2022年5月9日付けでOMデジタルの気になる特許が公開。小型センサー向けの超高倍率ズームレンズですね。28-1200mmに相当するズーム域を「F1.6-4.8」の口径でカバーしています。
概要
- 【特許番号】特許7063640
- 【発明の名称】変倍光学系及びそれを備えた撮像装置
- 【出願日】2018-01-29
- 【特許権者】
【識別番号】321001056
【氏名又は名称】OMデジタルソリューションズ株式会社- 【0007】
特許文献1に開示されている変倍光学系では、ブレ補正レンズが、第3レンズ群の最も像側に位置するレンズよりも物体側に位置している。この場合、ブレ補正レンズが大きくなるので、ブレ補正レンズを移動させる機構が大型になる。また、ブレ補正レンズが重くなるので、高速でブレ補正をすることが困難になる。- 【0008】
特許文献2に開示されている変倍光学系では、第5レンズ群を構成するレンズの枚数が多くなる。この場合、第5レンズ群が大きくなるので、光学系の全長が長くなる。また、変倍時に移動するレンズ群の移動スペースが十分に確保できない。そのため、高い変倍比が得られない。- 【0009】
特許文献3に開示されている変倍光学系では、例えば、第3レンズ群にブレ補正レンズを配置できる。この場合、第3レンズ群の最も像側に、ブレ補正レンズを配置することができる。しかしながら、第3レンズ群では、広いレンズ間隔を確保できない。そのため、広角端で、軸上光線の高さが高くなる。光線が高い位置でブレ補正レンズを移動させると、球面収差の変動が大きくなる。そのため、ブレ補正時の結像性能が劣化する。- 【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、光学系の全長が短く小型でありながら、ブレ補正時でも高い結像性能を有する変倍光学系及びそれを備えた撮像装置を提供することを目的とする。実施例1
- 焦点距離:5.30-116.63
- F値:1.62-4.51
- 画角:70.93-3.36
- 像高:3.60
- 全長:89.29
- バックフォーカス:3.84
実施例2
- 焦点距離:4.85-193.99
- F値:1.64-4.86
- 画角:75.55-2.02
- 像高:3.60
- 全長:129.28
- バックフォーカス:3.82
画角を考慮すると、35mm判換算で28-800mm・28-1200mm相当をカバーする超高倍率ズームレンズの光学系ですね。イメージサークルは1/2.3型をカバーするには少し小さく、1/2.5型程度と思われます。広角側がF1.6と明るく、望遠端でもF5.6よりも口径が大きく、このクラスのズームレンズとしては立派な光学系。恐らく沈胴構造を想定していたと思われ、展開後はインナーズームで動作するのは面白いですね。
オリンパスで1200mm至の超望遠ズームと言えば「SP-100EE」ですが、比較して広角側の画角が狭く、全体的にF値が小さくなっています。比較的低照度や高速シャッターに強いレンズと言えそうですね。既にOMDS(オリンパス)はこの種のデジタルカメラ市場から撤退している(新製品を投入せず、現行モデルが存在しない)ので、今さらこのような光学系が必要とは思えませんが…。今回の特許(手ぶれ補正を搭載したズームレンズ)を応用した光学系の開発を検討しているのでしょうか?
特許関連記事
- キヤノン「14-30mm F4-6.3 PZ」「20-50mm F4-5.6 PZ」のような光学系の特許出願
- キヤノン「400mm F4」「500mm F5.6」「800mm F6.3」光学系の特許出願
- キヤノン「24-130mm F4 IS」「24-80mm F2.8 IS」のような光学系の特許出願
- キヤノン ティルト効果をタッチ操作で簡単に調整する仕組みの特許出願
- 富士フイルム レンズ固定式GFX用と思われる「35mm F3.5」「40mm F3.5」「50mm F3.5」光学系の特許出願
- RF70-150mm F2 L のような特許内の光学系は実際に登場する可能性がある?
- キヤノン 50-250mm F4.5-5.6 を想定したようなAPS-C向け光学系の特許出願
- キヤノン 70-150mm F1.8 フルサイズミラーレス向け光学系の特許出願
- ニコン 35 / 50 / 85 mmのF1.4 / F1.8 光学系の特許出願
- キヤノン「400mm F4 TC DO」「600mm F4 TC DO」を想定したような光学系の特許出願