DPReviewがキヤノン「EOS R7」と「EOS R10」の違いを紹介しています。両機で共有する点、異なる点を挙げつつ、価格帯の異なる2つのカメラが十分に差異化されていると言及しています。
DPReview:Canon EOS R7 vs EOS R10: what's the difference, how do they compare?
はじめに
- EOS R10は「Kiss」シリーズのレベルに近い価格で、EOS R7はEOS 90Dの少し上に位置する価格と機能を備えている。
- 既存のEOS Mのラインナップを見ると、EOS M5とM6 IIの関係に近似している。
- キヤノンはEF-Sカメラ(あるいはEF-Mも含めて)がこれで終わるわけではないと述べているが、RFマウントにAPS-Cを組み込む動きの中でなんとか生き延びている可能性が高い。
- 両機種ともメカニカルシャッターで15fpsの連続撮影や4K 60動画対応、そしてパワフルでシンプルなAFインターフェースを共有している。
- しかし、この2つのカメラは大きく異なるものだ。
センサー:解像度と撮影速度
- 最も明らかな違いは、EOS R7が3250万画素センサーで、EOS R10が2400万画素センサーを搭載していることだ。
- どちらのセンサーも以前の機種に使われているものとは別物だと聞いている。
- どちらの新型センサーもかなり高速化しているようだ。
- DIGIC Xプロセッサーにより、R10は電子シャッターで最大23fps、R7は30fpsでの撮影が可能だ。
- どちらもローリングシャッターが目立つため、メカニカルシャッターモードで15fpsを実現した方が、より幅広い撮影シーンに対応できると思われる。
- R7はR10よりもバッファが大きく、より高性能なアクションカメラとなっている。
- R7は15fpsで約100枚のC-RAWを撮影できるのに対し、R10は30枚しか撮影できないことが判明した。
- R10の最高シャッタースピードは1/4000秒、R7は1/8000秒だ。
- R7はレンズ交換時のセンサーへの負担を軽減するために、カメラの電源を切るとシャッターを閉じることができる。
ボディ内手ブレ補正
- EOS R7はボディ内手ブレ補正機能を搭載している。
- レンズの組み合わせに関わらず、R7は5軸の手ぶれ補正を利用可能だ。
コントロールレイアウト
- どちらも2つのコントロールダイヤルを搭載し、グリップの横には新しいAF/MFスイッチを搭載している。
- フロントダイヤルは似ている。
- R10のダイヤルは、カメラ上部の肩に後ろ向きに配置されたオーソドックスなコマンドダイヤルだ。
- R7はAFジョイスティックを囲むように小さく縦長に配置されたダイヤルになっている。
- このダイヤルは、親指を置く位置とぴったり重なるが、ジョイスティックを操作するときに不快に感じる。
ファインダー・モニター
- R10はR7よりもファインダーが小さく、背面液晶の解像度も低い。
- R7のモニターは162万ドットだ。
- どちらもバリアングルモニタだ。
- 両機種とも263万ドットのファインダーパネルを搭載しているが、光学系は異なる。
- R10は0.59倍と比較的小さなファインダーだ。
- R7は0.72倍と非常に大きなファインダーを実現している。これは、EOS 90Dや、EOS 5D Mark IVのファインダーサイズ差に相当する。
- バッテリーを消費する「滑らかさ優先」モードに設定されている場合、両方のパネルが120hzで駆動すると述べている。
バッテリーとカード
- R10のLP-E17はR7のLP-E6NHの約半分の容量で、電池寿命は予想通りだ。
- EOS R10は、UHS-II SDカードスロットが1つで、バッテリーの横にあるカメラ下部のコンパートメントに収まっている。
- R7は2つのカードスロットがカメラ側面の専用ドアの後ろに収まっている。
- 特に両方のスロットを使用しない場合でも、R7の方がカードにアクセスしやすくなっている。
動画性能とオーバーヒート
- 動画の仕様は似ているようで異なる。
- どちらも、センサー全幅でUHD 4Kを最大30pで撮影することが可能だ。この際、R10は6K、R7は7Kでオーバーサンプリングが可能である。
- キヤノンは、このオーバーサンプリングの動画撮影は、カメラの温度や周囲の状況によって、30分程度に録画時間が制限される可能性があると警告している。
- どちらの場合も29.97pの映像を特に強調しており、23.98pでも同様の現象が発生するのかは分からまい。
- カメラの温度が上昇すると、画面上に新しいインジケーターが表示される。オーバーヒートに遭遇する前に不意打ちを食らうことはないはずだ。
- 両カメラとも、センサーのネイティブ(3840×2160ピクセル)領域からUHD 4K 60pを収録することだ可能だ。これは、2400万画素のR10で1.56倍のクロップだが、R7の3250万画素では1.81倍の大幅なクロップということになる。
- R7は、センサーの全幅から60、30、24pのサブサンプル映像(おそらくラインスキップ)で4K動画を撮影することも可能だ。これは、オーバーヒートを心配することなく、すべてのフレームレートで広角撮影ができることを意味しているが、オーバーサンプリングと比べてディテールやノイズ性能が得られないことも意味している。
10ビット撮影
- 両機種とも10bit HDR PQ動画の撮影が可能だ。
- カラーグレーディングを行う場合、R7のみ10bit C-Log 3の撮影オプションに対応している。
- HDR PQは動画だけでなく、10bit HEIFでの静止画撮影が可能だ。
接続端子について
- R7とR10はともにUSB-Cポートを搭載している。
- R7はUSB 3.2 Gen2(10GBit/s)ポートだ。
- R10は旧来のUSB 2.0(480MBit/s)のポートである。
- どちらのカメラもUSBポートで給電や充電が可能だ。
- EOS R7にはヘッドホン端子がある。
- 両機種とも有線・無線リモコンが使用できるが、R7は赤外線センサーを搭載しているので、RC-6のような赤外線リモコンも使用できる。
その他の違い
- EOS R10はグリップが小さいので、小さいレンズとの相性が良い。
- EOS R7はより快適なグリップを持ち、大型RFレンズを装着した場合、指の関節周りに余裕がある。
- R7はある程度の防塵防滴に対応しているが、R10は対応していない。
- R10はポップアップフラッシュを搭載している。
キヤノンは、より高価なモデルの領域を侵さないように細心の注意をはらいつつ、特定のオーディエンスにアピールするためのカメラに仕上げてきた。そして、EOS R10とR7はこの伝統を非常によく引き継いでいる。
R10は1000ドル程度のライバルと競争できる堅実なスペックを備えているが、R7はより安価なモデルとの差異化が十分に施されている(手ぶれ補正、大きなバッファ、より美しいファインダー、防塵防滴、高速シャッター、大きなバッテリー、ヘッドホンソケット、Canon log、全幅4K 60p)
より大きな問題は、EF-SやEF-Mのラインナップと比較してどうなのかということだ。今のところ、EOS Mは純正レンズとサードパーティ製レンズの組み合わせで小型システムを作ることもできるし、APS-Cデジタル一眼レフはより豊富なレンズ群にアクセス可能だ。
若いシステムの常として、新しいRFマウントボディに装着したいと思うようなレンズの提案がキヤノンにおける喫緊の課題となる。
とのこと。
どちらもEOS R3譲りの高性能なAFシステムを継承し、15コマ秒のメカニカルシャッター連写や電子シャッターによる高速連写に対応。しかし、解像性能を始めとして、様々な部分で差異化されているみたいですね。特に手ぶれ補正や防塵防滴、動画機能を重視するのであれば、EOS R7を選ぶ必要がある模様。また、今後さらに登場するであろうAPS-C EOS Rも、価格帯によって機能や性能に差異化が見られるかもしれませんね。
個人的にはEF-Sレンズを3250万画素のボディ内手ぶれ補正搭載モデルで使ってみたいと考えていたので、今のところEOS R7が最適な選択肢と感じています。
また、DPReviewは最後にRF-Sレンズの早期拡充の必要性を強調。確かに2本のキットレンズだけでは物足りなさがあり、フルサイズ対応のRFレンズは高価な選択肢が多く、買い辛いのが正直なところ。早めにRF-Sレンズが充実すると良いですねえ。そして、マウントアダプターで利用できるAPS-C一眼レフ用レンズは残念ながら社外製を含めてディスコンの流れが止まりません。今のところ、不足するRF-Sレンズを補うには一眼レフ用レンズが必須となるので、市場から消える前に確保しておいたほうが良さそうです。
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