FUJIFILMレンズ カメラ レンズ 機材レビュー 管理人レビュー 解像力チャート

富士フイルム XF27mmF2.8 R WR レンズレビュー完全版

このページでは「XF27mmF2.8 R WR」のレビューを掲載しています。

XF27mmF2.8 R WRのレビュー一覧

レンズの評価

ポイント 評価 コメント
価格 XFレンズとしては安価
サイズ 最小クラス
重量 最軽量クラス
操作性 小型のわりに良好
AF性能 繰り出し式だが高速
解像性能 像面湾曲の影響あり
ボケ 近寄れば良好
色収差 良好な補正状態
歪曲収差 穏やかな樽型
コマ収差・非点収差 開放付近で目立つ
周辺減光 このクラスでは良好
逆光耐性 競合製品より優れている
満足度 携帯性が強みの純正レンズ

評価:

ポイント

細かいこと気にしなければ満足度の高いコンパクトレンズ

繰り出し式フォーカスや長めの最短撮影距離などの欠点があるものの、小型軽量で扱いやすく、持ち出しやすい27mmレンズ。細かいことを気にしなければ光学性能は良好で、AF速度もキビキビしています。

光学的に完璧とは言えませんが、このサイズのレンズにそれを求めるのは酷と言うもの。X-M5などと組み合わせて、日常的にAPS-Cミラーレスを気軽に楽しめる組み合わせです。

Despite some drawbacks, such as a sliding focus mechanism and a relatively long minimum focusing distance, this 27mm lens is compact, lightweight, easy to handle, and convenient to carry around. If you don’t get too hung up on the details, its optical performance is good, and the autofocus is snappy.
It may not be optically perfect, but it would be unfair to expect that from a lens of this size. Paired with a camera like the X-M5, it’s a great combination for casually enjoying an APS-C mirrorless camera in everyday use.

まえがき

2013年発売の「XF27mmF2.8」の後継モデル。
光学系を継承しつつ、絞りリングの搭載、防塵防滴仕様などを追加。

従来通り小型軽量な薄型レンズであり、コンパクトなミラーレスカメラとの相性が非常に良好。絞りリングが追加されたことで、コントロールの少ない小型ボディでも快適に操作することが出来ます。

35mm判換算で40.5mmとなる焦点距離をF2.8の口径でカバー。適度な画角と運用しやすいサイズのレンズです。富士フイルムXマウント純正レンズの中では比較的安価なレンズであり、導入しやすいのも特徴の一つ。

主な仕様

従来通りフォーカスユニットは前群レンズ5枚を繰り出すDCモーター駆動。防塵防滴仕様ですが、フッ素コーティング処理の記述は見当たりません。

焦点距離 27mm
レンズ構成 5群7枚
開放絞り F2.8
最小絞り F16
絞り羽根 7枚
最短撮影距離 34cm
最大撮影倍率 0.1倍
フィルター径 ø39mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング EBC
サイズ ø62mm×23mm
重量 84g
防塵防滴 対応
AF DCモーター
絞りリング 搭載
その他のコントロール -
付属品 フード

価格のチェック

売り出し価格は5万円前後。「27mm F2.8」の社外製レンズ(TTArtisanや7Artisansなど)と比べると倍近い価格ですが、防塵防滴仕様に対応しているのは本製品のみ。

XF27mmF2.8 R WR
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
  キタムラで中古品を探す

レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

富士フイルムらしい黒を基調としたシンプルなデザイン。焦点距離を大きく、目立つようにプリント。箱をいくつも保管している人にとって分かりやすい。

レンズ本体のほか、ねじ込み式フード、キャップ、ラッピングクロス、説明書、保証書が付属します。

外観

他の「F2/F2.8 R WR」レンズと同じく、金属外装の頑丈な作り。

レンズマウント・外装・絞りリング・フォーカスリング・フィルターソケットまで金属製。プラスチック外装と比較した際の長所・短所はあるものの、「持つ喜び」の観点で言えば良好。

小型軽量ながら絞りリングとフォーカスリングを搭載。鏡筒の前半分は全てコントロールです。後半分の側面には製造国やシリアルナンバーを記載したシールが張り付けられています。

製造国はフィリピン。

XF23mmF2.8 R WRとほぼ同じサイズ。27mmよりも新しい23mmは外装に改善点(2つのリングの配置やマウント側グリップ)があるものの、実際に使ってみると差はあまり感じません。

ハンズオン

サイズ ø62mm×23mm
重量 84g

レンズ本体の重量は100gを切り、全長は3cmもありません。小型軽量で携帯性が高く、コンパクトなAPS-Cミラーレスと相性が良好。コンパクトなレンズですが、金属外装で質感は高い。

中国メーカーの27mmレンズはサイズ・重量が少し大きめ。ただし、鏡筒全長は伸びません。

前玉・後玉

レンズ前面はフッ素コーティング処理されていないため、ダメージが予想される場合は保護フィルターを装着しておくと良いでしょう。ただし、39mmに対応するフィルターは選択肢が少ない。

フォーカス時はフィルターソケットごと内筒が前後。最短撮影距離でレンズが僅かに伸びます。

金属製レンズマウントは4本のネジで本体に固定。マウントの周囲は防塵防滴用のシーリングあり。

フォーカスリング

レンズ先端に最小限のフォーカスリングを搭載。きちんとした抵抗感で滑らかに回転します。

リングはノンリニアレスポンスで動作。回転速度に応じて移動量が変化します。ピント全域を素早く移動させる際のストロークは90度を少し超える程度。ゆっくり回転すると180度を超えます。DCモーター駆動の本レンズは微調整時に少しかくつく場合もありますが、基本的には滑らかに動作。

絞りリング

F2.8の絞り開放から最小絞りのF16まで、1/3段刻みでクリック感のある絞りリングを搭載。F16からさらに回転すると「A」ポジションに切り替わります。

Aポジションに絞りリングを移動すると、自動的にリングがAポジションにロックされる仕組み。

レンズフード

39mmフィルターソケットにねじ込むタイプのドーム状レンズフードが付属。フィルターを利用したい場合は先にフィルターを装着する必要があります。

装着例

X-M5に装着。
APS-Cセンサー搭載のデジタルカメラとは思えないほど携帯性の良い組み合わせで、個人的にはX-E5との組み合わせよりも好み。

AF・MF

フォーカススピード

レンズ繰り出し式フォーカスとしてはキビキビと動作しています。ステッピングモーターやボイスコイルモーター駆動のフォーカスと比べると遅め。後述するフォーカスブリージングが目立つので、状況によってはフレーム周辺・隅にピントを合わせにくいかもしれません。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

レンズ繰り出し式フォーカスということもあり、ピント位置によって画角が大きく変化します。

Before imageAfter image

精度

レンズ側の問題ではないと思いますが、稀にピントが合っていない状態で合焦となる場合があります。(X-E5・X-M5 装着時)

MF

フォーカスリングが非常に小さいため、常時MFが快適というわけではありません。微調整など必要最低限の操作を行うには十分。

クローズアップ

最短撮影距離 34cm
最大撮影倍率 0.1倍

35mm判換算で40mm相当のレンズとしては最短撮影距離が長く、被写体のクローズアップが難しい。7ArtisansやTTArtisanなどの競合製品と比べても少し劣る部分です。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:FUJIFILM X-E5
  • 交換レンズ:XF27mmF2.8 R WR
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 125 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

中央は絞り開放から非常に良好ですが、周辺・隅に向かってパフォーマンスが低下します。遠景のテストでも似たような結果が得られており、近接によるパフォーマンス低下ではありません。

開放こそソフトですが、絞ると周辺・隅は徐々に改善します。F5.6-8.0まで絞ることで十分に良好な結果となる。遠景のテストと同じような傾向です。F8まで絞ってしまえば、全体的に均質性の高いシャープな画質。

中央

F2.8から良好で絞りによる改善効果は薄い。

周辺

F2.8は少しソフトですが、F8のピークに向かって徐々に改善します。

四隅

周辺部と同程度か少しソフト。やはりF8のピークに向かって少しずつ改善します。

数値確認

Center Mid Corner
F2.8 4183 2834 2104
F4.0 4020 3153 2439
F5.6 4041 3618 3139
F8.0 4020 3661 3690
F11 3343 3275 3324
F16 2659 2461 2505

競合製品比較

テスト機が異なるので参考までに。
27mmで最も優れたパフォーマンスを発揮するのは「VILTROX AF 27mm F1.2 Pro」ですが、サイズ・価格が大きく異なります。

7Artisans・TTArtisanが直接競合。少なくとも2600万画素モデルでは良好なパフォーマンスを発揮するレンズでした。ただし、中央の解像性能のみを考慮すると、XF27mmF2.8が最も優れたレンズです。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2026.7.10 晴れ 微風
  • カメラ:FUJIFILM X-E5
  • 三脚:SIRUI AM324
  • 雲台:アルカスイスZ1+
  • 露出:ISO 160
  • RAW:Adobe Camera RAW 現像
  • シャープネスオフ
  • ノイズリダクションオフ
  • レンズ補正オフ

中央

チャートテストと同じく、絞り開放から良好な解像性能を発揮。軸上色収差の影響が残存していますが、F4.0まで絞ると解消します。絞りによる大きな変化は無く、4000万画素に「なんとか」耐えうる性能のように見えます。

周辺

中央と比べるとF2.8の細部がややソフト。絞りにより徐々に改善しますが、ピークの結果が得られるのはF8付近と遅め。これは像面湾曲が影響しているので、ピント位置によってはF2.8から良好の場合あり。

四隅

周辺よりも像面湾曲の影響は抑えられているように見えますが、絞りによる改善は遅め。ベストを尽くす場合は、やはりF8くらいまで絞りたいところ。

像面湾曲

像面湾曲とは?

像面湾曲とは、本来は平らなはずのピント面が、レンズの特性によって曲面になってしまう収差。

理想的なレンズでは、平らな被写体を撮影した際に画面全体へ同じようにピントが合う。しかし、像面湾曲があると、中央にピントを合わせたときに周辺がぼやけたり、逆に周辺へピントを合わせると中央がぼやけたり。

例えば、壁や新聞、建物の正面など平面的な被写体を撮影すると、中央はシャープなのに四隅だけ甘く見えることがあります。この場合、レンズの解像性能が低いのではなく、ピント面が湾曲していることが原因の可能性あり。また、像面湾曲には内側へ曲がるものと外側へ曲がるものがあり、レンズによって傾向が異なる。

像面湾曲は画面の隅に向かうほど影響が大きくなるため、風景や建築写真では重要な性能項目の一つ。一方、ポートレートや近接撮影では必ずしも欠点とは限らず、被写体の立体感や独特の描写に寄与することも。

なお、像面湾曲はピント位置の問題であり、色収差や歪曲収差とは異なります。また、レンズを絞ると被写界深度が深くなるため影響が目立ちにくくなる。レンズレビューで「像面湾曲が少ない」と評価される場合、画面中央から周辺まで均一なピント面を維持しやすく、風景や建築物をシャープに撮影しやすいことを意味する。

参考:ニコン 収差とは

ピント面が分かりやすいように加工しています。

実写で確認

中央と隅でピントを合わせて撮影した結果をそれぞれ左右に掲載。影響は一目瞭然で、ピント位置によって結果が大きく異なります。

公式では「像面湾曲を抑えた」という表現がありますが、2013年当時の基準なのかもしれません。4000万画素のXシリーズ用としては補正不足に見えます。

倍率色収差

倍率色収差とは?

倍率色収差とは、レンズが光の色によって異なる倍率で像を結んでしまう現象。その結果、画像の色ごとの大きさがわずかに異なり、被写体の輪郭部分に色のずれが発生。

軸上色収差がピント位置の前後で起こるのに対し、倍率色収差は主に画面周辺で目立つ。例えば、建物の輪郭や電線、木の枝などの境界部分に、赤や紫、青、緑などの色の縁取りなど。画面中央ではほとんど見えないものの、周辺へ行くほど目立ちやすくなるのが特徴。

倍率色収差は絞りを変えてもほとんど改善しないため、レンズ設計による補正が重要。一方で、軸上色収差と異なり、デジタル補正との相性が良く、多くのミラーレスカメラや現像ソフトでは自動補正容易。そのため実際の撮影では大きな問題になりにくい場合も多い。

ただし、高解像モデルで風景や建築物を撮影する際には解像感の低下につながる可能性あり。レンズレビューで「倍率色収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺でも色の縁取りが少なく、被写体の輪郭をより正確かつシャープに描写できることを意味しています。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り全域で倍率色収差は良く補正されています。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とは、レンズが光の色ごとに異なる位置へピントを結んでしまう現象。光には赤や緑、青などさまざまな色が含まれており、レンズを通ると色によって曲がり方がわずかに異なる。そのため、ある色にピントが合っていても別の色は前後にずれ、画像に色のにじみが発生。

軸上色収差は主にピント面の前後に現れ、ピントより手前では紫色やマゼンタ色、奥側では緑色のにじみとして見えることが多い。特に開放F値の明るいレンズや望遠レンズで目立ちやすく、金属の反射部分や白い文字、逆光の被写体など高コントラストな場面で確認しやすい。

また、画面中央でも周辺でも発生するため、絞りを開けた状態では画面全体の解像感やコントラストを低下させる原因となる。一般的にはレンズを1~2段ほど絞ると大幅に改善。近年の高性能レンズでは特殊低分散ガラスなどを使用して補正されているものの、完全にゼロにすることは難しい。レンズレビューで「軸上色収差が少ない」と評価される場合は、ピント面前後の色にじみが少なく、よりシャープな描写が期待できるという意味。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

F2.8の開放F値を考慮すると少し強めの色収差が残存。ただし、F4までにほぼ解消します。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、被写体の形そのものが変形して写る現象。レンズの解像力やピントとは別の問題で、直線であるはずのものが曲がって記録されるのが特徴。

代表的なものは「樽型歪曲」と「糸巻き型歪曲」。樽型歪曲では画面中央から外側へ向かって線が膨らみ、建物の壁や地平線が外側へふくらんで見える。一方、糸巻き型歪曲では線が内側へ引っ張られたように曲がる。また、ズームレンズでは広角側で樽型、望遠側で糸巻き型になることも多い。

歪曲収差は特に建築物や室内、風景写真など、直線が多い被写体で目立ちやすい。人物撮影では気付きにくい場合もありますが、画面周辺に人物を配置すると体形や顔の形がわずかに変形して見える可能性あり。

他の収差と異なり、歪曲収差は画面のシャープネスや色にじみにはほとんど影響しません。そのため、近年のミラーレスカメラや現像ソフトではデジタル補正が広く利用されており、多くのレンズで自動的に補正されています。

レンズレビューで「歪曲収差が少ない」と評価される場合は、建物や水平線などの直線を自然な形で再現できることを意味しています。一方、歪曲収差をソフトウェア補正する前提で設計されたレンズも多く、実写では大きな問題にならない場合も少なくない。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

「穏やか」と表現するには少し強めの樽型歪曲が残っています。過度ではないものの、直線的な被写体を撮影する場合は補正が必要となる可能性が高い。幸いにもカメラでは自動補正され、対応する現像ソフトではレンズプロファイルを利用できます。補正を許容できる場合は無視できる収差。

Before imageAfter image

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差とは、画面周辺の点光源が彗星(Comet)のように尾を引いた形に変形して写る現象。名称の「コマ」は英語の Coma(彗星)に由来。

本来、星や街灯のような点光源は丸い点として写るべきところ、コマ収差が大きいレンズでは画面周辺で三角形や鳥が羽を広げたような形に崩れる。特に画面の隅に近づくほど目立ちやすい。

コマ収差は星景写真や夜景撮影で重要な性能項目。例えば、画面中央の星はきれいな点に写っていても、四隅の星が流れたような形に。昼間の撮影では気付きにくいものの、夜間の点光源では容易に確認可能。

一般的にはレンズを少し絞ることで改善。レンズレビューで「コマ収差が良好に補正されている」と評価される場合、画面周辺の星や街灯も点に近い形で再現できることを意味しています。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り開放のフレーム隅に点像の変形があります。絞っても急速には改善せず、少なくともF5.6、できればF8まで絞りたいところ。遠景解像テストでフレーム隅がやや甘かった原因と思われます。

球面収差

球面収差とは

球面収差とは、レンズの中心を通る光と周辺を通る光が異なる位置でピントを結んでしまう収差。その結果、ピントが合っているはずの部分でも像がわずかににじみ、シャープさやコントラストが低下。

理想的なレンズでは、すべての光が同じ位置に収束。しかし実際のレンズは、中心付近を通る光と周辺部を通る光の集まり方が異なるため、一点に完全には集まりません。

球面収差が大きいレンズでは、開放F値で撮影した際に全体が少し柔らかく見えたり、光がにじんだような描写。特にポートレート用レンズでは、この特性を活かして肌をなめらかに見せる場合もあります。一方、風景や建築写真では解像感の低下につながるため、できるだけ少ないことが望ましい。

球面収差は前ボケと後ボケの見え方にも大きく影響。球面収差の補正状態によってボケの柔らかさや輪郭の強さが変化するため、レンズごとの描写の個性を生む要素の一つ。

一般的にはレンズを絞ることで周辺光線が制限され、球面収差は大幅に改善。レンズレビューで「球面収差がよく補正されている」と評価される場合は、開放F値から高い解像感とコントラストを得やすいことを意味します。一方で、あえて球面収差を少し残すことで、柔らかく自然なボケ描写を実現しているレンズも存在。

実写で確認

ボケの質感は前後で大きな違いがありません。よく見ると軽微な差があるものの、良好な補正状態です。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

綺麗なボケとは、輪郭が目立たず、背景がなめらかに溶けるような描写。被写体が背景から自然に浮かび上がり、見る人の視線を主題へ導きやすい。ポートレートや花の撮影で好まれることが多く、「柔らかいボケ」「なめらかなボケ」と表現される場合もある。

騒がしいボケとは、背景の輪郭や模様が強調されて見えるボケ。木の枝や葉、フェンスなど細かな模様が二重線になったり、ざわついた印象になったりする。背景が目立ちすぎるため、主題への視線が分散することがあります。

ボケの良し悪しは単純に明るいレンズほど優れるわけではなく、球面収差の補正状態やレンズ構成、絞り羽根の形状などによって変化します。また、撮影距離や背景との距離によっても印象は大きく変わります。

ボケの評価には好みも大きく関係。一般的にはなめらかなボケが高く評価されることが多いものの、被写体や作品の雰囲気によっては、少し騒がしいボケが独特の立体感や個性を生む場合もあります。そのため、ボケの質はレンズの性能だけでなく、写真表現の一部として捉えることが重要。

後ボケ

滲むように柔らかいボケ質とは言えませんが、ピント面からアウトフォーカスに向かって滑らかなボケが得られています。色収差の影響は穏やか。

前ボケ

後ボケと大きな違いはなく、ニュートラルな性質であることが分かります。前景・背景どちらにボケを入れても使いやすいレンズです。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

玉ボケとは、背景や前景にある小さな光源が、丸い光の円として写るボケ表現のこと。夜景のイルミネーションや木漏れ日、水面の反射などでよく見られる。一般的に、明るいレンズほど大きな玉ボケを作りやすく、背景を印象的に演出できるため、ポートレートやスナップ撮影で人気がある。

理想的な玉ボケは、円形で輪郭が目立たず、内部の明るさが均一な状態で。しかし実際にはレンズ設計の影響により、さまざまな特徴が現れることがある。例えば、輪郭が明るく縁取られた玉ボケは背景が騒がしく見えやすく、内部に同心円状の模様が現れるものは「玉ねぎボケ」と呼ばれる。

また、画面周辺では玉ボケが円形を保てず、楕円形や猫の目のような形に変形することがある。これは周辺部で光が一部遮られるためで、「口径食」と呼ばれる現象によるもの。

実写で確認

フレーム隅に向かって口径食の影響がありますが、玉ボケの描写は滑らかで綺麗。色収差の影響は穏やかで目立ちません。口径食はF4.0付近まで絞るとほぼ解消します。

ボケ実写

至近距離

ボケの輪郭は目立たず、滑らかで綺麗。これと言って欠点はありません。

近距離

撮影距離が少し伸びても問題なし。至近距離と比べるとボケが硬いですが、フレーム隅の口径食が少し強めですが、悪目立ちする描写ではありません。

中距離

さらに撮影距離が伸びると、ボケの輪郭が目立ちはじめ、色収差の影響も目につくようになります。騒がしく見える場合は少し絞ったほうが良いかもしれません。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

フレームに全身を入れる撮影距離でボケはほとんど得られず、被写体を背景から分離するのは難しい。膝上・上半身くらいまで近づくことで、背景を少しぼかすことが出来ます。後ボケは少し騒がしいですが、ボケが小さいので目立ちません。

上半身-バストアップの距離はボケのサイズと質感から騒がしく見える可能性あり。状況に応じて絞ったほうが良さそうです。顔のクローズアップまで近寄ると、全体的に滑らかな描写。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは、画面の中央に比べて四隅や周辺部分が暗く写る現象。英語では「ビネッティング(Vignetting)」とも呼ばれる。

本来は画面全体が同じ明るさで写るのが理想ですが、レンズの構造上、周辺部へ届く光の量が中央より少なくなることがあります。その結果、写真の四隅がわずかに暗くなり、特に青空や白い壁など均一な被写体を撮影すると目立ちやすい。

周辺減光は広角レンズや大口径レンズで発生しやすく、開放F値付近で最も強く現れることが多い。レンズを1〜2段ほど絞ると改善する場合が多く、近年のミラーレスカメラではソフトウェア補正によって自動的に軽減。

一般的には欠点として扱われるものの、必ずしも悪い現象とは限りません。画面の四隅が暗くなることで視線が中央へ集まりやすくなり、ポートレートやスナップ写真では雰囲気作りに役立つ場合もあります。そのため、あえて補正せずに利用する写真家もいるくらい。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)で補うため、センサー由来のノイズが発生する原因となる点には注意。特に夜景や星空の撮影などで高感度ISOを使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

絞り開放でやや目立ちますが、F4.0まで絞るとほぼ解消します。

無限遠

最短撮影距離と同じ傾向ですが、四隅の減光効果が少し強め。

逆光耐性

逆光耐性とは

逆光耐性とは、太陽や強い照明が画面内、または画面のすぐ外にある状況で、画質をどれだけ維持できるかを示す性能。

逆光下では、レンズ内で光が反射・散乱することで「フレア」や「ゴースト」が発生。フレアは写真全体が白っぽくなってコントラストが低下する現象で、ゴーストは光源の形をした模様や色付きの像が画面内に現れる現象。

逆光耐性が高いレンズは、強い光源が画面内にあってもコントラストや色の再現性を維持しやすく、フレアやゴーストの発生も少ない。近年のレンズでは特殊コーティングの採用により大幅改善。

ただし、逆光耐性が優れていても完全にフレアやゴーストをなくすことは難しい。特に超広角レンズやズームレンズでは光学設計上の制約から発生しやすい場合があります。

レンズレビューで「逆光耐性が優秀」と評価される場合、太陽を画面に入れた撮影でも画質の低下が少なく、安定した描写が期待できることを意味しています。

中央

絞り全域でフレアとゴーストを良好に抑えています。強い光源を正面から受けて、ここまで影響が目立たないレンズは珍しい。本レンズの強みと言える部分。

光源を隅に移動しても問題無し。

光条

光条とは

光条とは、太陽や街灯などの強い点光源から放射状に伸びる光の筋のこと。英語では「サンスター(Sunstar)」とも呼ばれる。

光条は主にレンズを絞ったときに発生しやすく、絞り羽根の枚数や形状によって見え方が変化。例えば、夜景の街灯が星のように見えるのは光条の効果によるもの。

光条がシャープで均一なレンズは、風景写真や夜景写真を好む撮影者から高く評価されます。一方、光条が太かったり不揃いだったりすると、見栄えがやや不自然。

一般的に開放F値では光条はほとんど目立たず、F8〜F16程度まで絞ると現れやすくなる。ただし、絞りすぎると回折の影響で解像感が低下するため、光条の強さと画質のバランスを考慮する必要があります。

レンズレビューで「美しい光条が得られる」と評価される場合、夜景やイルミネーション撮影で点光源を印象的に表現しやすいことを意味しています。逆に「光条が不規則」と評価される場合、光の筋の長さや形が揃わず、やや雑然とした印象になることを示しています。

実写で確認

F16まで絞ると明瞭な光条が発生しますが、先細りせず、分散するタイプの描写。このレンズで光条を入れたい場合、クロスフィルターを導入したほうが良いでしょう。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 小型軽量
  • 防塵防滴(同カテゴリでは珍しい)
  • 金属製のしっかりとした作り
  • 絞りリングを搭載
  • キビキビとしたAF速度
  • 優れた中央解像
  • 倍率色収差を良好に補正
  • ニュートラルで綺麗なボケ(近距離時)
  • 逆光時のゴースト・フレアが少ない

XFシリーズレンズとしては手頃な価格を維持しつつ、防塵防滴と絞りリングを搭載した小型軽量レンズ。古い設計の光学系ながら、4000万画素のカメラでも中央はシャープで、周辺や隅もしっかり絞れば良好な結果が得られます。

十分に近寄ればボケは滑らかで綺麗な描写で、逆光時のフレア・ゴーストは少なめ。細かいことを言わなければ、日常的に快適に使うことができる27mmレンズです。

悪かったところ

ココに注意

  • 繰り出し式DCモーター駆動のフォーカス
  • フォーカスブリージングが目立つ
  • 最短撮影距離が長め
  • 競合製品よりも少し高め
  • 像面湾曲の影響がある
  • フレーム隅の点像再現性が悪い
  • 光条が綺麗ではない

XF23mmF2.8にも言えることですが、DCモーター駆動の繰り出し式フォーカスは(ミラーレスのAFとして)野暮ったく感じます。小型軽量レンズの妥協点とも言えますが、事前に把握しておきたい問題点。鏡筒は伸びるし、大きなレンズフードは付けられません(構造に負担がかかりそうで)。

また、同じ27mmレンズやフルサイズの40mmレンズと比べて最短撮影距離が少し長めです。小さい被写体やテーブルフォトなど、撮影距離を短くしたい場合に不利となります。

光学的に最も気になるのは像面湾曲の影響。全体的に見れば使いやすい性能ですが、F2.8で遠景のパンフォーカスが多い場合は注意が必要です。

結論

繰り出し式フォーカスや長めの最短撮影距離などの欠点があるものの、小型軽量で扱いやすく、持ち出しやすい27mmレンズ。細かいことを気にしなければ光学性能は良好で、AF速度もキビキビしています。

光学的に完璧とは言えませんが、このサイズのレンズにそれを求めるのは酷と言うもの。X-M5などと組み合わせて、日常的にAPS-Cミラーレスを気軽に楽しめる組み合わせです。

XF27mmF2.8 R WR
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
  キタムラで中古品を探す

競合製品

*社外製品のため互換性が完璧ではない可能性があります。

TTArtisan AF 27mm F2.8

焦点距離と開放F値が丸被りの競合製品。純正品よりも大幅に安い。
防塵防滴仕様ではないものの、絞りリングを搭載。レンズ繰り出しは鏡筒内部で完結するため、フィルターを装着することで密閉可能という利点があります。

光学性能は思いのほか良好ですが、逆光耐性で評価を大幅に落とすレンズ。強い光源以外でもフレアが発生しやすいのはマイナスポイント。

TTArtisan AF 27mm F2.8 Fuji X
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
PERGEAR 焦点工房 Emgreat  
焦点工房(限定モデル)    
  キタムラで中古在庫を探す
TTArtisan AF 27mm F2.8 Nikon Z
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
PERGEAR キタムラで中古在庫を探す
TTArtisan AF 27mm F2.8 Sony E
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
PERGEAR キタムラで中古在庫を探す

VILTROX AF 25mm F1.7

レンズサイズ・重量差が気にならなければ、低価格ながら大口径で高性能なレンズ。絞りリングや防塵防滴は非対応ですが、性能を考慮すると検討する価値あり。

VILTROX AF 25mm F1.7(ワード検索)
楽天市場 Amazon PERGEAR Yahoo
AliExpress      

VILTROX AF 28mm F4.5

XF27mmよりもさらに薄型のAFレンズ。これでフルサイズまで対応するイメージサークルをカバー。ただし、絞りは「F4.5」固定で、フォーカスリングなどのコントロールは無し。

割り切った仕様のレンズですが「絞りを選ぶ」という選択肢がないぶんシンプルに使うことができます。個人的にはXF27mmよりも好きだったりします。(画質が良いという意味ではありません)

入手方法によっては1万円前半。XF27mmより気兼ねなく、壊すつもりで無茶できるのも面白いところ。

VILTROX 28mm F4.5
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
PERGEAR      

購入早見表

このような記事を書くのは時間がかかるし、お金もかかります。もしこの記事が役に立ち、レンズの購入を決めたのであれば、アフィリエイトリンクの使用をご検討ください。これは今後のコンテンツ制作の助けになります。

XF27mmF2.8 R WR
楽天市場 Amazon キタムラ Yahoo
  キタムラで中古品を探す

作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

関連レンズ

関連記事

広告

*手動広告を試験的に導入しています。  

期間限定セール

アウトレットなど

キャッシュバック

カメラメーカー直販・店舗リンク(楽天市場)

-FUJIFILMレンズ, カメラ, レンズ, 機材レビュー, 管理人レビュー, 解像力チャート
-,