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PERGEAR 7.5mm F2.8 FishEye 交換レンズレビュー 完全版

このページではPERGEARの交換レンズ「PERGEAR 7.5mm F2.8」の徹底レビューを掲載しています。このクラスでは珍しい10枚羽根の綺麗な光条が特徴的なMF魚眼レンズ。

管理人
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おことわり
今回はPERGEARから無償提供されたレンズを使用しています。レビューに関して金銭の授受は発生していません。あくまでも個人的・恒例のレンズレビューです。

PERGEAR 7.5mm F2.8 FishEyeのおさらい

レンズ概要

PERGEARは日本であまり聞きなれない会社ですが、「七工匠」「VILTROX」「7Artisans」などの正規代理店。日本語の公式ウェブサイトを持つほか、国内Amazon経由でも購入が可能です。
どうやらオリジナルブランドのレンズも手掛けるようになったらしく、既に「PERGEAR 25mm F1.8」「PERGEAR 35mm F1.2」などを投入しています。今回、PERGEARから提供してもらったのはそんなオリジナルブランドの一つ「PERGEAR 7.5mm F2.8 FishEye」つまり魚眼レンズです。
APS-Cセンサーサイズに対応し、キヤノンEOS-M・ソニーE・富士フイルムX・ニコンZマウントに対応。適したセンサーサイズではありませんが、マイクロフォーサーズマウントでも利用可能となっています。
正直なところ「似たようなレンズを見たことがある」と思うところですが、絞りが10枚偶数羽根となっている魚眼レンズは他に無し。奇数羽根の競合魚眼レンズとは一風変わった光条が期待できそうです。

PERGEAR 7.5mm F2.8 FishEye徹底レビュー

外観・操作性

箱・付属品

必要最小限の小さな箱にレンズとレンズポーチが入っています。
外箱にPERGEARを示すロゴや意匠は存在しません。ブランドを印象付けるうえでこれは勿体ないなと感じます。その点、七工匠の7Artisanシリーズはしっかりとしたデザインの箱で購入者の満足感を高めるのに一役買っているように見えるのでGood。

外観

外装は全て金属パーツを使用しているしっかりとした作り。塗装はアルマイト処理されたような、少し光沢のあるブラック。
細部の意匠は純正レンズほど凝ったものではありませんが、頑丈で、長く愛用できそうな質感であるのは間違いない。
箱と異なり、レンズには「PERGEAR」のロゴがプリントされています。ブランドロゴを含め、ピント距離・絞り値などは全てプリントであり、刻印ではありません。長期間の使用で剥げてくる可能性はありそう。

ハンズオン

全長54mmの小ぶりな魚眼レンズですが、重量は320gあります。金属外装らしい密度の高いレンズであり、プラスチック外装のレンズとは一味違う「高そうな」重みがGood。

前玉・後玉

前玉は魚眼らしい出目金レンズを採用しています。当然、円形フィルターは装着不可。フッ素コーティングは施されていないため、汚れや水滴が付着した際は除去するのに少し手間取ります。ブロアやクリーニングシートは携帯しておくのがおススメ。特に水滴が付着すると逆光時に目立つため、早めに除去したいところ。

レンズマウントに電子接点はありません。当然ながらカメラ側にレンズ情報は記録・伝達されず、レンズをフルマニュアルで操作する必要があります。カメラ側はマニュアル露出や絞り優先モードで使用。この際、カメラ側で「レンズなしのシャッター」を「可」設定をしておかないと、このレンズでシャッターを切ることが出来ません。このレンズに限らず、電子接点無しマニュアルレンズの基本。
後玉はやや小さめ。レンズマウント付近で固定されているため、フォーカシングによる前後の移動はありません。周囲は反射防止を意識したマットブラックの塗装が施されています。

フォーカスリング

約90度の回転角で動作する金属製フォーカスリング。ほぼ滑らかに動作しますが、抵抗が小さく、少し触れただけで設定が変わってしまうのがマイナスポイント。もう少し固めでも良かったと思うのです。
フォーカスリングは最短撮影距離0.12mから0.13mで回転角全域の1/3を使用、さらに0.15mから0.3mで1/3を使用、残った1/3(約30度)で0.3mから0無限遠をカバーしています。遠側の回転角が非常に小さいものの、レンズの被写界深度を考慮するとそう難しい操作ではありません。

絞りリング

F2.8からF22までの絞り値を無段階で調整可能。抵抗量はフォーカスリングよりもやや重めで、滑らかさは同程度。クリック機構がないため、やはり誤操作で絞り値がズレてしまうことが多いです。個人的にはもう少し抵抗が強めでも良かったと感じますが、動画撮影で滑らかに操作したいのであれば、丁度良いと思います。

レンズキャップ

レンズにはかぶせ式の金属製キャップが付属します。ロック機構は無く、キャップ内側に貼り付けられたフェルト生地の摩擦で固定される仕組み。所詮フェルト生地なので、軽く触れると外れてしまいます。カメラバッグから取り出す際に脱落しやすく、紛失する可能性あり。

装着例

X-T20との組み合わせでバランスは良好。操作性で特に不自由さを感じませんが、グリップとフォーカスリングや絞りリングとの距離が近いため、誤操作しやすいように感じます。特に手袋を装着していると可能性大。

解像力チャート

魚眼レンズでは恒例の解像力チャートを普段通り使えないのでざっくり解説。

中央にピントを合わせて撮影したのが上の写真。ご覧の通り、中央にはしっかりピントが合っているものの、四隅に向かってボケているのが分かります。これは像面湾曲の影響でピントが外れてしまっているため。このため、接写時にパンフォーカスを得たい場合はかなり絞る必要があります。
ピントの合った中央領域は絞り開放から良好な解像性能を発揮。軸上色収差が残存しているため、少しコントラストが低いものの、絞ることで色収差がなくなり良好なコントラストを得ることが可能。

四隅にピントを合わせたのが上の写真。ご覧の通り、四方にピントが合っているにも関わらず、中央部がボケています。像面湾曲はかなり大きいようですね。
四隅も絞り開放からまずまず良好な性能に見えますが、少し甘い描写にも見えるため、ベストを尽くすのであればF8付近までガッツリ絞るのがおススメ。倍率色収差の影響は残りますが、そこまで目立たず、シャープな描写を得ることが出来ます。

遠景解像力

実はこのレンズ、絞り開放で無限遠にピントが合わない初期不良品。PERGEARに何度か説明しているものの、どうもかみ合っていないっぽいので、そのままテストしています。まぁ、比較的近距離であれば絞ることで被写界深度内に収めることが出来るため、今回はいつもと異なる撮影シーンの作例で紹介します。

少なくともF8?11まで絞った状態であれば、四隅までシャープに写すことが可能。像面湾曲の影響も見られません。
風景撮影でも十分使える…、いや喜んで使える性能だと感じました。それだけに無限遠にピントを合わせづらいのが惜しい。非常に惜しい。
絞り開放付近は思いのほか軸上色収差の影響が色濃く出るため、「あれ?少し色被りしている?」と感じたら絞ってみると良いかもしれません。絞った際はコントラストが非常に良好。

前後ボケ

魚眼レンズと言うこともあり、ボケはかなり小さめ。このレンズにボケ質を求めるのはナンセンスでしょう。じっくり確認するとやや騒がしいボケ描写ですが、ボケそのものが小さいので特に違和感ありません。心配する必要は無し。

玉ボケ

前述した通り、頑張ってもボケは小さくなります。2線ボケや口径食などの影響が見られるものの、特に心配する必要は無いでしょう。

歪曲収差・周辺減光

魚眼レンズのため歪曲収差はあって然るべきもの。敢えて言えば「思ったほど歪まない」ため、思いのほか使いやすい魚眼レンズだと感じます。
周辺減光は絞り開放からほぼ問題ないレベル。F4まで絞れば解消します。

コマ収差

完璧な補正状態とは言えませんが、コマ収差の影響は小さく無視できる量に抑えられています。さらに絞ればあっと言う間に光条に変化するので気にする必要は無し。

逆光耐性

様々なシーンで撮影してきましたが、良好なパフォーマンスだと感じました。絞るといくらかゴーストが発生するものの、軽微で気にならない程度。後処理でシャドウを大きく持ち上げると、緑色のフレアが目立つ場合があります。また、前述したように、水場で前玉に水滴が付着すると厄介な状況となるので注意。

光条

10枚偶数羽根のため、絞ると10本の光条が発生します。F5.6付近から光条が発生し始め、F11~F16でシャープな描写へと変化。このクラスの魚眼レンズで10枚羽根は珍しいため、貴重な描写のレンズと言えるかもしれません。

総評:描写に関してコスパ良好!操作性は注意が必要

ココがおすすめ

  • コンパクトながらしっかりとした金属鏡筒
  • 絞り開放から非常にシャープな中央領域
  • 絞るとシャープな四隅領域
  • 倍率色収差が目立たない
  • 良好なコントラスト。発色
  • 周辺減光が目立たない
  • 魚眼効果が程よく使いやすい
  • 目立たないコマ収差
  • 良好な逆光耐性
  • 10枚羽根の綺麗な光条
  • 手ごろな価格設定

正直に言うと、光学性能はかなり良いと思います。おそらく初期不良で無限遠にピントが合いづらいのは残念ですが、それ以外で描写についてこれと言った不満はありません。四隅までシャープで高コントラスト、逆光耐性は十分良好で絞ると綺麗な光条が発生します。
電子接点が無いためフルマニュアル操作が必要ですが、被写界深度が深いのでパンフォーカスを得やすく、苦労する場面は少ないはず。
個人的にお気に入りは絞った際に発生する10本の綺麗な光条。画角が広く、太陽をフレーミングしやすい魚眼レンズにおいて、この特性はかなり重要だと思うのです。

ココが残念

  • 初期不良で無限遠が出ない
  • フッ素コーティング非対応(のように感じる)
  • 電子接点なし
  • フォーカスリングは滑らかな動作だが緩すぎる
  • 絞りリングは滑らかな動作だが少し緩い
  • レンズキャップが脱落しやすい
  • 像面湾曲が強い(無限遠での影響は初期不良のため確認不可)
  • 軸上色収差がやや目立つ
  • 粗いボケ(ただし目立たないので問題ナシ)

絞り開放で無限遠にピントが合わない初期不良は置いておくとして、このレンズにおける欠点は使い勝手。許容できない問題ではありませんが、緩いフォーカスリングのせいで、無限遠に設定したリングが何かの拍子に近側へ誤操作してしまったことが何度かあります。絞りリングも然り。
レンズキャップはかなり外れやすく、気を付けて収納しないとカメラバッグ内でキャップが脱落する可能性大。
光学性能の欠点は実写で目立たない可能性が高い。軸上色収差が目立つ絞り開放は、魚眼の絞り開放で撮るシーンでは目立たない場合が多く、粗いボケを含めて等倍で確認しないと分からない程度の問題です。

管理人
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満足度は80点。
純正レンズに魚眼レンズの選択肢がない富士・キヤノンMでは面白い選択肢となる可能性あり。ソニーEやニコンZはアダプターやコンバージョンレンズで純正対応できますが、コストを考慮するとMF魚眼も一つの手。マイクロフォーサーズは使える領域が狭いことを考えると専用設計の魚眼レンズがおススメ。

作例

オリジナルデータはFlickrにて

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