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VILTROX AF 55mm F1.8 EVO レンズレビュー完全版

このページでは「VILTROX AF 55mm F1.8 EVO」のレビューを掲載しています。

VILTROX AF 55mm F1.8 EVOのレビュー一覧

レンズの評価

ポイント 評価 コメント
価格 買い方次第で安い
サイズ このクラスで標準的
重量 このクラスで標準的
操作性 豊富なコントロール
AF性能 純正ほどではない
解像性能 非常に優れた性能
ボケ シーンを選ばず綺麗な描写
色収差 シーンを選ばず優れた補正
歪曲収差 穏やかな樽型
コマ収差・非点収差 優れた補正状態
周辺減光 F1.8でやや目立つ
逆光耐性 問題なし
満足度 非常に高性能な標準 F1.8レンズ

評価:

ポイント

非常に高性能な標準 F1.8レンズ

社外製のF1.8 標準レンズとしては少し高めですが、それだけの価値を秘めた製品。非常に優れた光学性能と機能的で良好なビルドクオリティを両立。撮影シーンを選ばず、安定した結果が得られる大口径レンズとして重宝します。

欠点があるとすれば非ライセンス製品なので互換性の問題がつきまとうくらい。ただし、VILTROXが頻繁にファームウェアアップデートを実施しているため「動作しない」という状況に直面することは少ないはず。

販売価格は国内代理店経由だと純正品並みの値付け。それでもVILTROXを選ぶ理由はあると思いますが、出来れば値下セール時を狙うのがおススメ。AliExpressでだいぶ安く入手できますが、個人輸入のリスク(初期不良時は自分で対応・到着までに時間がかかるなど)は要確認。

It’s a bit on the pricey side for a third-party F1.8 standard lens, but it’s a product that’s well worth the cost. It combines excellent optical performance with functional design and solid build quality. As a large-aperture lens that delivers consistent results regardless of the shooting situation, it’s a valuable addition to any kit.

If there’s a downside, it’s that, as a third-party product, compatibility issues can sometimes arise. However, since VILTROX frequently releases firmware updates, issues like “it not working” should be rare.

The retail price through domestic distributors is on par with genuine products. While there are still good reasons to choose VILTROX, I recommend waiting for a sale if possible.

You can get it much cheaper on AliExpress, but be sure to check the risks associated with personal imports (such as having to handle defective products yourself or long delivery times).

まえがき

NAB Show 2026にて、EVOシリーズの新製品として「AF 35mm F1.8 Evo」と「AF 55mm F1.8 Evo」を発表。ソニーFEおよびニコンZマウントに対応する単焦点レンズ。

シリーズ初のAPO設計を採用し、色再現性の向上や色収差の低減、描写の一貫性を強化。写真と動画の両立を目指す同社の統合的な制作環境構想の一環として開発された製品。

50mmも含めると競合製品の多いカテゴリであり、55mm F1.8 EVOはその中でも比較的高価なレンズ。APO設計の光学系と豊富なコントロールで付加価値を高め、競合製品と区別化を図っています。

主な仕様

レンズマウント E / Z
対応センサー フルサイズ
焦点距離 55mm
レンズ構成 9群13枚
開放絞り F1.8
最小絞り F16
絞り羽根 9枚
最短撮影距離 0.43m
最大撮影倍率 0.16倍
フィルター径 58mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング フッ素
HD
サイズ φ69×76mm
重量 365g
防塵防滴 対応
AF STM
絞りリング 搭載
その他のコントロール Fnボタン
AF/MFスイッチ
絞りクリック切替
付属品 レンズフード

価格のチェック

売り出し価格は6.8万円。4万円台でスタートした85mm EVOと比べると、少し高いなというのが正直なところ。(ただし、価格改定で現在は5.0万円くらい)

それでもソニー「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」やニコン「NIKKOR Z 50mm f/1.8 S」よりも低価格。

VILTROX AF 55mm F1.8 EVO
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VILTROX AliExpress    

レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

Airシリーズと同じく、白を基調としたデザイン。ただし、「EVO」のみ青色背景で強調されています。

レンズ本体のほか、レンズフードやポーチ、保証書などが付属。販売価格を考慮すると十分。

外観

外装はプラスチック製でフォーカスリングと絞りリングはどちらも金属製。触れる部分が金属製であるため、プラスチッキーな印象は全くありません。シグマのI Seriesほど凝った造りではないものの、良好で堅牢な質感のレンズです。

コントロールも充実しており、55mmレンズに求められるほぼ全てを搭載。

フォーカスレンズの駆動にはステッピングモーターを使用しているので、Proシリーズレンズのような「カタカタ」と異音は発生しません。

コントロール以外の意匠は最小限。側面に「EVO」のバッジを配置しているのみ。マウント付近にはシリアルナンバーなどのシールが張り付けられています。

ハンズオン

サイズ 重量
F1.8 EVO φ69×76mm 365g
NIKKOR Z φ76.0×86.5mm 415g
FE ZA φ64.4×70.5mm 281g
F2 DG φ65.8×76.9mm 340g

高性能な標準レンズ F1.8-2.0クラスのレンズとしては一般的なサイズと重量。
考慮すべき点として、VILTROXは防塵防滴仕様に加え、金属パーツや絞りリングを搭載しています。ビルドクオリティ、操作性、携帯性のバランスが非常に良好。

前玉・後玉

58mm径の円形フィルターに対応。サイズはEVOシリーズで統一されているため、フィルター共有可能でお財布に優しい。

前玉周辺にはレンズ銘や撮影距離などを白字で記載。個人的に、白字はフィルター装着時に反射で写りこむ可能性があるので好きではありません。

金属製レンズマウントが4本のネジで本体に固定。周囲には耐候性を確保するシーリングあり。ファームウェアアップデート用のUSB-Cポートも備えています。

フォーカスリング

適度な幅の金属製フォーカスリングを搭載。ソニーとよく似た抵抗感ですが比較的重め。回転速度による変化がないリニアレスポンスで動作。ストロークが360°ほどあるので正確な操作が可能です。

ストロークは85mm F2.0 EVOと同程度。

絞りリング

クリック切替に対応。感触はシグマのI Seriesとよく似ており、心地よい操作性。抵抗感はソニー純正ほど強くないものの、フォーカスリングと比べると強い。

右側面にクリックを解除するスイッチを搭載しています。

スイッチ類

適度なクリック感のあるFnボタン。さらに、しっかりと固定されるクリック切替スイッチとAF/MFスイッチ。

反対側には絞リングのクリックを解除するスイッチを搭載しています。

レンズフード

花型のプラスチック製レンズフードが付属。反射防止用の植毛やゴムカバーはありませんが、本体にしっかりと固定可能。

やや深めのレンズフードなので、逆さ付けの時はフォーカスリングが覆い隠されます。

装着例

α7 Vに装着。
Airシリーズほど携帯性が良いわけではないものの、大きく重いProシリーズと比べると日常的に使いやすい。鏡筒の直径はレンズマウントと同程度。グリップとレンズの間には十分な余裕があります。

AF・MF

フォーカススピード

インナーフォーカス方式のステッピングモーター駆動。
VCMレンズのAF速度と比べると遅いですが、日常的な使用で十分なAF速度です。フレーム隅を使ったピント合わせも問題ありません。

FE 55mm F1.8 ZAと比べると、若干遅いという程度。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

FE 55mm F1.8 ZA と同じく、ピント位置によって画角が大きく変化します。

Before imageAfter image

精度

α7R V・α7 Vとの組み合わせで問題ありません。拡大AF時のみ動作が少し不安定となります。(以前と比べると改善傾向ですが)

MF

リニアレスポンスで360度のストロークがあるため高精度のピント合わせが可能です。

クローズアップ

最短撮影距離 最大撮影倍率
VILTROX 0.43m 0.16倍
NIKKOR 0.4m 0.15倍
FE ZA 0.5m 0.14倍
F2 DG 0.45m 1:6.9

クローズアップが得意なレンズではありませんが、競合製品も同程度です。近距離時に画質低下が目立ちませんん。NIKKOR Z S-Lineに近い特性のレンズ。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:ILCE-7RM5
  • 交換レンズ:VILTROX AF 55mm F1.8 EVO
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 100 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

絞り開放から最高の性能ではないものの、1段絞ると解像チャートの上限付近まで到達。さらに1段絞ると周辺画質が中央に追い付き、F5.6まで絞れば隅の画質も近いところまで改善します。

全体的に標準レンズにおける近接テストの結果としては非常に良好。周辺や隅の落ち込みが少なく、非常に快適に利用することが出来ます。

中央

F1.8の絞り開放で細部が若干ソフト。とはいえ、十分な解像性能を発揮しており、F2.8まで絞れば細部までコントラストが良好。

周辺

中央と比べると細部がややソフトですが、F2.8で改善傾向、F4.0でとてもシャープになります。

四隅

基本的には周辺と同じ傾向です。F2.8までは細部のコントラストが少し甘いものの、F4まで絞ると鮮明になります。一般的な標準レンズと比べると、F1.8から実用的ですが、ベスト尽くす場合はF4.0-5.6あたり。

数値確認

Center Mid Corner
F1.8 4051 3580 3498
F2.0 4101 3843 3636
F2.8 4728 4048 3907
F4.0 4764 4664 4209
F5.6 4781 4804 4469
F8.0 4728 4804 4323
F11 4439 4440 4026
F16 3774 3683 3292

競合比較

VILTROXは絞り開放から安定した結果が得られ、ソニーFE 55mm F1.8 ZAよりも優れています。特にフレーム周辺・隅の落ち込みが少なく、NIKKOR Z 50mm f/1.8 S に近い結果。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:20206.7.1 曇り 微風
  • カメラ:ILCE-7RM5
  • 三脚:SIRUI AM324
  • 雲台:アルカスイスZ1+
  • 露出:ISO 100 絞り優先AE
  • RAW:Adobe Camera RAW現像
  • シャープネスオフ
  • ノイズリダクションオフ

中央

F1.8の絞り開放から細部まで非常に良好。F2.0-2.8でコントラストが改善しますが、F1.8から実用的な画質を大きく上回ると考えて問題ありません。6100万画素のα7R Vでも快適です。

周辺

絞り開放から中央とほぼ同じ画質。F2.0-2.8で細部が少し改善します。非常に優れた性能であり、欠点と指摘する部分はありません。

四隅

フレーム隅を切り取ってもF1.8から完全に実用的な結果が得られました。競合する「Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA」よりも少し良好に見えます。

像面湾曲

像面湾曲とは?

像面湾曲とは、本来は平らなはずのピント面が、レンズの特性によって曲面になってしまう収差。

理想的なレンズでは、平らな被写体を撮影した際に画面全体へ同じようにピントが合う。しかし、像面湾曲があると、中央にピントを合わせたときに周辺がぼやけたり、逆に周辺へピントを合わせると中央がぼやけたり。

例えば、壁や新聞、建物の正面など平面的な被写体を撮影すると、中央はシャープなのに四隅だけ甘く見えることがあります。この場合、レンズの解像性能が低いのではなく、ピント面が湾曲していることが原因の可能性あり。また、像面湾曲には内側へ曲がるものと外側へ曲がるものがあり、レンズによって傾向が異なる。

像面湾曲は画面の隅に向かうほど影響が大きくなるため、風景や建築写真では重要な性能項目の一つ。一方、ポートレートや近接撮影では必ずしも欠点とは限らず、被写体の立体感や独特の描写に寄与することも。

なお、像面湾曲はピント位置の問題であり、色収差や歪曲収差とは異なります。また、レンズを絞ると被写界深度が深くなるため影響が目立ちにくくなる。レンズレビューで「像面湾曲が少ない」と評価される場合、画面中央から周辺まで均一なピント面を維持しやすく、風景や建築物をシャープに撮影しやすいことを意味する。

参考:ニコン 収差とは

ピント面が分かりやすいように加工しています。

実写で確認

F1.8の絞り開放からフレーム全体が被写界深度内に収まっているように見えます。像面湾曲の補正状態は良好。近距離のテストチャートでも大きな問題はありませんでした。

倍率色収差

倍率色収差とは?

倍率色収差とは、レンズが光の色によって異なる倍率で像を結んでしまう現象。その結果、画像の色ごとの大きさがわずかに異なり、被写体の輪郭部分に色のずれが発生。

軸上色収差がピント位置の前後で起こるのに対し、倍率色収差は主に画面周辺で目立つ。例えば、建物の輪郭や電線、木の枝などの境界部分に、赤や紫、青、緑などの色の縁取りなど。画面中央ではほとんど見えないものの、周辺へ行くほど目立ちやすくなるのが特徴。

倍率色収差は絞りを変えてもほとんど改善しないため、レンズ設計による補正が重要。一方で、軸上色収差と異なり、デジタル補正との相性が良く、多くのミラーレスカメラや現像ソフトでは自動補正容易。そのため実際の撮影では大きな問題になりにくい場合も多い。

ただし、高解像モデルで風景や建築物を撮影する際には解像感の低下につながる可能性あり。レンズレビューで「倍率色収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺でも色の縁取りが少なく、被写体の輪郭をより正確かつシャープに描写できることを意味しています。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

完璧な補正状態ではありませんが、影響は軽微で無視できる程度です。後処理で簡単かつ綺麗に修正可能。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とは、レンズが光の色ごとに異なる位置へピントを結んでしまう現象。光には赤や緑、青などさまざまな色が含まれており、レンズを通ると色によって曲がり方がわずかに異なる。そのため、ある色にピントが合っていても別の色は前後にずれ、画像に色のにじみが発生。

軸上色収差は主にピント面の前後に現れ、ピントより手前では紫色やマゼンタ色、奥側では緑色のにじみとして見えることが多い。特に開放F値の明るいレンズや望遠レンズで目立ちやすく、金属の反射部分や白い文字、逆光の被写体など高コントラストな場面で確認しやすい。

また、画面中央でも周辺でも発生するため、絞りを開けた状態では画面全体の解像感やコントラストを低下させる原因となる。一般的にはレンズを1~2段ほど絞ると大幅に改善。近年の高性能レンズでは特殊低分散ガラスなどを使用して補正されているものの、完全にゼロにすることは難しい。レンズレビューで「軸上色収差が少ない」と評価される場合は、ピント面前後の色にじみが少なく、よりシャープな描写が期待できるという意味。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

F1.8の絞り開放から軸上色収差はほぼありません。大口径レンズとしてはとても良好な補正状態です。

F2.8-4.0でピントの山が遠側へシフトしていますが、テスト中にフォーカスリングに触れてしまったのか、フォーカスシフトの影響があるのか確認中。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、被写体の形そのものが変形して写る現象。レンズの解像力やピントとは別の問題で、直線であるはずのものが曲がって記録されるのが特徴。

代表的なものは「樽型歪曲」と「糸巻き型歪曲」。樽型歪曲では画面中央から外側へ向かって線が膨らみ、建物の壁や地平線が外側へふくらんで見える。一方、糸巻き型歪曲では線が内側へ引っ張られたように曲がる。また、ズームレンズでは広角側で樽型、望遠側で糸巻き型になることも多い。

歪曲収差は特に建築物や室内、風景写真など、直線が多い被写体で目立ちやすい。人物撮影では気付きにくい場合もありますが、画面周辺に人物を配置すると体形や顔の形がわずかに変形して見える可能性あり。

他の収差と異なり、歪曲収差は画面のシャープネスや色にじみにはほとんど影響しません。そのため、近年のミラーレスカメラや現像ソフトではデジタル補正が広く利用されており、多くのレンズで自動的に補正されています。

レンズレビューで「歪曲収差が少ない」と評価される場合は、建物や水平線などの直線を自然な形で再現できることを意味しています。一方、歪曲収差をソフトウェア補正する前提で設計されたレンズも多く、実写では大きな問題にならない場合も少なくない。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

Before imageAfter image

穏やかな樽型歪曲です。追加修正の必要性は低いですが、現像ソフトでさらに修正することも可能。強度に並みのある歪曲であり、手動補正で完璧に修正するのは難しい。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差とは、画面周辺の点光源が彗星(Comet)のように尾を引いた形に変形して写る現象。名称の「コマ」は英語の Coma(彗星)に由来。

本来、星や街灯のような点光源は丸い点として写るべきところ、コマ収差が大きいレンズでは画面周辺で三角形や鳥が羽を広げたような形に崩れる。特に画面の隅に近づくほど目立ちやすい。

コマ収差は星景写真や夜景撮影で重要な性能項目。例えば、画面中央の星はきれいな点に写っていても、四隅の星が流れたような形に。昼間の撮影では気付きにくいものの、夜間の点光源では容易に確認可能。

一般的にはレンズを少し絞ることで改善。レンズレビューで「コマ収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺の星や街灯も点に近い形で再現できることを意味しています。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

F1.8から大きな問題はありません。とても良好な補正状態です。

球面収差

球面収差とは

球面収差とは、レンズの中心を通る光と周辺を通る光が異なる位置でピントを結んでしまう収差。その結果、ピントが合っているはずの部分でも像がわずかににじみ、シャープさやコントラストが低下。

理想的なレンズでは、すべての光が同じ位置に収束。しかし実際のレンズは、中心付近を通る光と周辺部を通る光の集まり方が異なるため、一点に完全には集まりません。

球面収差が大きいレンズでは、開放F値で撮影した際に全体が少し柔らかく見えたり、光がにじんだような描写。特にポートレート用レンズでは、この特性を活かして肌をなめらかに見せる場合もあります。一方、風景や建築写真では解像感の低下につながるため、できるだけ少ないことが望ましい。

球面収差は前ボケと後ボケの見え方にも大きく影響。球面収差の補正状態によってボケの柔らかさや輪郭の強さが変化するため、レンズごとの描写の個性を生む要素の一つ。

一般的にはレンズを絞ることで周辺光線が制限され、球面収差は大幅に改善。レンズレビューで「球面収差がよく補正されている」と評価される場合は、開放F値から高い解像感とコントラストを得やすいことを意味します。一方で、あえて球面収差を少し残すことで、柔らかく自然なボケ描写を実現しているレンズも存在。

実写で確認

前後のボケ質に大きな差はありません。
球面収差は良好に補正されています。よく見ると後ボケの縁取りが少し明るめですが、差があるとしたらそれくらい。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

綺麗なボケとは、輪郭が目立たず、背景がなめらかに溶けるような描写。被写体が背景から自然に浮かび上がり、見る人の視線を主題へ導きやすい。ポートレートや花の撮影で好まれることが多く、「柔らかいボケ」「なめらかなボケ」と表現される場合もある。

騒がしいボケとは、背景の輪郭や模様が強調されて見えるボケ。木の枝や葉、フェンスなど細かな模様が二重線になったり、ざわついた印象になったりする。背景が目立ちすぎるため、主題への視線が分散することがあります。

ボケの良し悪しは単純に明るいレンズほど優れるわけではなく、球面収差の補正状態やレンズ構成、絞り羽根の形状などによって変化します。また、撮影距離や背景との距離によっても印象は大きく変わります。

ボケの評価には好みも大きく関係。一般的にはなめらかなボケが高く評価されることが多いものの、被写体や作品の雰囲気によっては、少し騒がしいボケが独特の立体感や個性を生む場合もあります。そのため、ボケの質はレンズの性能だけでなく、写真表現の一部として捉えることが重要。

後ボケ

前後ボケ質に大きな差がないニュートラル傾向の描写です。前ボケよりもボケの輪郭が滑らか。色収差の影響はほとんどありません。

前ボケ

後ボケと比べると輪郭が少し残る描写ですが、悪目立ちする要素は控えめ。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

玉ボケとは、背景や前景にある小さな光源が、丸い光の円として写るボケ表現のこと。夜景のイルミネーションや木漏れ日、水面の反射などでよく見られる。一般的に、明るいレンズほど大きな玉ボケを作りやすく、背景を印象的に演出できるため、ポートレートやスナップ撮影で人気がある。

理想的な玉ボケは、円形で輪郭が目立たず、内部の明るさが均一な状態で。しかし実際にはレンズ設計の影響により、さまざまな特徴が現れることがある。例えば、輪郭が明るく縁取られた玉ボケは背景が騒がしく見えやすく、内部に同心円状の模様が現れるものは「玉ねぎボケ」と呼ばれる。

また、画面周辺では玉ボケが円形を保てず、楕円形や猫の目のような形に変形することがある。これは周辺部で光が一部遮られるためで、「口径食」と呼ばれる現象によるもの。

実写で確認

内側は滑らかで綺麗。玉ねぎボケの兆候はありません。
口径食が少し強く、F2.8まで絞るとほぼ解消します。

ボケ実写

至近距離

滑らかで綺麗な後ボケです。

近距離

撮影距離が伸びても滑らかで綺麗なボケ。中央から隅まで不自然な描写はありません。

中距離

さらに撮影距離が伸びてもボケの質感は一定。柔らかい描写ではないので、輝度差の大きなシーンでは背景が少し騒がしくなるかもしれません。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

フレームに全身を入れるような撮影距離でも後ボケは滑らかで綺麗。欠点が目立たず、大きく拡大しても使い勝手の良い描写です。撮影距離に関わらず非常に良好。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは、画面の中央に比べて四隅や周辺部分が暗く写る現象。英語では「ビネッティング(Vignetting)」とも呼ばれる。

本来は画面全体が同じ明るさで写るのが理想ですが、レンズの構造上、周辺部へ届く光の量が中央より少なくなることがあります。その結果、写真の四隅がわずかに暗くなり、特に青空や白い壁など均一な被写体を撮影すると目立ちやすい。

周辺減光は広角レンズや大口径レンズで発生しやすく、開放F値付近で最も強く現れることが多い。レンズを1〜2段ほど絞ると改善する場合が多く、近年のミラーレスカメラではソフトウェア補正によって自動的に軽減。

一般的には欠点として扱われるものの、必ずしも悪い現象とは限りません。画面の四隅が暗くなることで視線が中央へ集まりやすくなり、ポートレートやスナップ写真では雰囲気作りに役立つ場合もあります。そのため、あえて補正せずに利用する写真家もいるくらい。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)で補うため、センサー由来のノイズが発生する原因となる点には注意。特に夜景や星空の撮影などで高感度ISOを使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

絞り開放付近で周辺減光が少し目立ちます。
F2.8まで絞っても少し残り、ほぼ解消するのはF4まで絞った時。

無限遠

最短撮影距離よりも少し強めの減光効果が発生。ただし絞れば影響はほぼ同じ傾向。

逆光耐性

逆光耐性とは

逆光耐性とは、太陽や強い照明が画面内、または画面のすぐ外にある状況で、画質をどれだけ維持できるかを示す性能。

逆光下では、レンズ内で光が反射・散乱することで「フレア」や「ゴースト」が発生。フレアは写真全体が白っぽくなってコントラストが低下する現象で、ゴーストは光源の形をした模様や色付きの像が画面内に現れる現象。

逆光耐性が高いレンズは、強い光源が画面内にあってもコントラストや色の再現性を維持しやすく、フレアやゴーストの発生も少ない。近年のレンズでは特殊コーティングの採用により大幅改善。

ただし、逆光耐性が優れていても完全にフレアやゴーストをなくすことは難しい。特に超広角レンズやズームレンズでは光学設計上の制約から発生しやすい場合があります。

レンズレビューで「逆光耐性が優秀」と評価される場合、太陽を画面に入れた撮影でも画質の低下が少なく、安定した描写が期待できることを意味しています。

中央

強い光源を正面から受けてもフレア・ゴーストの影響はわずか。絞ると主張強めの光条が発生しますが、フレアは良く抑えられています。

絞り値に関係なく、フレア・ゴーストがよく抑えられています。

光条

光条とは

光条とは、太陽や街灯などの強い点光源から放射状に伸びる光の筋のこと。英語では「サンスター(Sunstar)」とも呼ばれる。

光条は主にレンズを絞ったときに発生しやすく、絞り羽根の枚数や形状によって見え方が変化。例えば、夜景の街灯が星のように見えるのは光条の効果によるもの。

光条がシャープで均一なレンズは、風景写真や夜景写真を好む撮影者から高く評価されます。一方、光条が太かったり不揃いだったりすると、見栄えがやや不自然。

一般的に開放F値では光条はほとんど目立たず、F8〜F16程度まで絞ると現れやすくなる。ただし、絞りすぎると回折の影響で解像感が低下するため、光条の強さと画質のバランスを考慮する必要があります。

レンズレビューで「美しい光条が得られる」と評価される場合、夜景やイルミネーション撮影で点光源を印象的に表現しやすいことを意味しています。逆に「光条が不規則」と評価される場合、光の筋の長さや形が揃わず、やや雑然とした印象になることを示しています。

実写で確認

F8から光条が目立ち始め、F11-16で最も良好。先細りする綺麗な光条に見えます。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • (買い方にもよるが)高性能な標準レンズとしては安い
  • 良好な外装の造りと防塵防滴構造
  • EVOシリーズで統一されたフィルター径(26mmを除く)
  • 豊富なコントロール
  • 撮影距離を選ばず優れた解像性能
  • 像面湾曲の問題なし
  • 倍率色収差を良好に補正
  • 軸上色収差を良好に補正
  • 歪曲収差が穏やか
  • コマ収差を良好に補正
  • 球面収差を良好に補正
  • ニュートラルで綺麗なボケ
  • 逆光耐性
  • 絞ると綺麗な光条

優れたビルドクオリティと光学性能のF1.8 標準レンズ。撮影距離を選ばず、絞り値を選ばず、被写体を選ばず、何にでも安定した結果を得ることができます。個性的な描写ではないものの、ここまで高性能なF1.8レンズは少ない。少なくとも、光学性能だけで言えばニコンやソニーの純正品に匹敵するパフォーマンスを備えています。

悪かったところ

ココに注意

  • フォーカスブリージングが目立つ
  • 純正レンズと比べるとAFの速度と精度が僅かに劣る
  • 口径食が少し強い
  • 周辺減光が少し強い
  • 社外製レンズのためファームウェア互換性は要確認

ニコンZ S-Lineに匹敵する光学性能ですが、フォーカスブリージングなどAF性能は若干見劣りします。動体や動画撮影を重視するのであればNIKKORを選ぶほうが良いでしょう。ただし、ソニーFE ZAはVILTROXと同じくフォーカスブリージングが目立ちます(AF速度は若干速い)。

光学性能に欠点はほとんどありませんが、敢えて言えば口径食と周辺減光が少し強いくらい。他のレンズも同様なので、本レンズだけの欠点ではありません。

結論

社外製のF1.8 標準レンズとしては少し高めですが、それだけの価値を秘めた製品。非常に優れた光学性能と機能的で良好なビルドクオリティを両立。撮影シーンを選ばず、安定した結果が得られる大口径レンズとして重宝します。

欠点があるとすればサードパーティ製品なので互換性の問題がつきまとうくらい。ただし、VILTROXが頻繁にファームウェアアップデートを実施しているので「動作しない」という問題は少ないはず。

販売価格は国内代理店経由だと純正品並みの値付け。それでもVILTROXを選ぶ理由はあると思いますが、出来れば値下セール時を狙うのがおススメです。
AliExpressでだいぶ安く入手できますが、個人輸入のリスク(初期不良時は自分で対応・到着までに時間がかかるなど)は要確認。

VILTROX AF 55mm F1.8 EVO
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
VILTROX AliExpress    

購入を悩んでいる人

NIKKOR Z 50mm f/1.8 S

ニコンの高性能な50mm F1.8レンズ。
Zマウントなら素直にコレを選んだほうが良いのでは?というのが正直なところ。AF性能が良好で、逆光耐性も優れています。純正品なので互換性の心配も少ない。

敢えてVILTROXを選ぶとしたら、絞りリングやFnボタンなど操作性の部分に価値を見出した時。

NIKKOR Z 50mm f/1.8 S
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Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA

ソニー純正55mm F1.8。
設計が古く、純粋な光学性能という観点ではVILTROXがより良好。AF速度は少し速いですが、軸上色収差が目立つ場面があり、近距離では周辺・隅の解像性能が低下します。

VILTROXより少し柔らかい後ボケが得られるものの、玉ねぎボケと色収差により悪目立ちするシーンもあります。比較して癖のある描写。

価格も少し高めなので、VILTROXを選ぶのもあり。

Sonnar T* FE 55mm F1.8 ZA
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購入早見表

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VILTROX AF 55mm F1.8 EVO
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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