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VILTROX AF 13mm F1.4 STM レンズレビュー 完全版

このページでは「VILTROX AF 13mm F1.4 STM」のレビューを掲載しています。

VILTROX AF 13mm F1.4 STMのレビュー一覧

管理人の評価

ポイント 評価 コメント
価格 安い時は安い
サイズ 適度なサイズ
重量 適度な重量
操作性 必要最低限
AF性能 高速AFで画角変化小
解像性能 大部分は良好
ボケ 微ボケが騒がしい
色収差 良好な補正状態
歪曲収差 非常に良好な補正状態
コマ収差・非点収差 隅で少し目立つ
周辺減光 このクラスとしては良好
逆光耐性 フレアは良く抑えられている
満足度 コスパ良好な大口径広角レンズ

評価:

コスパ良好な大口径広角レンズ

ここ最近値上がりしてしまいましたが、購入するタイミングによっては値上がり以前の価格で入手可能(5万円前後)。この価格帯であれば十分おススメできる光学性能・AF性能のレンズ。サイズも許容範囲内で、小型ミラーレスでもグリップがしっかりとしてれば片手での保持に苦労することはありません。8-9万円の通常価格でも競合不在のため、必要であれば検討する価値があると言えます。

The price has gone up recently, but depending on when you buy it, you can get it at the price before the price increase (around 50,000 yen). This is a lens with optical and AF performance that we can fully recommend at this price range. The size is also within acceptable limits, and if you have a small mirrorless camera with a firm grip, you won't have any trouble holding it in one hand. Even at the usual price of 80,000-90,000 yen, there is no competition, so it is worth considering if you need it.

まえがき

国内では2022年末から流通し始めたAPS-Cミラーレス用の大口径広角レンズ。APS-C用で13mm付近の焦点距離をF1.4でカバーしているレンズは非常に貴重で、直接競合する製品は存在しません。他社にF2 / F2.8 の単焦点レンズは存在するものの、F1.4のAFレンズは本製品のみ。F値を妥協すると「E 11mm F1.8」「YN11mm F1.8 DA DSM WL」などの選択肢が存在します。

レンズマウント E / X / Z
対応センサー APS-C
焦点距離 13mm
レンズ構成 11群14枚
開放絞り F1.4
最小絞り F16
絞り羽根 9枚
最短撮影距離 0.22m
最大撮影倍率 不明
フィルター径 67mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング HDナノマルチコート
サイズ φ74×90mm
重量 420g
防塵防滴 対応
AF STM
絞りリング あり
その他のコントロール -
付属品 レンズフード

APS-C用レンズとしてはやや大きめですが、13mmの焦点距離でF1.4の大口径を実現。レンズ構成は11群14枚で、4枚のEDガラスや2枚の非球面レンズを採用した本格的な光学設計。MTFを見る限りでは隅に向かって顕著な落ち込みはなく、使いやすそうな光学性能。

AFは静かで滑らかな動作を期待できるステッピングモーター駆動を採用。可動部にはシーリングを備えている防塵防滴仕様となっています。

価格のチェック

売り出し価格は5万円前後で、開放F値と希少性を考慮すると非常にリーズナブル。しかし、ここ最近は通常価格が8~9万円まで少々。セール時に5万円付近まで値下げすることがあります。サードパーティ製のレンズとして安くはないものの、驚くほど高価でもありません。

レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

最近のVILTROXレンズらしく、白を基調とした明るめのデザイン。かぶせ式の蓋に未開封を示す封印が施されています。しっかりとした作りですが、封印テープ跡の粘着性が強く、机などの塗装を剥がしてしまう可能性がある点に注意。

レンズ本体のほか、レンズフードとリアキャップ、ポーチ、説明書などが付属。

外観

レンズ本体は全体的に金属パーツを使用した頑丈な作り。質感が良く、富士フイルム純正XFレンズとよく似ています。レンズ取り付け位置の指標やバッヂのデザインなどは富士フイルムを強く意識している印象。

外装は全体的に光沢を少し残したマットブラックの塗装。傷がつきにくく、指紋も目立ちません。表面の絞り値やロゴなどはプリントされたもの。レンズのシリアルナンバーやCEマークなどの表示はマウント付近にシールで張り付けられています。

ハンズオン

金属鏡筒で11群14枚の複雑なレンズ構成と言うこともあり、適度に重量感のあるレンズです。と言っても手持ち撮影が困難なほど重いわけでもなく、長時間の手持ち撮影が苦になることはありませんん。

前玉・後玉

防汚コーティングが施されている前玉は撥水・撥油性が高く、メンテナンスが容易。とは言え、ダメージが予想できる環境ならばねじ込み式フィルターを装着して事前に保護することが出来ます。フィルター径は67mmに対応。

レンズ前面には白文字でレンズ名や最短撮影距離、フィルター径などをプリント。フィルター装着時は白色が写りこみやすいため、個人的にはマイナス要素。正直に言うと、前面の表示はなくても困りません。

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金属製レンズマウントは4本のビスで固定されています。防塵防滴に対応する耐候性シーリングは見当たりませんが、レンズ内部は密閉されています。マウント面にはファームウェア更新用のUSB-Cポートを搭載。レンズはカメラに問題なく装着でき、ガタツキなどはありません。

フォーカスリング

幅広の金属製フォーカスリングを搭載。ソニー純正よりは適度な抵抗で滑らかに操作可能。ストロークは回転量に依存していますが、ゆっくり回転してもストロークは180度未満と短め。素早く操作すると90度程度でピント全域を操作可能。

ズームリング

金属製の絞りリングを搭載。VILTROX初期のレンズは無段階の絞りリングでしたが、本レンズのリングは1/3段刻みでクリックのあるコントロール。操作はやや重めで、しっかりとクリックストップが発生します。絞りリングの操作が好きな人には心地よい操作性と感じるかもしれません。クリックを解除する機能はありません。

ケラレ耐性

薄いフィルターであれば2枚程度、厚い枠であれば1枚程度が限度。重ね付けは非推奨。

レンズフード

金属製の頑丈なフードが付属。レンズ本体の外装と質感や塗装がよく似ており、一体感のあるデザインが非常に良好。ロック機構はありませんが、バヨネットタイプでしっかりと固定することが出来ます。逆さ付けに対応。

装着例

X-T30に装着。
小型軽量なボディには少し大きめのレンズですが、不快なほどのサイズではありません。追加グリップをカメラに装着すれば、片手での保持も可能。

AF・MF

フォーカススピード

ステッピングモーター駆動で動作。近距離から無限遠まで快適な速度で合焦。C-AFはカメラ側の性能が足かせとなっており、X-M5装着でより快適に動作することを確認。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

フォーカスブリージングは非常に小さく、素早いピント移動でも目立つことはありません。とても良好な状態です。

精度

前述のように、古いAFシステムのカメラではAF-C時に動体を掴み切れない可能性があります。しかし、それ以外で特に大きな問題には遭遇していません。風景や静止した被写体であれば問題なし。第五世代のXシリーズであれば、近距離の動体でも良好。

MF

ストロークは短いものの、「13mm F1.4」であれば特に大きな問題はありません。フォーカスリング操作時の応答性は良く、微調整でも滑らかに動作します。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:FUJIFILM X-M5
  • 交換レンズ:VILTROX AF 13mm F1.4 XF
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 160 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

至近距離でも中央は絞り開放から良好な結果が得られています。周辺や隅はややソフトですが、広角レンズと相性の悪い定型解像チャートの結果としては悪くありません。特にF1.4の絞り開放から測定できるくらいには安定感があります。(中には像がぼやけすぎて測定不可能な広角レンズも多い)絞ると周辺や隅は徐々に改善し、F4-5.6附近でピークに到達。

中央

F1.4から良好ですが、細部のコントラストが若干低め。絞ると改善し、F2.8くらいでピークに達します。解像チャートと2600万画素センサーのX-M5では数値で表れにくいものの、より高解像センサーならば2段ほど絞ったほうが良好な結果が得られる可能性あり。

周辺

F1.4-2.0でややソフトですが、極端な画質の乱れはありません。絞れば徐々に改善するものの、改善速度は遅め。周辺のシャープさが必要であれば3~4段絞ったほうが良いでしょう。

四隅

周辺と同傾向ですが、絞り開放付近がさらにソフト。絞ると改善しますが、やはり改善速度は遅め。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F1.4 3172 2316 2218
F2.0 3423 2413 2243
F2.8 3386 2706 2145
F4.0 3373 3031 2316
F5.6 3044 3291 2657
F8.0 2725 3193 2925
F11 2435 2460 2706
F16 2149 2218 2123

実写確認

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2024.9.18:くもり
  • カメラ:FUJIFILM X-T30
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:SUNWAYFOTO GH-PRO II
  • 露出:絞り優先AE ISO 160
  • RAW:Adobe Lightroom Classic
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズ補正オフ
    ・レンズ補正オフ

テスト結果

広い範囲で絞り開放からピークの性能。周辺や隅も悪くありませんが、F2.8-4まで絞るとさらに改善します。過去最高の解像性能とは言えないものの、広角レンズとしては全体の均質性が高く、使い勝手の良いレンズと言えそうです。高解像センサーでは少し物足りないかもしれません。

中央

少なくとも2600万画素のX-T30ではF1.4からピークの画質。絞っても大幅な改善はありません。逆にF5.6-8で徐々に性能が低下しているように見えるため、絞り過ぎると少しソフトと感じる可能性あり。ベストはF4前後。

周辺

F1.4から極端な画質の乱れはありません。敢えて言えば細部が少しソフトですが、F2.0-F2.8まで絞ると改善します。ピークはF4付近。

四隅

F1.4の絞り開放から実用的な画質。コントラストが低いと感じた場合はF2.8まで絞ると改善します。低価格の13mm F1.4としては上々の結果。

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

(カメラ側の設定で露出が若干異なるものの)ピント位置による解像性能の変化はほとんどありません。像面湾曲は良好に補正されています。

 

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り値全域で非常に良好な補正状態。追加補正の必要は全くありません。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

絞り開放付近で色収差が僅かに発生。しかし、F1.4の大口径レンズとしては良好な補正状態。実写で目立つシーンはほとんどありません。

軸上色収差ではありませんが、F1.4からF2まで絞ることでピント位置が遠側へ移動するフォーカスシフトが発生しています。開放測距後に絞りを調整する撮影で注意が必要。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

スライドショーには JavaScript が必要です。

良好な補正状態です。追加補正の必要性はほぼありません。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

F1.4付近で点光源の変形が見られます。絞り開放付近でフレーム隅のコントラストが低下している原因の一つ。これを改善するにはF2.8まで絞るのが効果的。

球面収差

補正状態は完璧と言えず、軸上色収差の項で言及したようにフォーカスシフトの原因となっています。玉ボケの見栄えにも影響するほどの補正状態で、このレンズにおける欠点の一つ。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

やや硬さが残るものの、前ボケよりも柔らかい描写。ボケの縁取りが残りにくく、広角レンズとしては良好な描写に見えます。

前ボケ

後ボケと比べると硬調でボケの縁取りが目立ちやすい。極端な2線ボケではないものの、状況によっては目立つ可能性あり。とはいえ、13mmの超広角で前ボケがフレームに入る機会は少ない。過度に心配する必要はありません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

球面収差の補正不足なのか、玉ボケに妙な光点が混じります。非球面レンズの研磨ムラは軽微な影響。ボケの縁どりは僅か。13mm F1.4としては口径食の影響が軽微で、全体的に見て健闘(「酷くはない」という水準)。

ボケ実写

至近距離

VILTROXレンズとしては寄りやすく、小さな被写体をクローズアップすることが可能。この際の後ボケは滑らかで柔らかい描写。フレーム周辺の描写も悪目立ちせず、全体的に見栄えが良好。色収差の影響が若干残るものの、柔らかいボケにより見た目が緩和しています。

近距離

撮影距離が少し長くなっても良好な状態を維持。ただし、フレーム周辺の玉ボケは形状がいびつとなる。

中距離

さらに被写体との距離が長くなると、フレーム周辺30%くらいで騒がしいボケの兆候あり。悪目立ちすると感じた場合、1~2段程度絞ると改善する可能性あり。

ポートレート

  • 全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。フレームに全身を入れるとほとんどボケません。
  • 膝上くらいまで近寄ると、背景が僅かにボケ始めます。上半身やバストアップまで近寄ると、中途半端なサイズのボケが悪目立ちする可能性あり。この際は少し絞ったほうが改善するかもしれません。
  • 顔のクローズアップまで近寄ると後ボケは綺麗。

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

影響が無いわけでは無いものの、13mmのF1.4としては良く抑えられているようにも見えます。

無限遠

最短撮影距離と同程度。大きな問題はありません。

逆光耐性・光条

中央

中国レンズメーカーは逆光耐性が課題となることが多い。VILTROXも初期のAPS-Cレンズはフレアが発生しやすかった。しかし、このレンズは絞りによらず、フレアは良く抑えられています。ただし、レンズ間の反射と思われるゴーストが複数発生しています。

光源をフレーム隅に移動しても良好な結果。絞ると主張の強い光条が発生する場合があります。

光条

F5.6付近からシャープな描写。低価格のレンズとしてはとても綺麗。回折の影響とバランスを取ることが出来る範囲内で良好な結果を得ることができます。F11以降はバランスが崩れ、見栄えが悪くなっています。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 競合製品不在のAPS-C用 大口径レンズ
  • 防塵防滴 / フッ素コーティング
  • 金属製の頑丈な鏡筒 / レンズフード
  • クリック付き絞りリング
  • 快適なAF速度
  • フォーカスブリージングが抑えられている
  • 像面湾曲の問題無し
  • 色収差が良好な補正状態
  • 歪曲収差が良好名補正状態
  • 後ボケが大きい場合は滑らかな描写
  • 口径食が抑えられている
  • 適度な逆光耐性
  • 光条が綺麗

13mm付近の焦点距離でF1.4の大口径が必要な場合は唯一無二の選択肢。さらにF1.4の絞り開放からきちんとした光学性能が得られ、目立つ弱点のないレンズに仕上がっています。F1.4の大口径を活かしやすいので、ボケや低照度環境でのハイスピードレンズとして役に立ちます。十分に絞れば隅までシャープで、光条も綺麗。オールラウンドに使うことができる大口径レンズです。

悪かったところ

ココに注意

  • コントロールが少ない
  • 近距離で隅のパフォーマンスが低下
  • コマ収差がやや目立つ
  • 球面収差の影響が残存
  • F1.4 → F2.0 でフォーカスシフト
  • 微ボケが騒がしい

購入を躊躇するほどの欠点はありませんが、操作部の少なさや一部の収差、撮影距離で画質が低下する点に注意が必要です。最も気を付けたいのはフォーカスシフトで、開放測距後に絞るとピントがずれる可能性があります。また、中距離や遠距離では後ボケが騒がしくなるため、適度に絞って撮影したほうが良いかもしれません。

結論

ここ最近値上がりしてしまいましたが、購入するタイミングによっては値上がり以前の価格で入手可能(5万円前後)。この価格帯であれば十分おススメできる光学性能・AF性能のレンズ。サイズも許容範囲内で、小型ミラーレスでもグリップがしっかりとしてれば片手での保持に苦労することはありません。8-9万円の通常価格でも競合不在のため、必要であれば検討する価値があると言えます。

購入するを悩んでいる人

そもそも比較するレンズがありません。13mmで大口径が必要であれば検討するしかない。大口径が必要ない場合、以下の選択肢が考えられます。

このほか、大口径の広角ズームレンズなども検討する余地あり。

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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