DPReviewがキヤノン「EOS R6 Mark II」のイニシャルレビューを公開。いくつか重要な領域で改善が見られ、便利な新機能が追加されていると評価。「十徳ナイフのようなカメラ」と言及しています。
DPReview:Canon EOS R6 Mark II initial review
イメージセンサー
- 新型2,420万画素センサーを搭載している。設計・製造はキヤノンであり、EOS R3と同じ解像度だが積層型・裏面照射型ではない。
- R6のセンサーと比べてローリングシャッターが改善しているとキヤノンは述べている。
動画
- 最大40fpsの連続撮影を実現するために読み出しは12bitに低下する。
- R6の4K 60pは1.07倍のクロップが発生し、連続撮影30分の制限がある。R6 IIはどちらも改善しており、全幅を使用した6Kオーバーサンプリングの4K UHD 60pの撮影が可能だ。
- 熱対策も施されており、全幅の4K 60pで40分、APS-Cクロップで50分の撮影が可能としている。4K 30pや4K 24pなどの場合は無制限に撮影可能だ。
- R6はFullHDで120pまで撮影可能だったが、R6 IIは180pまで対応している。ただし、FullHDはオーバーサンプリングではないので画質が多少低下する。
- DPReviewがプリプロダクションモデルをテストしたところ、室温で4K 60pを1時間以上撮影できた。長時間の収録が必要ない限り発熱は問題とならないだろう。
- Atomosレコーダーとの組み合わせでProRes RAWに対応している。6K RAWか、Super35の3.7K RAWを利用可能だ。同時にプロキシファイルを収録可能だ。
- 動画モード時のQメニューはより動画指向のインターフェースが表示される。
AF
- EOS R3のテクノロジーの一部を継承している。(視線入力AFはない)
- 馬・モータースポーツ・航空機・鉄道に最適化された被写体検出に対応している。
- 人物の瞳は近いほうにピントを合わせるかどうか選択できるようになった。
- 被写体検出 オートモードを搭載しており、異なる被写体が存在する場合のワークフローが大幅に簡略化される。
- 動画撮影時は「検出限定」の機能がある。
RAWバースト・動体優先HDR・高周波フリッカー
- 連続撮影時のRAWをグループ化して一つにまとめられ、再生モードで一連の画像を確認できる連続撮影の機能だ。
- シャッター半押しから全押しまでの0.5秒間の記録をバッファリングして、記録できる。
- HDRモード撮影時に「動体優先」で動く被写体を含めてHDR撮影が可能となっている。この際のISOは下限が800となる。
- EOS R3と同じ機能となる「高周波フリッカー」に対応している。
競合カメラ
- 最も競争の激しいセグメントの一つに位置するカメラだ。
- このクラスでは2400万画素の解像度が標準となっている。R6 IIの高解像度化は賢明な判断と言えるだろう。
- 定評のあるAFシステムと40fpsの連続撮影が強みとなる。
- 動画撮影の機能も強力で、全幅のオーバーサンプリング4K 60pや6K RAWに対応している。
操作性など
- EOSユーザーにとって親しみやすいデザインだ。
- ほぼR6と同じで、バッテリーグリップもそのまま使うことができる。
- 防塵防滴はR3・R5ほどではないが対応している。
- 大きな変更点は左肩の電源スイッチが右肩へ移動し、代わりに静止画/動画の切り替えスイッチを搭載していることだ。既存のR6ユーザーはここで混乱する可能性がある。
- R6 IIに慣れると、片手で電源のオンオフが可能となる。非常に理にかなったデザインだが、静止画-動画の切り替えスイッチは誤操作を防止する十分な抵抗感がなかった。
- 背面のコントロールレイアウトは同じだが、ジョイスティックの形状が変化している。他のボタンを識別しにくくなっており、我々は以前のデザインを好む。
モニター・ファインダー・インターフェース
- R6と同じ162万ドットのバリアングルモニタを搭載している。
- R6と同じ0.76倍 60/120fps駆動のファインダーを搭載している。
- R3のOVFシミュレーション機能を実装しているが、R3のようなダイナミックレンジの広いディスプレイではないので魅力的ではない。
- 高機能なストロボ・マイクなどに対応するマルチアクセサリーシューを搭載している。
- ストレージはデュアルSD UHS-IIカードスロットを搭載。CFexpressには対応していない。
- USB-C・ヘッドホン・マイク・有線リモコンポートを搭載。
- HDMIポートは壊れやすいmicro HDMIに対応している。
- メニューはお馴染みのシステムだが、Wi-FiやBluetoothの接続プロセスが簡略化している。ただし、プリプロダクションモデルでテストすることは出来なかった。
- MFi接続にも対応している。
バッテリー
- LP-E6NHバッテリーを使用する。
- バッテリーライフは改善しており、低消費電力モードで760枚、なめらかさ優先モードで580枚の撮影が可能だ。
総評
- 予想通り、初代EOS R6をリファインしたモデルだ。R6が堅実なカメラであったのに対し、R6 IIはより幅広いユーザーにアピールする可能性を秘めた、より充実した製品であると感じる。
- ある意味、キヤノンの「スイスアーミーナイフ(訳注:十徳ナイフ)」のようなカメラと言えるかもしれない。
- プリプロダクションで数日間にわたり数千フレームを撮影した結果、かなりスピーディなカメラであることが実感できた。
- R3のような積層型センサーを搭載していないが(この価格帯で期待していない)、高速撮影の必要がある場合は40fpsの連続撮影が可能だ。動きの速いスポーツの画像でローリングシャッターの影響が現れる頻度が非常に少ないことに驚かされた。
- 動きの速いターゲットに一瞬でロックするなど、プリプロダクションのボディでも驚くほどのレスポンスの良さを感じた。また、AFにオートモードが搭載され、さまざまな被写体を検出できるようになったことで、よりスムーズに撮影できるようになった。
- 改良点の多くは、静止画や動画のワークフローを改善したことに起因している。
- キヤノンは、動画のワークフロー改善にも意欲的で、スペック向上や熱対策の強化に加え、動画指向のQメニュー、フォルスカラー表示、最大5秒間のプリバッファリング機能などのツールは、ビデオグラファーにアピールできるはずだ。
- しかし、動画撮影者からの不満で多い、録画開始後にヒストグラムやレベルゲージが使えないという点について、なぜ対応しないのかという謎も残る。
EOS R6 IIは非常に高性能なカメラだ。初代R6も素晴らしいカメラだったが、いくつか重要な領域で改善が見られ、便利な新機能が追加されている
とのこと。
新型センサーやR3譲りのAFシステム、そして全く新しい機能などが追加されたキヤノンの新しいフルサイズミラーレスカメラですね。解像性能は2000万画素から2400万画素に向上し、ローリングシャッターの影響もよく抑えられているらしいので、センサーのスキャンレートがかなり改善しているのかもしれません。40fpsの連続撮影にも対応しているので、フルサイズで連写が必要な人にとっては面白い選択肢となるかもしれません。ローリングシャッターが気になるシーンでも12fpsのメカニカルシャッターを利用可能。従来通り電子シャッター時は12bitとなるので、ダイナミックレンジは少し狭くなる可能性あり。(とはいえ、そのようなシーンで低ISO感度は使わないと思うので、ダメージは少ないかもしれません)
個人的に気になったのが被写体検出「自動」。従来も指定した被写体以外を検出することがありましたが、カメラ側で適切に切り替えて検出してくれるのであれば便利そう。被写体検出を導入しているカメラメーカーも増えてきましたが、「自動」機能を実装しているカメラは少ないはず。将来的に既存のEOS Rシリーズにファームウェアアップデートで導入されるのか気になるところ。
関連カメラ
関連記事
- EOS R6 Mark IIIはチルト+バリアングルのOLED背面モニタを採用する? 2024年12月18日
- キヤノンがEOS RシリーズのLP-E6P制限解除を含めた最新ファームウェアを配信開始 2024年9月26日
- EOS R6 Mark IIIの発表は2025年Q1まで延期された? 2024年9月3日
- 「Z6III」と「EOS R6 Mark II」の外観やスペックの違い 2024年7月8日
- キヤノン「R6 Mark II・R8」「R7/R10/R50」「EL-5」最新ファームウェアを公開 2024年6月6日
- キヤノンはEOS R6 Mark IIIを発表するかもしれないという推測 2024年5月3日
- キヤノンがRF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM対応のために各カメラのファームウェアアップデートを公開 2023年12月7日
- キヤノン「R3」「R5」「R6 II」「R8」「1DX III」用の最新ファームウェア公開 2023年9月26日
- キヤノンは近いうちにEOS R6 Mark II用の最新ファームウェアを公開する? 2023年8月2日
- キヤノンが敏感設定のタッチ操作を安定させるファームウェアを公開 2023年5月31日