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シグマの「全長が伸びない28-70mm F2.8」に関する特許出願

2023年11月10日付けでシグマの気になる特許出願が公開。既存の「28-70mm F2.8」とは異なる、全長が伸びないタイプの大口径標準ズームレンズに関する光学系の実施例が含まれています。

概要

  • 【公開番号】P2023164195
  • 【公開日】2023-11-10
  • 【発明の名称】大口径比広角ズームレンズ
  • 【出願日】2022-04-29
  • 【出願人】
    【識別番号】000131326
    【氏名又は名称】株式会社シグマ
  • 【課題】少ないレンズ構成枚数にもかかわらず、大口径比かつ広画角かつ小型であり、変倍時の全長移動の少ない、全ズーム範囲において良好な光学性能を有するズームレンズを提供する。
  • 【背景技術】
    【0002】
    小型軽量なズームレンズとして、負群先行型のズームレンズがある。特許文献1には、負の屈折力を持つ第1レンズ群と、正の屈折力を持つ第2レンズ群と、負の屈折力を持つ第3レンズ群と、正の屈折力を持つ第4レンズ群と、正の屈折力を持つ第5レンズ群を有し、所定の条件を満足することにより最大画角が80°以上の広画角、2.7倍程度の変倍比、およびFナンバーが2.8程度の大口径ズームレンズを提供することができるとしている。
  • 【0006】
    従来の一眼レフ用広角系ズームレンズは、バックフォーカスを確保するために負群先行のレトロフォーカス型が使われていることが多い。近年台頭してきたミラーレス一眼カメラは、クイックリターンミラーが不要なため、ボディのフランジバックが短い。そのため交換レンズ側のバックフォーカスは短くてもよく、小型なズーム形式が求められていた。
  • 【0007】
    特許文献1で開示されているズームレンズは、一眼レフカメラに対応するため、広角端では光学系全体を負群先行型のレトロフォーカスタイプとしバックフォーカスを確保している。そのため光学全長が長く小型化されていない。またレトロフォーカスタイプであるがゆえに、第1群は強い負の屈折力で構成されており、その部分系での収差補正のために、第1レンズ群の群厚が大きくなり小型軽量化を阻害している。
  • 【0008】
    特許文献2で開示されている大口径広角ズームレンズは、負群先行型のズームレンズであり、特許文献1と同様な課題がある。さらに第1群の像側にフォーカス群があるため、第1群とフォーカス群を含めた、群厚が大きく、全長の小型化を阻害していた
  • 【0010】
    本発明は以下に示す手段により、少ないレンズ構成枚数にもかかわらず、大口径比かつ広画角かつ小型であり、変倍時の全長移動の少ない、全ズーム範囲において良好な光学性能を有するズームレンズを提供する。

実施例1

  • 焦点距離:28.80-67.00
  • F値:2.89
  • 画角:76.24-37.54
  • 像高:21.63
  • 全長:117.50-114.90
  • バックフォーカス:

レンズ構成は既存の「28-70mm F2.8 DG DN」と大きく異なる、商品化されていないタイプの大口径標準ズームレンズですね。広角28mmから望遠70mmまで全長の変化がほとんどなく、非常にコンパクトに纏まっているように見えます。この少ない全長の変化を鏡筒内で完結させると「実質的にはインナーズーム」と言えなくもないかなと。もしくは、レンズ群G1を格納できる沈胴構造を採用すると、収納時はさらにコンパクトとなりそう。

既に「28-70mm F2.8 DG DN」が存在することから、DG DNシリーズとして登場する可能性は低いかもしれません。しかし、パナソニックのLUMIX Sシリーズとして登場する可能性はあるのかなと。実際、パナソニックはLUMIX Sレンズロードマップに「28-70mm」と思われる標準ズームの投入を予告しています。(さらに、上海P&Iで示されたロードマップでは「大口径」との記載あり)

シグマがLUMIX Sレンズに関わっている痕跡は過去に存在しており、無い話ではないのかなと。ただ、今回の特許出願内にある収差図を見る限り、光学性能はソコソコかもしれません。非点収差・球面収差・歪曲収差がそこそこ残っているので、静止画用と言うよりも、携帯性の良い動画撮影用を想定している可能性もありそう。

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