DPReviewが正式発表されたばかりのパナソニック「LUMIX S5」の紹介とファーストインプレッションを公開しています。従来の大型路線とは異なり、バランスの取れた1台として「多くの人に評価される可能性を秘めたカメラ」と述べています。
バランスの取れたLUMIX S
DPReview:Panasonic Lumix DC-S5 initial review
目新しいポイント
- パナソニックのカメラは動画の代名詞となっているが、S5も例外ではない。フル画角モードでは最大4K 30pで利用でき、APS-C/Super35モードやセンサーのドットバイドット領域(1.56倍クロップ)を使用した場合は最大4K/60pの動画を4:2:2 10Bitカラーで撮影することができる。
- 熱管理のため、10Bitカラーで撮影する4Kモードと8Bit 4K 50/60pで撮影する4Kモードでは、30分間の記録制限が発生する。8Bit 4Kモードと10Bit FullHD記録を含むすべてのFullHDモードでは、無制限の記録時間が可能だ。
- S5は、S1Hと同様にログレコーディング機能を搭載し、波形モニタ、デュアルゼブラ、カスタムLUTのアップロード機能などを搭載している。
- また、デュアルネイティブISOを搭載しており、低いISO値では最大のダイナミックレンジを、高い値ではノイズ性能を向上させることができる。(訳注:手動切替はできません)
- アナモフィック特有の手ぶれ補正機能を備え、センサーの一部をトリミングしたアナモフィック撮影モードにも対応している。
- 可変フレームレート機能は、スローとクイックを意味する「S&Q」にリブランドされた。4K/60pと1080/180pまでのフレームレートを利用することができ、従来と根本的な違いはない。ただし、スロー端に1fpsのオプションが追加され(2fpsから更新)、最終出力ファイルに24pのオプションが追加されている。
- 動画業界のトレンドの変化に対応するため、カメラは垂直方向の録画に対応しており、自動的に向きを検出して動画を垂直形式で再生することができる。
- オートフォーカスは標準的なコントラスト検出AFと各レンズの光学特性を組み合わせて、空間認識AFシステム(DFD)で被写体までの距離を計算し、それに応じてレンズを駆動する。
一般的に像面位相差AFがより洗練されたものになっているが、パナソニックはこの技術の改良を続けている。- S5のAFの改良点は、ディープラーニング技術による被写体認識の向上と高速化、DFDの計算方法の改善の2つに大別される。
- まず、S5では「顔、目、体」の認識に加えて、「頭部」の認識アルゴリズムを搭載しており、被写体がカメラから離れてもカメラが苦戦しにくいようになっている。
また、フレームに占める顔の割合は、他のSシリーズカメラの「5%」から、「2.5%」となった。
このほかにも、ボディと顔のオートフォーカス検出回数が、同社他機種でそれぞれ1秒間に12回、30回であるのに対し、S5では1秒間に60回計算できるようになっている。- 第二に、S5は従来モデルよりC-AF中にDFD技術の依存度が高くなっている(コントラスト検出の依存度が低くなっている)。
これについての詳細は後ほどレビューするが、使用中にハンチングやリフォーカスの「フラッター」が少なくなっている。ハンチングやりフォーカスは気が散り、動く被写体を追いかけるのが難しくなる要素だ。- このAF方式で最も課題が残されているのは動画撮影時だ。動画撮影時に静止画と同じような方法・レートでサンプリングすることが出来ない。
しかし、頭部検出機能のおかげで、優れた被写体追従性を発揮するはずだ。- ライブビューコンポジットは目新しい機能では無いが、フルサイズモデルで導入するのは初めてだ。
- センサーを動かしつつ、8回の撮影でべイヤーフィルターの効果をキャンセルし、解像度を4倍に高める撮影モードを搭載している。LUMIX S1・S1RではRAW出力しか対応していなかったが、S5では直接JPEG出力にも対応している。
ハイレゾモードは被写体ブレ優先・解像度優先の2モードが用意されている。どちらのモードでも三脚が必要だ。- 高解像度カメラでは、シャッター機構の振動により画像の手ぶれが発生することがある。一般的な解決策は、機械式シャッターの代わりに電子先幕シャッター(EFCS)を使用することだ。しかしEFCSには、非常に高速なシャッター速度でボケの外観に影響を与えるなど、独自の欠点がある。完璧を目指すのであれば、カメラは必要なときにはEFCSを使用し、そうでないときには機械式シャッターに戻す必要がある。
S5はまさにそれを目指しており、使用される特定のカメラとレンズの組み合わせに基づいてEFCSと機械式シャッターを自動的に切り替えることが可能だ。- S5は、ミドルレンジのフルサイズカメラセグメントの真ん中に位置し、フルサイズ市場で最も競争の激しいカテゴリーである。主な競争相手は、同じような価格帯で発売されたソニーのα7 IIIやニコンZ 6であるが、一般的には発売から数年後の価格で販売されており、キヤノンEOS R6は他のグループよりもやや高価である。
- スペック的には、S5は同業他社の中では確かに競争力があると思う。高速連写が必要な時に選択するモデルでは無いが、大部分は競合他社と似ており、EOS R6と並び、グループの中では優れた動画性能を備えている。
- しかし、LUMIX S5はスペックシートでは明らかにされていない、動画撮影で役に立つ便利な機能をいくつか備えている。
ボディ・操作性
- S5の特筆すべき点は、そのボディの大きさだろう。これまでのパナソニックのフルサイズカメラは、ミラーレスの中で大きなの部類に入る。
- それに対してS5は、第4世代のソニーa7よりも一回り大きいが、重厚なS1よりもコンパクトな印象を受ける。
- このコンパクトサイズにトレードオフがないわけではない。熱管理のために、10Bit動画モードでの撮影時間の制限など、動画機能でいくつかの譲歩をしなければならない。
- 背面パネルはS1と同様、ダイヤル・AFモードセレクター・ボタンの配置はほぼ同じだ。ただし、「戻る」と「ゴミ箱」が一つになっている。これは最近のパナソニック機種を使ったことがある人なら、すぐに馴染めるだろう。
- S5のファインダーは236万ドットのOLEDパネルを採用しており、S1シリーズの576万ドットパネルや同クラスの他社製カメラで使われている369万ドットパネルよりも解像度が低い。アイポイントは20mm、倍率は0.74倍と、平均よりも一回り小さく長くなっている。
- ファインダーのリフレッシュレートは60fpsまたは120fpsに設定でき、表示ラグは0.005秒と非常に短い。これにより、非常に満足のいくユーザー体験を得ることが可能だ(高解像度では無いが)。
- S5では、S1の丸いアイカップではなく、より長方形のアイカップを採用している。底面にはアイセンサーが付いており、ユーザーがカメラを目の前に上げると自動的にピントを合わせ始めるアイセンサーAFを作動させることが可能だ。
- また、同じセンサーで「パワーセーブLVF撮影」という機能にも対応しており、ファインダーから目が離れたことを検知して自動的にスリープモードにしてくれる。逆に、ファインダーを目の前に上げると、直前の撮影モードが瞬時に復元される。パナソニックは、この機能を使えば、バッテリーでの撮影枚数を3倍にできると主張している。
- 動画撮影者に喜ばれる3.0型バリアングルモニタを搭載している。G100と同じ184万ドットのパネルを採用しており、屋外での撮影を想定した非常に明るいモニタだ。S5では色精度を重視して明るさを抑えているが、S5ユーザーはこれを理解すると思う。
- S5に3.5mmマイクとヘッドフォン両方のポートが搭載されているのは驚くことでは無い。マイクレベルまたはラインレベルの入力に対応し、必要なマイクにファンタム電源を供給することが可能だ。また、2つのXLR入力チャンネルと物理的なコントロールダイヤルを備えたパナソニックのマイクアダプター「DMW-XLR1」にも対応している。
- オーディオレベルは、-12dBから+6dBまで、最大18段階の調整が可能だが、S5にはS1Hに搭載されているハイ/ローゲイン機能は搭載されていない。
また、S1HやVariCamモデルに搭載されている、より高度な動画ステータス表示モードは搭載されていない。- 動画出力は、Micro HDMIポートに対応している。動画撮影に多く使用されるカメラならフルサイズHDMI接続であって欲しいと思うが、GH5よりも小さなフルサイズミラーレスを手に入れるために支払うべき代償かもしれない。
- 新型バッテリーDMW-BLK22を使用している。GH5やG9のような大型Gシリーズカメラで使用されている「DMW-BLF19」バッテリーとサイズと形状が似ているものの、追加の電気接点が含まれており、約15%以上の容量を確保している。
新バッテリーは、より大きなGシリーズモデルと下位互換性があるものの、上位互換には対応していない。つまり古いBLF19バッテリーは、S5では動作しない。- 新しいドロップイン充電器は、USB-C接続を介して充電する。GH5やG9のBLF19バッテリーを充電することが可能だ。しかし、古いGシリーズの充電器でS5の新しいバッテリーを充電することは出来ない。
- 撮影中にUSBから直接電源を供給することも可能で、インタビューやライブイベントの撮影時など、バッテリー交換が面倒なときに便利だ。
別売りオプションのバッテリーグリップ「DMW-BGS5」も用意されています。- S5にはデュアルSDカードスロットが搭載されており、1つはUHS-IIカードに対応し、もう1つはUHS-Iカードまで対応している。
2つ目のカードスロットの速度は低速だが、どちらも最高ビットレートを処理するのに十分な速度であり、動画のパフォーマンスに影響は無い。
ただし最高連写速度でRAWファイルを出力し、スロット2にファイルを書き込む場合、U3カード30MB/sのレートがボトルネックになるため、静止画のパフォーマンスに影響がある。- SDカードは録画中にホットスワップが可能だ。USB電源と8Bit録画であれば、実質的に無制限の録画時間があることを意味する。
- パナソニックはファームウェアアップデートを予告しており、2020年末までに実装が予定されている。 S1Hとのギャップをさらに縮める追加機能が含まれている。
・DCI 4K
・HDMI出力 RAW動画
ーAtomos Ninja V
ー16:9 5.9K 30p
ーSuper35モード 4K 60p
・ベクトルスコープ
・マスターペデスタル
・シャッター角
・dB表示
・LモノクロームS
・Lクラシックネオファーストインプレッション
パナソニックが最初にフルフレームカメラ市場に参入したとき、文字通りの大型化した。S1とS1R(そして後のS1H)は、ミラーレスの基準としては大きなボディだった。確かに印象的なカメラであることは間違いないが、その大きさは万人の心の響くものでは無かったはずだ。
パナソニックは、ソニーα7 IIIやニコンZ 6のようなものに対抗する、コンパクトで2000ドル前後のフルフレームモデルを持っていなかったのである。
そこでS5の登場だ。S5はフルサイズ市場で競争力を持つために、パナソニックが作らなければならなかったカメラである。パナソニックがフルサイズ市場に参入する際、多くの人が期待していたカメラでもあると思う。静止画と動画の両方に優れたコンパクトなモデルであり、長時間動画撮影機能を備えたGH5に近いフルサイズミラーレスだ。GH5よりも少し小さくなったが、ほぼ実現している。
これまでのところ、S5について最も高く評価しているのは静止画と動画のバランスが優れていることだと思う。S1と同じセンサーを搭載した堅実なスチルカメラであり、写真家のためのクリエイティブなツールをいくつか搭載している。
夜空撮影にライブコンポジットモードを試すのを楽しみにしているし、多くの人が更新されたハイレゾモードを楽しむだろう。動画撮影をする予定がなくても、好きになるところがたくさんある。もちろん動画撮影ができなければ、ハイエンドのパナソニックカメラではない。より高価なS1Hほどでは無いが、S5は良いバランスの機能を備えている。
実際に、S5のターゲット層のほとんどの人は、おそらく最高ビットレートのALL-Iコーデックを必要としていないだろう。それでも、撮影時に役立つ優れたアシスト機能を実装してくれたことは嬉しく感じるはずだ。
そして、パナソニックが機能と熱管理のバランスを取っていることを評価している。S5で最も気になるのはパナソニック独自のDFD AFシステムかもしれない。パナソニックはDFDの改善を続けており、我々はまだ大規模なAFテストを行っていないが、C-AFを使用する場合に、いくらか改善を見ることができると思う。
S5の動画AFは最新カメラに搭載されている位相差AFに比べて、まだ洗練されていないように感じた。動画撮影ではマニュアルフォーカスを多用し、AFの重要性が低いとよく言われている。しかし、最新の位相差AFシステムは多くの場面で有用であることを証明している。長い間、パナソニックのカメラを使って動画撮影をしてきたが、クラストップレベルの動画システムの中で、DFD AFがアキレス腱になっていることもあった。私はパナソニックのDFD改善を評価しており、十分な先進技術(より多くの処理能力とより高速なスキャンセンサー)があれば、本当の可能性があるように思える。
その一方で、競合他社はDFDの気が散るような挙動を示さない効果的な動画AFシステムを実装している。間違いなくパナソニックがこれまでに生産したカメラの中で最も汎用性の高いカメラの一つだ。専門分野においてハイパフォーマンスを発揮するカメラでは無いが、何でも屋のような存在に慣れるカメラである。
クラスをリードするカメラにはなれないが、ほとんどの分野ではかなりの競争力があるはずだ。多くの人に評価される可能性を秘めている。
とのこと。
大きく、重いLUMIX Sシリーズが続いただけに、LUMIX S5が小さく感じますね。(実際にはα7やZカメラより少し大きいですが)
課題はレンズラインアップの充実だと思いますが、パナソニック・シグマ共にコンパクト路線のレンズラインアップを予告・示唆しているので今後の展開を期待したいところ。
この価格帯では高度な動画機能を搭載しており、ネックとなるコントラストAFにも一定の改善が見られる模様。動画AFはまだ改善の余地があるものの、検出回数が毎秒60フレームまで向上したのは嬉しいですね。静止画では被写体によって大きく改善したと感じるかもしれません。
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