PhototrendがCP+2024におけるシグマへのインタビュー記事を公開。光学リーディングカンパニーとしての15mm F1.4、キヤノンRFマウント・ニコンZマウント用レンズについて、成長分野の野生動物写真用機材についてなど。
70-200mm F2.8 DG DN OS Sports・10-18mm F2.8 DC DN Contemporaryのの反応について
- 2本のレンズは、世界中の多くの顧客から非常に高い評価を得ている。
- フォームファクター、軽量化、サイズなどが評価されている。
日本市場の主なトレンド(2023年の数値)をどう見ているか。
- 日本市場は昨年(2022年)に比べて増加。
- 一般消費者はまだ新しい写真機材に興味を持っているようだ。
- 我々の顧客は、大小にかかわらずイノベーションを高く評価している。
中国は写真市場でどのような役割を果たしているか?
- シグマは中国市場で力強い成長を遂げている。
- 一般的に言って、中国経済はあまり良い状態とは言えない。しかし、カメラボディやレンズに関しては確実に成長しており、我々はそれをとても嬉しく思っている。
- 中国人は写真にとても興味を持っている。風景写真も人気だが、鳥の写真は特に人気がある。また、画質は中国の消費者にとって非常に重要である。
- 最近では、ライブショッピングが中国、特にTikTokで非常に人気があるため、ライブストリーミングにカメラを使用するという新しいトレンドも生まれている。
- ライブストリーミングには、特に24-70mm F2.8 DG DN Artと18-50mm F2.8 DC DNをお勧めする。
シグマが中国においてどれほどのシェアを獲得しているのか分かりませんが、昨年夏には現地法人設立10周年記念として特別な「35mm F1.4 DG DN Classic」を数量限定で販売しています(美しいフレアが発生するシネマラインと同じようなコンセプト)。
他の地域でこのような限定モデルがリリースされたという話は聞かないので、中国市場がシグマにとって重要であることは間違いなさそうです。
15mm F1.4 DG DN Diagonal Fisheye Artは、なぜ魚眼と大口径を組み合わせたのか?
- 数年前、天体写真家から、できるだけ多くの星を撮影するために、魚眼と非常に明るい絞りを組み合わせたレンズが欲しいという要望があった。
- このレンズの需要が限られていることは承知している。
- しかし、シグマが光学製品のリーディングカンパニーでありたいと思っている。そしてリーダーとして、このような特別なレンズを用意しなければならなかった。
天体写真家はシグマにとって重要なユーザー層?
- YES、このセグメントは我々にとって非常に重要だ。プロ写真家と知識のあるアマチュアの両方において。
- たとえ需要が限られていたとしても、我々はこのようなお客様との仕事をとても楽しんでいる。
- 私はビジネスマンとして、会社の売上高や収益性にも関心を持たなければならない。しかし、複数のプロジェクトを並行して進めることで、我々は大規模なシリーズでレンズを生産することができるし、少数生産のレンズも製造することができる。
- 我々はお金のためだけにこの仕事をしているのではない。このようなレンズを製造することは大きな喜びであり、プロ写真家にもアマチュア写真家にも本当に有益だ。
シグマは各レンズの研究開発について優先順位をどのように決めているのか?
- これは最も難しいタスクの一つであり、最も面白いタスクの一つでもある。
- すでに2027年までのウィッシュリストがあり、それをエンジニアに伝えている。我々はそれを議論し、最初にリリースする製品を決定する。
- もちろん、常に販売台数や売上高の観点から考えるが、情熱の観点からも考える。この2つの要素を組み合わせて、毎年のロードマップを作成するようにしている。
- おそらく、これまでに発売したレンズの中で最もエキサイティングなものは、最新の500mm F5.6 DG DN OS Sportsと15mm F1.4 DG Diagonal Fisheye Artだ。
500mm F5.6 DG DN OS Sportsの小型軽量化を実現した秘訣
- 通常、このようなコンパクトなレンズを得るためには、回折光学系を使用する必要がある。しかし、このレンズはそうではない。
- その代わりに、私たちは特殊な低分散ガラスを大量に使用した。
- FLD3枚、SLD1枚を使用しており、これらは回折レンズと同じ結果を生み出している。
- これには非常に精度の高いノウハウが必要となる。当社の特殊ガラスと製造技術の組み合わせで実現した。
500mm F5.6 DG DN OS SportsのOS2光学手ブレ補正システムとは?
- 光学式手ぶれ補正のアルゴリズムを最適化した。
- 技術的に非常に複雑なので、残念ながらこれ以上詳しく説明できない。
- 基本的には、レンズのアルゴリズムを微調整して、より優れた補正を実現している。
OS2はソフトウェアによる最適化なので、これらのアルゴリズムを他の古いレンズに適用することは可能か?
- YES、しかし最適化の水準は新しいレンズほど高くはない。
- 実際、新しいレンズの開発に着手する際には、最初からこのOS2テクノロジーを考慮している。
- 過去に設計したレンズは、OS2テクノロジーを受け入れるのに適応していない。
- これらの製品にOS2テクノロジーを採用すれば、性能の向上は見込めるが、新しいレンズに比べれば、その効果は小さい。
- 150-600mm F5-6.3 DG DN OS Sportsや100-400mm F5-6.3 DG DN OS Contemporaryといった既存のレンズについては、すでにファームウェアをアップデートしている。
15mm F1.4 DG DN Diagonal Fisheye Artは市場で最もコンパクトなレンズではない。なぜか?
- F1.4という非常に大きな口径を持つ魚眼レンズだからだ。
例えば、絞りをF1.8にするなど、妥協した方が良かったのでは?
- このレンズでF1.4が目標とされたのは、可能な限り空の大部分を写し、最速のシャッタースピードと最低のISO値も使いたいという天体写真家の要望があったからだ。
- これを実現するためには、開放F値1.4が必要だった。
超広角でファッションポートレートにも使えるレンズ
- インスタグラムを見ると、魚眼レンズでポートレートを撮った作例がいくつもある。
- 被写体が歪んでいる分、個性的な写真だ。
- 我々は、このようなユニークな製品を提供することで、フォトグラファーの創造性を解き放ちたいと考えている。
500mm F5.6 DG DN OS Sportsには、このタイプとしては珍しく絞りリングがある
- 70-200mm F2.8 DG DN OS Sportsに絞りリングを付けたのが最初で、500mmにも付けるべきだと考えた。
- 通常、絞りはカメラボディで直接設定するが、レンズを持っているときに簡単に調整できるので、絞りリングは付けるべきだろうと考えた。
シグマは他の超長距離固定レンズを発売する予定は?
- 先ほど申し上げたように、鳥や自然写真全般の撮影を楽しむ人が増えている。これは成長分野です。
- 望遠レンズの設計は面白い。
- 正直なところ、このタイプのレンズは我々のロードマップには無いが、将来的には検討する価値があると思う。
30万円超の大口径魚眼レンズは非常にニッチな市場だと思われますが、シグマは光学製品のリーディングカンパニーとして、天体写真家のニーズに応えるために開発したようです。既にSony Alpha Blogなどがレビューしており、非常に高い光学性能で「価格とサイズに見合った完璧なレンズ」と高く評価しています。高めのレンズですが、唯一無二のレンズとして面白い存在となりそう。
「大口径で大きく重い魚眼レンズ」に対して「口径を抑えたコンパクトな超望遠レンズ」を同時にリリースしたのは驚きました。ニコンが先行している分野ですが、ソニーEマウントやライカLマウントでは競合製品が存在しません。重量が15mm F1.4 DG DNとほぼ同じと言うのも面白いところ。
ソニーEマウント用で懸念されるのはテレコンバージョンレンズ非対応やα1やα9のようなカメラで高速連写が15fpsに制限されてしまうこと。特に言及はしていませんが、この2点は望遠レンズユーザーにとって大きな足枷となってしまうのは間違いないでしょう。魅力的な製品ですが、購入を躊躇してしまう人が多そう。
シグマはこの市場に興味を示しつつも、二の足を踏んでいるのは需要にブレーキがかかっているのを感じているからでしょうか?
噂では、シグマがCP+でRFマウントレンズを1本以上発表すると考えていたようだ
- 残念ながら、この件に関してこれ以上の情報をお伝えすることはできない。
- 昨年お話ししたように、我々はお客様の要望を認識している。実際、この需要は常に高まっている。
- シグマでは、この需要に応える必要があると全員が考えているが、今のところ答えは用意できない。
- キヤノンRFマウントについて、発表できるロードマップがない。
- 一方、ニコンZマウントではすでに3本のレンズがある。しかし、それらはAPS-Cレンズであるためか、ニコンのカメラユーザーにはあまり受け入れられていない。
- ニコンユーザーの心をつかむために、努力を重ねる必要がある。
フルサイズのZマウントレンズを発売することで?
- YES、フルサイズは我々にとってチャンスの宝庫だ。
- 我々は市場の反応を見るためにAPS-Cレンズ3本を発売した。
- 他のレンズがどのように受け入れられるか見てみたい。
フルサイズのレンズに対する市場の反応を見るには、そのレンズを発売する必要がある?
- YES、もちろんだ(笑)。
ソニーEマウントでLマウント版と同じようにテレコンバーターを使えるようになるのか?
- No、Lマウントのテレコンバーターしかない。
Foveonセンサーについて
- まだフルサイズより小さいプロトタイプの製造段階で、現在新しいピクセルアーキテクチャをテストしているところだ。
- このことは昨年もお話しており。それ以来、大きな進展はない。
- 昨年、新しいチップをテストし、それはうまく機能した。しかし、いくつか設計ミスも見つかった。
- エラーを修正したら、プロトタイプを製造するパートナーに知らせる。しかし、量産開始についてはまだ合意に至っておらず、課題は残されている。
キヤノンRFマウント用のシグマレンズに関する噂はEOS Rシステム初期からあります。しかし、今のところ実現していません。他社でRFマウント用のAFレンズが登場したこともありますが、いつのまにやら消えてなくなっていました。いろいろと囁かれているものの、理由は不明。
キヤノン側のインタビューでは「サードパーティメーカーとのコミュニケーションを取っている」と述べていますが、これがシグマなのかどうかは分かりません。
ニコンZマウントについて、既に複数のマウントで展開しているAPS-C用レンズ「16mm F1.4 DC DN」「30mm F1.4 DC DN」「56mm F1.4 DC DN」をZマウント用としてリリースしています。ただし、最新の「23mm F1.4 DC DN」が用意されていないところを見ると、APS-C Zマウントの需要が少なかったのでしょうか?もしくは市場が予想よりも小さかったのか。
個人的に、Z fとシグマ「Iシリーズ」は相性が良さそうな気もしますが、今のところフルサイズ用のシグマZマウントレンズの話は聞きません。Phototrendのインタビューでは「チャンスの宝庫」と言及しており、フルサイズ用Zマウントレンズについて特に否定はしていないように見えます。
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