、コマ収差などの影響でフレーム四隅のボケが騒がしくなる撮影距離。しかし、本レンズは四隅が荒れにくく、心地よい描写を維持しています。流石のS-Lineと言ったところでしょうか。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。
フレームに全身を入れるような撮影距離でも背景は滑らかにボケています。フレーム端や隅の後ボケが少し騒がしく見えますが、ボケが小さく悪目立ちする可能性は低い。膝上くらいまで近寄ると、フレームの広い範囲で滑らかなボケが得られます。上半身やバストアップでほぼ完璧。
まとめ
良かったところ
ポイント
- ニュートラルで偏りのないボケ質
- 撮影距離で変動の少ない滑らかな描写
- 色収差の影響が少ない
- 周辺まで安定した描写
- 滑らかな玉ボケ
これと言って特徴のない没個性的なボケですが、35mm F1.8 でこの特性は意外と貴重。35mm F1.8 レンズ は撮影距離が長い場合に隅が悪目立ちする場合が多く、比較してこのレンズは綺麗な描写。色収差やボケの縁取りも目立たないため、様々なシーンに好適。Z 35mm f1.4 よりも扱いやすい。
悪かったところ
ポイント
- 口径食が目立つ
若干残念だったのが口径食。許容範囲内ではあるものの、価格とサイズを考えると隅に向かってボケが変形しやすいのが気になりました。と言っても、他社の35mm F1.8も口径食の影響が強いレンズが多く、このレンズに限った話ではありません。
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