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XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR レンズレビュー完全版

このページでは「XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR」のレビューを掲載しています。

XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WRのレビュー一覧

レンズの評価

ポイント 評価 コメント
価格 F値変動の標準ズームとしては高価
サイズ 前モデルと同程度
重量 前モデルより軽くなった
操作性 問題無し
AF性能 全体的に良好
解像性能 中央は良好だが接写時に周辺低下
ボケ このクラスとしては綺麗
色収差 全体的に良好な補正状態
歪曲収差 レンズ補正が必須
コマ収差・非点収差 16mmで少し目立つくらい
周辺減光 全体的に穏やか
逆光耐性 大きな問題無し
満足度 便利だが価格が少し高い

評価:

ポイント

便利な標準ズームレンズだが価格が少し高い

やや高めの価格設定が欠点となるものの、機能的で使いやすい標準ズームレンズ。大部分の撮影で快適に利用することができます。ただし、カメラ側の手振れ補正が重要となるので、非搭載のカメラでは(手振れ補正のある)先代レンズのほうが使いやすいかもしれません。

While its slightly higher price point is a drawback, this is a functional and easy-to-use standard zoom lens. It performs comfortably for most shooting situations. However, since in-camera image stabilization is crucial, users with cameras lacking this feature may find the previous generation lens (which includes image stabilization) easier to use.

まえがき

富士フイルムカメラの多くにキットレンズとして付属していた「XF18-55mmF2.8-4 R LM OIS」の後継モデル。手振れ補正は非搭載となりましたが、光学系の一新で16mmの広角に対応。さらに最短撮影距離や撮影倍率が大幅に改善し、ハーフマクロ(35mm判相当)の接写性能を実現しています。

軽量化しつつ、筐体内で内筒が前後するため全長に変化なく(インナーズーム)、重心の移動が少ないことも強みの一つ。防塵防滴仕様のため、環境を選ばずに撮影できるようになりました。ただし、望遠端の開放F値が「F4.8」と大きくなり、部分的に低照度との相性が悪くなっています。

主な仕様

レンズマウント X
対応センサー APS-C
焦点距離 16-50mm
レンズ構成 9群11枚
開放絞り F2.8-4.8
最小絞り F22
絞り羽根 9枚(円形絞り)
最短撮影距離 0.24m
最大撮影倍率 0.3倍
フィルター径 Φ58mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング SUPER EBC
サイズ Φ65mm×71.4mm
重量 240g
防塵防滴 対応
AF LM
絞りリング 搭載
その他のコントロール -
付属品 レンズフード

価格のチェック

売り出し価格は9.9万円。キットレンズとしては非常に高価ですが、インナーズームや防塵防滴、絞りリング搭載など、他社にはない特徴を備えています。X-T5のキットレンズとして入手する場合は数万円安く手に入れることが可能。

XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
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レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

富士フイルムらしい黒を基調としたシンプルなデザイン。焦点距離を大きく、目立つようにプリントしています。箱をいくつも保管している人にとって分かりやすいデザイン。

レンズ本体のほか、花形レンズフード、キャップ、ラッピングクロス、説明書、保証書が付属します。

外観

外装は最新世代のXFレンズらしいデザイン。
金属パーツ多めで質感が良好ですが、マウント付近の外装はプラスチックパーツを使用しています。フォーカスリングと絞りリングは金属製で、ズームリングはゴムカバーを装着。

全体的に光沢を抑えた黒色の塗装ですが、キヤノンやニコンと比べると光沢が強め。指紋は付きにくい。

意匠は非常にシンプルで飾り気はありません。落ち着いたデザインのカメラボディと相性が良さそう。残念な点はシリアルナンバーを含めた表示がプリントや刻印ではなくシールであること。簡単に剥がれないと思いますが、経年で剥がれ落ちる可能性は否定できません。(実際、XF35mmF2で剥がれかかっていました)

製造国はフィリピン。

ハンズオン

サイズ Φ65mm×71.4mm
重量 240g

前モデルとほぼ同じサイズを維持しつつ、(実質的な)インナーズーム化と軽量化を実現しています。APS-Cミラーレスのキットレンズとしては若干大きめですが、「16mm F2.8」「リニアモーター」「インナーズーム」「防塵防滴」などを考慮すると許容範囲内。

前玉・後玉

レンズ前面にはレンズ名やコーティングなどが白字でプリント。白字は光で反射しやすく、前面に装着したフィルターに写りこむ可能性があるので個人的には否定的。

対応するフィルター径は引き続き58mm。Xマウントで58mmに対応する製品は少ないものの、「XF23mmF1.4 R LM WR」「XF33mmF1.4 R LM WR」などと同じ。

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前玉にフッ素コーティング処理が施されている記述は見当たらないので、水滴や汚れの付着が想定される場合は保護フィルターを装着しておいたほうが良いでしょう。

ズーム操作で前玉が前後しますが、外装の内部で完結。ズーム両端で前方に伸び、中間域で後方に引っ込むタイプ。保護フィルターを装着すると、実質的なインナーズーム構造となります。

金属製のレンズマウントは4本のネジで固定。最後尾のレンズもマウント付近で固定。前方もフィルター装着で密閉できるため、レンズ内部に空気の出入りが少ない。密閉性の高い標準ズームレンズ。

フォーカスリング

レンズ先端に金属製フォーカスリングを搭載。適度な抵抗感で滑らかに回転します。

ピント移動量は回転速度に依存。素早く回転すると約90度の操作でピント全域を移動します。ゆっくり回転する場合、16mmでは約180度、50mmで360度以上の操作が必要。

応答性は良好で細部の微調整は簡単。

ズームリング

ゴム製カバーを装着した幅広のズームリングを搭載。抵抗感が弱く、緩めですが、指一本での操作が可能。インナーズームとの相性は良好。

焦点距離は「16mm」「23mm」「35mm」「50mm」の定番を表示。目盛りは正確で問題ありません。

開放F値の変動

開放F値が変動する焦点距離は以下の通り。
焦点距離に連動して小刻みに開放F値が変動します。動画撮影でズーム時の露出の変化を避けたい場合、最初からF4.8まで絞っておいたほうが良さそうです。

「16mm F2.8」は強みとなりますが、明るいのは広角域のみ。標準域では大口径ズームと比べて1段程度の違いがあります。過度の期待は禁物。

16mm F2.8
16.5mm F2.9
18.0mm F3.0
19.0mm F3.1
20.8mm F3.2
22.0mm F3.3
23.4mm F3.4
24.8mm F3.5
26.3mm F3.6
30.5mm F3.7
32.3mm F3.8
34.3mm F3.9
36.3mm F4.0
38.5mm F4.2
40.8mm F4.3
42.0mm F4.4
43.2mm F4.5
47.2mm F4.7
48.6mm F4.8

絞りリング

絞り値のないタイプの絞りリングを搭載。コマンドダイヤルのように操作して絞り値を変更可能。絞りリングを使わない場合、側面のスイッチでカメラ側の操作に切り替わります。

レンズフード

花形プラスチック製レンズフードが付属。フィルター操作窓やロック構造のないシンプルなデザインのフードです。逆さ付けが可能ですが、この際はフォーカスリングを操作することができません。

レンズフードはXF33mmF1.4 R LM WRやXF23mmF1.4 R LM WRと互換性があります。市販の社外製レンズフードも使いまわすことが可能。コンパクトな角型フードで使うこともできます。

装着例

X-E5に装着。
グリップがほとんどないカメラですが、レンズが軽いのでバランスを取りやすい。コンパクトなカメラとの相性も良さそうですが、光学手振れ補正を搭載していない点に注意が必要です。
(X-E5はボディ内手振れ補正を搭載)

X-E5のコマンドダイヤルは(押し込み機能が邪魔で)使い辛いため、レンズ側にある絞りリングが重宝します。

AF・MF

フォーカススピード

リニアモーター駆動で動作します。明るい環境下であれば、近距離から遠景まで非常に高速。しかし、開放F値が大きくなる望遠側は暗い環境でAFの動作が遅くなります。前モデルよりも望遠側の開放F値が大きくなっているため、部分的に低照度で使い辛いと感じるかもしれません。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

画角の変化がゼロではないものの、ズーム全域でフォーカスブリージングは目立ちません。

16mm

23mm

35mm

50mm

精度

レンズ側の精度に問題はありませんが、カメラ側の合焦精度に疑問を感じることがあります。

MF

前述したように、フォーカスリングの回転速度に依存します。応答性は良好で、微調整・フルマニュアルいずれも快適に操作可能。

クローズアップ

最大撮影倍率は0.3倍。35mm判換算で0.45倍相当と言ったところでしょうか。これを達成するのは50mmで、広角側に向かって最大撮影倍率は低下します。「寄れない」と感じるほどの最短撮影距離ではないものの、広角域でクローズアップを想定しているのなら別の選択肢を要検討。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディ:FUJIFILM X-E5
  • 交換レンズ:XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
  • パール光学工業株式会社
    【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • RAW出力
  • ISO 125 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
    ・格納されたレンズプロファイル(外せない)
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

16mm

定型チャートと広角レンズの相性は悪く、所定の倍率で撮影するためにチャートに近づいて撮影する必要があります。近接ではフレーム周辺や隅の性能が低下する傾向があり、このレンズも例外ではありません。

中央は優れた結果が得られるものの、周辺や隅は絞っても4000万画素を活かしきる性能とは言えません。

像面湾曲が強い

今回はポイントごとにピントを合わせて撮影しています。しかし、像面湾曲が非常に強いため、ワンショットで平面をパンフォーカスで撮影することは出来ません。かなり絞って撮影する必要があります。

中央

絞り開放から良好ですが、F4まで絞るとさらに解像性能が高まります。ピークはF5.6まで続き、F8以降は徐々に低下。

周辺

中央と比べるとF2.8が非常に甘い描写。F4で改善しますが、細部までシャープな結果を得るにはF5.6まで絞る必要あり。

四隅

周辺から画質がさらに低下します。F4まで絞っても不十分で、F5.6でも少し乱れがあります。F8まで絞って許容範囲内と言ったところ。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F2.8 3511 1733
F4.0 4082 2814
F5.6 4137 3213 2123
F8.0 3810 3274 3125
F11 3341 3199 3048
F16 2618 2732 2249
F22 2093 1993 1859

23mm

中央は16mmと同傾向ですが、周辺や隅のパフォーマンスが改善。16mmよりも安定しており、F3.3の絞り開放から実用的な画質です。絞るとさらに改善し、全体のピークはF5.6まで絞ったとき。

中央

16mmと同じく、F4-F5.6でピークの画質が得られます。

周辺

中央とよく似た結果で、ピークはF5.6まで絞ったとき。

四隅

中央や周辺と比べるとソフトな画質ですが、F4-5.6でシャープな結果が得られます。

数値確認
中央 周辺部 四隅
F3.3. 3353 2933 2747
F4.0 4075 3614 2834
F5.6 4266 3810 3237
F8.0 4033 3489 3237
F11 3509 3083 3048
F16 2581 2526 2629
F22 2090 2029 1874

35mm

中央から広い範囲で、絞り開放からピークの性能。絞っても改善効果はありませんが、被写界深度以外で絞る必要性は高くありません。

中央

周辺

四隅

数値確認
中央 周辺部 四隅
F3.9 4233 4110 3001
F4.0 3933 4096 2955
F5.6 4075 3614 3166
F8.0 4031 3635 3393
F11 3457 3258 2910
F16 2877 2650 2398
F22 2051 1995 1694

50mm

中央は高い解像性能を維持していますが、実写で確認すると絞り開放のコントラストが低め。1段絞ると改善します。

周辺や隅は極端な画質低下こそないものの、中央と比べると解像性能が低め。絞っても改善効果は期待できません。

中央

周辺

四隅

数値確認
中央 周辺部 四隅
F4.8 4009 3083 3062
F5.6 3936 3031 2886
F8.0 3635 3111 3089
F11 2943 2906 2906
F16 2838 2650 2557
F22 2082 1983 2019

競合製品比較

テスト機が異なる場合があるので参考までに。

23mm

中央は23mmF2.8比で健闘していますが、周辺や隅は単焦点レンズに分があるようです。XF23mmF1.4は4000万画素機で未テストながら、中央から隅まで優れた結果が得られています。

35mm

中央から広い範囲で健闘している模様。ただし、フレーム隅のパフォーマンスはXF33mmF1.4を同程度まで絞ったほうが優れています。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2025.9.22
  • カメラ:FUJIFILM X-E5
  • 三脚:SIRUI AM324
  • 雲台:アルカスイスZ1+
  • 露出:ISO 125 絞り優先AE
  • RAW:Adobe Camera RAW
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズリダクションオフ
    ・レンズ補正オフ

16mm

中央

絞り開放から良好な結果が得られており、絞りによる画質の改善効果はほとんどありません。1段絞ると細部のコントラストが少し改善するくらい。ピークの性能がF5.6まで続き、F8以降は徐々に低下します。

周辺

中央と同じく良好な結果。近距離テストと異なり、画質低下の兆候はありません。

四隅

フレーム隅でも良好な結果。近距離で極端に画質が低下するポイントでしたが、遠景では問題ありません。絞り開放から実用的ですが、絞ると僅かに改善します。

23mm

中央

16mmと同じ傾向が続きます。絞り開放で僅かにコントラストが低いくらい。

周辺

絞り開放で細部が僅かにソフト。絞ると徐々に改善し、F5.6付近でピークの結果が得られます。

四隅

周辺と同程度。画質の低下はありません。

35mm

中央

絞り開放から画質の変化はほとんどありません。F11以降は回折の影響で細部がソフトな描写。

周辺

絞り開放から安定していますが、絞りによる改善は期待できません。

四隅

ほぼ良好ですが、フレーム隅の端のみ収差が目立ちます。これはF8-11まで絞ると改善します。

50mm

中央

F4.8の絞り開放でコントラストが少し低い。絞ると改善しますが、細部の描写に大きな違いはありません。

周辺

絞り開放で像面湾曲の影響が少しあるように見えますが、F5.6-8まで絞ると改善します。

四隅

周辺と同じく、絞り開放はややソフト。F8くらいまで絞ると実用的な結果が得られます。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

16mm

絞り値に関わらず良好な補正状態です。

23mm

16mmと同じく問題ありません。

35mm

広角域と同じく、無視できる範囲内に抑えられています。

50mm

少し増えたように見えますが、極端な影響はありません。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

ズーム全域で色収差がゼロではないものの、影響は軽微。実写では無視できる範囲内に抑えられています。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

16mm

陣笠状の複雑な樽型歪曲が残っています。手動での補正が難しいため、レンズプロファイルによる補正を推奨。

23mm

16mmと比べると影響はゼロに近い。

35mm

広角側とは異なり、糸巻き型のやや目立つ歪曲収差が発生しています。

50mm

35mmと同じく糸巻き型歪曲が残存。直線的な被写体を撮影する場合は目立つ可能性あり。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

16mmの隅で点像のわずかな変形があります。それ以外に問題は見られず、影響は軽微。

球面収差

50mm F4.8を使用。前後のボケ質を比較してみると、描写に差があることが分かります。球面収差は完全に補正されておらず、チャートテストでのコントラスト低下など画質に影響が発生しています。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

後ボケ

50mmの接写時はボケの輪郭が強調されず、溶けるようにピントから外れます。滑らかで綺麗な描写。軸上色収差の影響はなく、悪目立ちする要素はありません。

前ボケ

後ボケとは異なり、縁取りが硬い2線ボケの兆候があります。色収差の影響が少ないので悪目立ちしませんが、複雑な前景が入ると雑然とした描写になる可能性あり。しかし、極端な影響ではなく、「50mm F4.8」であることを考慮すると、無視できる範囲内抑えられています。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

口径食、色収差が良く抑えられています。悪目立ちする要素が少なく、キットズームレンズとしてはかなり綺麗なボケ質です。

ボケ実写

16mm

接写時、少し引いて撮影した場合、どちらも良好な描写を維持しています。ボケが小さくなると少し荒れ始めますが、それでもキットズームレンズの16mmとしては良好。

50mm

ボケが大きな撮影距離では全体的に滑らかで綺麗なボケです。「50mm F4.8」という性質上、ボケは大きくならないものの、キットレンズとしてはきちんとした質感。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。

人物のように大きな被写体を撮影して後ボケが得られるレンズではありません。ボケを得るためには、どの焦点距離でもバストアップや顔のクローズアップ程度まで近寄って撮影したいところ。

質感は単焦点レンズほど良好とは言えませんが、標準ズームレンズとしては悪くない質感だと思います。

16mm
50mm

周辺減光

周辺減光とは?

フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。

ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。

最短撮影距離

未補正の場合でも全体的に穏やかで影響は軽微。

無限遠

遠側で減光効果が強くなるレンズも多いですが、本製品は特に変化なし。

逆光耐性・光条

16mm

強い光源を正面から受けてもフレアの影響は良く抑えられています。ゴーストはいくつか発生しますが壊滅的な影響はありません。

50mm

影響の度合いは広角側とほぼ同じ。

光条

最小絞りで綺麗な光条が発生します。ただし、回折の影響が強いので解像性能は大幅に低下します。バランスが取れる絞り値での光条はあまり期待できません。

まとめ

良かったところ

ココがおすすめ

  • 前モデルよりも軽量
  • 防塵防滴仕様
  • 実質インナーズーム構造
  • XF33mmなどとフードを共有可能
  • フォーカス性能が良好
  • 望遠側の最大撮影倍率が高い
  • ズーム全域で中央解像性能が良好
  • 色収差の補正状態が良好
  • コマ収差が穏やか
  • 周辺減光が穏やか
  • 後ボケが滑らかで綺麗
  • 逆光耐性に大きな問題なし

欠点が少なく、機能的な標準ズームレンズです。
防塵防滴仕様となり、実質的なインナーズーム構造となったことで使いやすくなっています。

光学性能は一部の状況を除いて使いやすく、大きな欠点はほとんどありません。強みとなるのはボケ質の良さで、特に望遠側の柔らかい後ボケが魅力的。(開放F値が大きいのが残念ですが)

悪かったところ

ココに注意

  • 販売価格が高い
  • 光学手振れ補正が非搭載
  • 望遠側の開放F値が大きくなった
  • 接写時に広角隅のパフォーマンスが低下
  • 接写時に像面湾曲の影響が強い
  • 歪曲収差はレンズ補正に依存

F値変動のAPS-C用標準ズームレンズとしては非常に高価。
光学性能が価格に見合っているとは言えず、特に近距離での像面湾曲や周辺部の低下が目立ちます。光学手振れ補正も非搭載となりました。

欠点はあるものの、数多い長所を覆すほどではありません。あとは妥協できるかどうか。

光学手振れ補正が無くなってしまったので、手振れ補正非搭載のカメラと相性が悪くなりました。特に前モデルより望遠側の開放F値が大きくなっているので、低照度で手振れ補正が必要と感じるシーンは多いはず。

結論

やや高めの価格設定が欠点となるものの、機能的で使いやすい標準ズームレンズ。大部分の撮影で快適に利用することができます。ただし、カメラ側の手振れ補正が重要となるので、非搭載のカメラでは(手振れ補正のある)先代レンズのほうが使いやすいかもしれません。

XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
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ビックカメラ マップカメラ ECカレント eBEST

購入を悩んでいる人

参考までに競合するであろうレンズを以下に掲載。

携帯性とインナーズームを諦めると、数万円の追加でレンジの広いF4ズームが見えてきます。シグマやタムロンの大口径ズームレンズはより安く入手可能。

携帯性を重視しつつ、大口径が良いのであればシグマ。汎用性を高めたいのであればXF16-80mm F4が面白い選択肢となりそうです。

購入早見表

このような記事を書くのは時間がかかるし、お金もかかります。もしこの記事が役に立ち、レンズの購入を決めたのであれば、アフィリエイトリンクの使用をご検討ください。これは今後のコンテンツ制作の助けになります。

XF16-50mmF2.8-4.8 R LM WR
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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