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OM SYSTEM ED 90mm F3.5 Macro IS PROレンズレビュー Vol.2 外観・操作・AF編

OMデジタル「M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO」のレビュー第二弾を公開。今回はレンズの外観や操作性、カメラに装着してAF/MFの使いやすさなどを確認しています。

90mm F3.5 Macro IS PROのレビュー一覧

外観・操作性

箱・付属品

従来の黒を基調としたデザインではなく、非常にシンプルで味気のないデザインに切り替わっています。これがコストダウンなのか、環境対策を意識したデザインであるのかは不明。このような取り組みを理解できるものの、10万円以上の商品に対する購入体験としては少し残念な印象を受けます。箱に対してプリントが少し傾いて見えるのは気のせいでしょうか?(画像で箱が少し傾いているのは別にして)

レンズ本体のほかに、レンズフード、前後のキャップ、ソフトケース、説明書、保証書が付属します。従来のPROレンズと同じで、特に大きな変化はありません。

外観

パッと見た外観はPROシリーズらしいものですが、従来のPROシリーズと比べて外装にプラスチックパーツを多用しています。軽量化やバランスを重視するうえでプラスチックの採用は理にかなっています。しかし、手に取った際の質感は従来の金属外装と比べるとかなり劣るのは確か。

マウント付近や三脚リングを装着できる箇所は金属製パーツで堅牢な作り。頑丈であるうえ、マウント付近に金属パーツを採用することでフロントヘビーの重心を回避し、バランスの良さに一役買っているように見えます。レンズのロゴを含めて、外装の表示は刻印なしのプリント。製造国はベトナムと印字されています。

ハンズオン

全長136mmと細長いレンズですが、重量は453gと抑えられています。フルサイズ用の100mm F2.8 マクロレンズと比べると一回りコンパクトな印象を受けます。このサイズで2倍マクロに対応しているのだから凄い。

前玉・後玉

インナーフォーカス仕様のため、フォーカシングによるレンズの繰り出しはありません。固定された前玉にはフッ素コーティング処理が施されているので、水滴や油汚れが付着した際のメンテナンスは容易。とは言え、事前に汚れや傷が予想されるシーンではプロテクトフィルターを検討したほうが良いでしょう。フィルターサイズは62mmで、オリンパス・OMデジタルのレンズで互換性のある製品は多い。

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金属製のレンズマウントは4本のビスで固定されています。周囲は防塵防滴用のシーリングを配置。電子接点にはテレコンバージョンレンズ用と思われる追加の接点があり、後玉はテレコン装着用のスペースを確保するために奥へ隠れています。

フォーカスリング

従来のPROレンズなら金属製だったプラスチック製の(寒冷地で触ってみたら金属製の質感でした)幅広いフォーカスリングを搭載。滑らかに回転しますが、40-150mm F2.8 PROほどではなく、わずかなざらつきや若干の緩さを感じます。この状態でのMFは回転速度に応じたピント移動に対応しており、素早く回す場合は1回転、ゆっくり回す場合は3~4回転以上のストロークで操作可能。

フォーカスリングを手前にスライドすることで、強制的にMFへ切り替えることが可能。この際は内筒に表示しているピント距離表示に従いフォーカスレンズが駆動します。ストロークは他のPROレンズにおけるMFクラッチと同じ90度ほど。直感的で素早い操作に対応していますが、2倍マクロのストロークとしては短いです。特に無限遠側にしわ寄せが及び、遠側の微調整はかなり厳しい。フォーカスクラッチを動作させずに、通常MFモードで操作するのがおススメ。というか必須と感じます。それでも遠側のストロークはとても短いので操作時は注意が必要。

スイッチ類

側面にはフォーカスリミッターのスイッチ・ISのスイッチ、L-Fnボタンを搭載。全体的に水平よりも少し高い位置となっており、どのコントロールも左手で操作しやすくなっています。特にPROレンズとしてはL-Fnボタンが押しやすい。

フォーカスリミッターはフルレンジ「0.25m-∞(~1.0倍まで)」、近側「0.25m-0.5m(~1.0倍まで)」、S-MACRO「0.224m-0.33m(0.5-2.0倍)」に対応。マクロレンズとしては使いやすいレンジをカバーしていますが、一般的な撮影ではマクロ域を制限する遠側の設定が欲しかったです。ただし、この場合はカメラ側のフォーカスリミッター機能を利用することで代用可能。

三脚リング

公式に推奨されていませんが、マウント付近の金属パーツ部に三脚リング(40-150mm F2.8 PRO用)を装着可能。「偶然にも装着できる」わけではなく、三脚リングに適したサイズとデザインです。残念ながら、40-150mm F2.8のような脱落防止機能が無いので、リングを緩めすぎると脱落しやすい点に気を付ける必要があります。また、三脚リングは個別に販売していません(海外では購入可能)。

手持ちの三脚リングを90mm F3.5に装着。装着時はカチッと所定に位置にはまり、バランスは良好。ただし、リングの設置個所が40-150mm F2.8 PROよりもマウント側にあり、OM-1装着時に三脚座と干渉しないギリギリの配置となっています。E-M1Xなどグリップが大きなカメラやバッテリーグリップ装着時は干渉するかもしれません。

レンズフード

円筒形のプラスチック製レンズフードが付属。作りはシンプルで、ロック機構と解除ボタンが一か所ある以外にこれと言ったギミックはありません。個人的には60mm F2.8 Macroのようにスライドで格納/展開が可能なレンズフードだと良かったのですが、壊れにくいシンプルなフードを好む人もいることでしょう。

逆さ付けに対応していますが、その場合はフォーカスリングへのアクセスができなくなります。S-MACRO時はフードが邪魔になるので素直に取り外して収納しておくのがおススメです。

テレコンバージョンレンズ

既存のテレコンバージョンレンズ「MC-14」「MC-20」に対応。126mm F5.0・180mm F7.1として使うことが出来ます。最大撮影倍率はそれぞれ2.8倍・4.0倍で、他社のシステムでは実現できないようなマクロ撮影が可能。マクロでの実効F値が非常に大きくなるので、マクロフラッシュなど光量を増幅するツールが必要となります。

装着例

OM-1とGM1Sに装着。前述したようにレンズの重心が後ろ側にあるので、カメラ装着時もバランスは良好。GM1Sのようにコンパクトなカメラと組み合わせても良さそう。ただし、前述したように三脚リング・三脚座とグリップの干渉には注意が必要です。

AF・MF

フォーカススピード

ステッピングモーター駆動による2つのフォーカスレンズ群を使ったフローティング構造を採用。近接時の収差変動を効果的に抑えつつ、フォーカスレンズ群の小型化で高速で滑らかなAFを実現。このような構造のレンズはM.ZUIKOの中でも少なく、40-150mm F2.8 PROや60mm F2.8 Macroのみ。

OM-1と組み合わせてチェックしてみると、近距離から遠景まで非常に高速な合焦速度を実現しています。デュアルVCM駆動の40-150mm F2.8 PROほどではありませんが、一般的な撮影では非常に快適と言えるフォーカス速度です。

ただし、近側から遠側へピントを移動する場合、マクロ側に大きく振れてしまうことがあります。このような場合は復帰が遅く、瞬間的なシャッターチャンスに間に合わない可能性あり。個人的には、近側のフォーカス範囲を狭くする「遠側」のリミッターが欲しかったです。ただし、一部のOM-D・OMカメラにはフォーカスリミッター機能があるので代用可能。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・0.5倍(0.33m)・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

最短撮影距離はボケが大きいのでブリージングは目立ちませんが、0.5倍ほどの撮影距離から無限遠まででも目立つ画角の変化が発生します。マクロレンズとしては一般的なことであり、特に驚くべき内容ではありません。

精度

OM-1との組み合わせで良好な精度を維持しています。ただし、これはマクロ域や近距離での話。無限遠に近い遠景では微妙にピントが甘いと感じる場合があります。また、レンズの開放F値が暗く、低照度やテレコンバージョンレンズ装着時などは合焦に失敗する場合があり。

MF

前述したように、MFクラッチを動作させた状態はストロークが短いので微調整には不向き。素早く操作できますが、この場合はフォーカスリングの動きにフォーカスレンズが追い付いていない場合もあるので注意が必要です。微調整であればクラッチを利用せず、通常のMF操作がおススメ。

まとめ

OMデジタル移行後の製品らしく、いくつか合理的な取捨選択がなされているように見えます。外装は堅牢な金属外装にこだわらず、部分的にプラスチックパーツを使用して軽量化を実現。フォーカスリングは以前ほど滑らかな操作性ではありませんが、マクロ域では必要十分な精度を備えています。

オートフォーカスはカメラ側の設定次第(遠側重視のAFリミッター)で快適に動作。像面位相差を搭載した最新機種のみならず、コントラストAFの古いLUMIX機でもまずまず良好なAF性能を得ることが可能です。さらに、効果的な光学手振れ補正を搭載しているので、ボディ内補正を搭載していないボディでも扱いやすいのも強みと言えるでしょう。

価格を考慮しなければ、良くできたPROシリーズのレンズです。いくらかプラスチッキーではあるものの、堅牢さが必要な部分は引き続き金属製で、IP53の強力な防塵防滴に対応。各種コントロールは操作しやすいデザインで、レンズ全長は長いものの、軽量でカメラ装着時のバランスが良いのは地味に良い。何より、ミラーレス用マクロレンズとしては珍しい望遠マクロレンズであること、さらにテレコンバージョンレンズに対応している点が大きいと感じます。

欠点は遠側のピント精度やMFの使い勝手。遠側のピント精度が甘く、フォーカスリングはクラッチ時の遠側は微調整が絶望的で、必要に応じて2系統のMFコントロールを使い分けることで解決しますが、それでもピントの山を丁寧に合わせる必要があり。

注意

カメラ側の癖である可能性も否定できないので、このあたりは長期的な使用でカメラをとっかえひっかえしつつ、確認してみたいと思います。

また、三脚リングに対応しているものの、完全な互換性ではなく、脱落の可能性がある点に注意が必要。箱のデザインは大幅にシンプルとなりました。などなど、希望小売価格が税込231,000円、実売166,320円(税込)のレンズとしてはいくつか気になる部分があります。

購入早見表

M.ZUIKO DIGITAL ED 90mm F3.5 Macro IS PRO
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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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