DPReviewが富士フイルム「X-E4」のレビューを公開。小型化によりいくつかの操作性が犠牲となっているものの、コンパクトでスタイリッシュなカメラと評価。旗艦モデルと画質やAFが同等と言及しています。
DPReview:Fujifilm X-E4 review: small size, big image quality
カメラの紹介:
- 2600万画素APS-Cセンサーを搭載した小型軽量なXマウントのミラーレスカメラだ。
- 最新センサーとプロセッサの組み合わせにより、最新のAF・動画・連写など優れた機能を備えている。18種類のフイルムシミュレーションも利用可能だ。
- 内部スペックは多かれ少なかれX-S10から手ぶれ補正を差し引いたものだ。
ビルド・外観:
- X-E4はとても魅力的な小さなカメラだ。フェイクレザーは見た目も手触りもよく、マグネシウム合金の天板も美しく、カメラ本体もしっかりしている。
- 残念なことに、キットレンズのXF 27mm F2.8 R WRには防塵防滴を採用しているものの、X-E4は耐候性を謳っていない。
- X-E4はおなじみのNP-W126Sバッテリーパックを採用し、CIPA規格で460枚の撮影を実現している。休暇のカジュアルな撮影を容易にこなすことができる。
- バッテリーの充電はカメラのUSB-Cポートから行うことができる。
- ストレージには、安価で普及しているSDカードを採用している。しかし、X-E4はUHS-Iにしか対応していない。もちろんUHS-IIカードも使用できるが、性能はカメラ側で頭打ちとなる。
- サンディスクのエクストリームプロ UHS-I U3カードを使用した非公式のテストでは、20fpsの連続撮影で、ロスレス圧縮RAW+Fine JPEGで1?1.5秒撮影し、バッファがクリアになるまで10秒弱待つ。
- JPEGのみの撮影では、バッファが一杯になるまでに約2.5秒、バッファがクリアされるまでに約8秒かかる。
携帯性:
- X-E3がX-E2Sに比べてサイズや操作性が若干低下したように、X-E4もX-E3に比べてサイズや操作性が低下している。
- ポケットサイズだが、レンズにかなり依存することになる。新レンズ「XF27mmF2.8 R WR」を装着すると、富士フイルムのレンズ固定式カメラ「X100V」よりも軽い。
グリップ:
- 実際に使ってみると、コンパクトなレンズを使っている限りリストストラップをつけるだけでカメラ本体が手に馴染むことがわかる。
- 大きなレンズを使う場合は、オプションのサムレスト(MHG-X34、TR-XE4)を使うといいだろう。
- とは言え、大きな石鹸のような形をしたカメラに究極の快適さを求めてはいけない。
操作性:
- シャッターボタンは常に良い感触で、ダイヤルは適度な抵抗感がある。
- 少なくともテスト機では、背面の「メニュー/OK」「操作/戻る」ボタンが少し軽すぎ、浅すぎだ。
- シャッタースピードダイヤルが露出補正ダイヤルのように360度回転するといいのだが、一度「P」や「B」に設定すると回転操作が多くなる。
- X-E2の前面にあった「M-C-S」のフォーカスモードコントロールがなくなったことについては納得できない。被写体に応じて主要なオートフォーカス設定を調整するための素早い方法だったので、これがなくなるのは残念だ。
- オートフォーカスモードとエリア設定をQメニューやボタンに割り当てて素早く切り替えられるようになるが、「Qメニューへのアクセス」機能を割り当てられるボタンが少ないのが残念だ。
- X-E3の背面ダイヤルが省略されたことで、親指を置くスペースが確保されたが、やはり操作ポイントが一つ減っている。
- 基本的に、X-E4は少しミニマリストになりすぎたのではないかと考えている。すべての設定に簡単にアクセスできるようにするには時間がかかった(ボタンに割り当てられるものはたくさんあるが、ボタンの数は多くない)。
- 最終的に、カスタム機能のタッチFnを有効にした。これはかなり効果的だ。
- X-E4のシャッタースピードダイヤルには、新たに「P」モードが追加された。このモードを選択すると、レンズの絞りリング設定を上書きして、プログラムオートへ移行する。絞りダイヤルとシャッタースピードダイヤルの両方を「A」にしても同様の効果が得られる。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
ファインダー・モニター:
- ファインダーは、このクラスのカメラとして傑出したものではないが、標準的なものだ。
- 深刻な問題は、左手の親指で「ドライブ/デリートボタン」を押したくても、アイセンサーが作動して背面モニタからEVFへ切り替わってしまうことだ。これが面倒くさい。
- モニタを傾けた状態でセンサーを作動させても、自動的にEVFに切り替わることはない。しかし、自撮り向けにモニターの表示が反転してしまう。
- 折りたたみ式のチルトモニタは本当に楽しいもので、ハイアングルやローアングルでの撮影が前モデルよりもずっとしやすくなっている。
メニューシステム:
- オートISO機能に変更はない。つまり、ISOの上限と下限を設定し、シャッタースピードの最小値を指定するか、「自動」を選択することができる。多くの競合他社のように、「オート」の微調整機能はまだない。その一方で、ISOオート設定は3つの枠に分かれており、素早く切り替えることができる。
オートフォーカス:
- X-E4のオートフォーカスの動作・性能は、フラッグシップモデルであるX-T4と同じだ。
- フォーカスモードは、シングルポイント、ゾーン、全エリアの3種類から選択できる。
- AF-Cは、被写体の上にAFエリアを置き、シャッター半押しやAFボタンでAFを開始し、フレーム内で被写体を追いかけることができるトラッキングモードがある。
- いずれのAFモードでも、顔検出・瞳検出機能を個別にオンにすることが可能だ。顔を検出すると、顔の上にボックスが表示され、瞳を検出するとさらに小さいボックスが表示される。
- 1つのシーンで複数の顔や瞳を検出した場合、AFジョイスティックをタップすると、それらの間をジャンプすることができる。
- 検出された顔/瞳から離れてAFジョイスティックをタップすると、顔/目の検出が解除され、最初に選択したAFモードに戻る。
- ほとんどの撮影シーンでは、AF-C1点が最も確実だと感じた。
- しかし、ほとんどの静止した被写体では、トラッキングAFモードも信頼性の点で非常に良い仕事をしてくれる。
- 顔/瞳検出はほとんどの撮影シーンでそれなりに機能するが、時折、誤検出をすることがある。つまり、シャープに写っているように見えても実際にはわずかにピントがずれているということがある。カジュアルユーザーにとっては十分な機能だが、ピクセルピーパーやポートレートのプロであれば、この機能に頼って毎回ピントを合わせることはないだろう。
- スポーツ選手や野生動物など、動きの速い被写体を連写で撮影する場合は、AFジョイスティックでAF-Cのシングルポイントやゾーンでピントを合わせることをお勧めする。
- 8コマ/秒(機械式最高速)と20コマ/秒(電子シャッター最高速)でテストした結果、カメラに向かって直線的に近づいてくる自転車に問題なくピントを合わせることができ、ほぼ完璧なヒット率だ。
- しかし、X-E4のトラッキングモードを使って、カメラに近づいてくる不規則な動きの被写体を撮影すると、ヒット率が低くなってしまう。
- カメラが被写体を認識し、適切なフォーカスポイントで追従し、ピントを維持するというテストでは、背景の要素(特に明るい色)に気を取られて被写体から飛び出し、数枚後に戻ってくる傾向が見られた。
- また、X-E4はAF追従時に少し遅れてしまう傾向がある。カメラの「AF-Cカスタム設定」を調整することで、わずかながらヒット率を上げることが可能だ。
- しかし速い被写体や不規則な動きをする被写体で最良の結果を得るためには、AF追尾モードを使わず、ポイントやゾーンで撮影することをお勧めする。
連写性能:
- 記載なし。
画質:
- X-E4は、フラッグシップモデルであるX-T4と同じ2600万画素のAPS-CセンサーとX-Processor 4を採用しており、同じように優れた画質を実現している。
- RAWファイルは、高解像度のEOS M6 Mark IIにわずかに及ばないものの、他のAPS-Cカメラの上位機種に引けを取らない良好なディテール描写を実現している。
- 高ISO感度でのノイズレベルも、このカメラに最も近い、あるいは最も優れたライバルと同等だ。
- X-E4のJPEGのデフォルトカラー(プロビア/スタンダード)は、とてもきれいだ。
- 特に黄色のトーン描写は的確だ。いくつかのブランドでは黄色にわずかな緑やオレンジの色調が見られるが、富士フイルムでは見られない。
- 緑と青も彩度が高く、正確に見える。
- 赤の色調は正確に見えるが、キヤノンやソニー、ニコンの赤ほどは彩度が高くない。ピンクの色調は、キヤノンやソニーの製品よりも彩度が高く、ピンクがかっているので、人によっては肌色が少しずれて見えるかもしれない。
- 低ISO感度でデフォルトのシャープネス処理は、競合他社(ソニー)ほど洗練されていない。しかし、高ISO感度では、ノイズリダクションとディテール保持のバランスをうまくとっている。
ダイナミックレンジ:
- センサーサイズの割に優れたRAWダイナミックレンジだ。後処理に十分な処理能力を発揮する。
- フラッグシップモデルであるX-T4と同じデュアルゲイン方式のセンサーを採用しており、ISO800に達するとゲインの「モード」が切り替わる。
- ローゲインモードでは最大のDRを得ることができる。アッパーゲインモードでは、センサーが低ノイズを優先し、ダイナミックレンジが多少犠牲になる。
- ISO160の画像を明るくすると、ISO3200の画像よりも少しノイズが多いように見える。しかし、大きな違いではない。
- このカメラで最もクリーンなノイズレベルを求めるユーザーは、ISO 800で撮影することをお勧めする。
仕上がり機能:
- 記載なし。
動画:
- 動画撮影では、静止画に比べてAFモードが限られている。顔や瞳の検出は可能だが、トラッキングモードがない。
- 顔と瞳の検出は問題なく動作するが、まれにカメラが被写体を見失い、フォーカスラックが発生することがある。
- 専用の動画撮影ボタンは無いが、3つのカスタムボタンにこの機能に割り当てることが可能だ。
- 動画を撮影するには、「ドライブ」ボタンで動画モードに切り替えてからシャッターを切る必要がある。
- 本体にはフルサイズのマイク端子があり、付属のUSB-C-オーディオ端子アダプタで音声のモニタリングが可能だ。
- カメラのメニューから音声レベルを調整したり、ウィンドカットやローカットのフィルターを追加したりすることができる。
- なお、X-E4は兄弟機であるX-S10と異なり、手持ち撮影時に役立つボディ内手ブレ補正機構が搭載されていない(デジタルISもない)。X-E4に惹かれている方で、動画撮影が好きな方は、X-S10の方が良いかもしれない。
- X-E4の動画品質は、兄弟機であるX-S10やX-T30と同じで非常に良好だ。
- FullHDの映像は、モアレが発生しやすいものの、ディテールがきれいだ。4Kは、UHDでもDCIでも、キヤノンEOS M6 Mark IIよりはるかにディテールが豊かで、ニコンZ 50よりもややディテールが豊かで、ソニーα6000シリーズと同程度のディテールを持つ。
総評
- 富士フイルムは、X-E4をX100Vと双璧をなすカメラと位置づけている。2つのカメラは多くの技術を共有しているが、X-E4はいくつかの点で「金賞」を受賞した兄弟機には及ばない。具体的には、防塵防滴の欠如、EVFの低解像度化、コントロールポイントの削減など、よく言えば素直な撮影、悪く言えばイライラするような撮影となる。
- デザイン面では多くの点で優れている。3型のチルト式タッチパネルは反応が良く、特にストリート写真を撮る際には楽しく使うことができる。
- 236万ドットのEVFは、圧倒的な解像度ではないが、多くのユーザーに十分なディテールを提供できるはずだ。
- 90ドルのアクセサリーグリップや70ドルのサムレストがないと、カメラはかなり滑りやすいと感じた。しかし、カメラはコンパクトであるだけでなく、とてもハンサムだ。
- とは言え、コントロールポイントを減らしたことには不満が残る。前モデルにあった前面のフォーカスモードセレクターとリアダイヤルを削除しないでほしかった。また、3つの物理的なカスタムボタンだけでなく、もっと多くのボタンがあればいいと思った。
- 画質は優れた血統により、高い能力を発揮する。フラッグシップモデルであるX-T4に匹敵している。最新X-Trans CMOS 4センサーは、ディテールをよく捉えた優れたRAWファイルを作成することができ、編集の自由度も高い。
- JPEGプロファイルは、古典的なフィルムを模倣したもので、DPRスタッフの間でも長い間人気がある。X-E4には、「クラシッククローム」「クラシックネガ」「アクロス」など、実に18種類ものプロファイルが用意されている。
- 内部での8Bit ログ動画、専用のキャプチャーデバイスへの10Bit ログ動画(マイクロHDMI経由)など、細部まで美しい4K出力を実現している。
- FullHD動画は240fpsでの撮影が可能で、スーパースローモーションにも対応している。
- また、マイクやヘッドフォンを接続することも可能だ。X-E4の動画機能で唯一欠けているのは、手持ち撮影時のボディ内手ブレ補正機能だ。
- 富士フイルムのカメラが他社に比べて遅れをとる傾向にあるのは、オートフォーカスのトラッキング性能だ。X-E4も例外ではない。
- 静止している被写体であれば、顔検出や瞳検出は十分に機能し、従来のトラッキングAFモードも十分に機能する。しかし、ひとたび動きが加わると、これらのモードの信頼性は大きく低下する。
- ただし、AF-Cのシングルポイントやゾーンを使ったAF性能は非常に良く、AFジョイスティックの反応も良好だ。
全体的に見て、X-E4は多くの魅力を持ったカメラであり、特に富士フイルムの最新画質を備えた、ポケットサイズに近いXマウントボディを求める多くの写真家を満足させることができるだろう。
他の富士フイルムボディからアップグレードする人にとって、ボタンがないことに慣れる必要があるかもしれないが、それが決定打となることはない。午後のストリートフォトや長期休暇に喜んで持っていけるカメラだ。長所:
- 優れた画質
- 心地よいJPEG色
- スタイリッシュでコンパクトなデザイン
- 高品質な動画
- チルトモニタのタッチ応答性
- ヘッドホン出力に対応
- ボディ内充電
- 良好なバッテリーライフ
短所:
- AFのトラッキング性能
- 動物検出非対応
- リアダイヤルとフォーカスモードレバーがない
- カスタムボタンに対応する箇所が少ない
- グリップが無い
- ボディ内手ぶれ補正が無い
- 防塵防滴非対応
競合カメラ
- α6400
・スペックは非常に似ているが、撮影体験が大きく異なる。
・X-E4が実践的である一方、α6400はワンタッチな操作性だ。
・操作性はX-E4だが、AFはα6400が遥かに優れている。
・どちらも優れたRAW・動画だが、JPEGはX-E4のほうが心地よい。- Nikon Z 50
・エルゴノミクスはZ 50が好みだ。
・APS-C用レンズはX-E4のほうが充実している。
・最終的には見た目で判断すると良いだろう。- EOS M6 Mark II
・M6 IIはファインダーを内蔵していない。
・M6 IIのほうが高解像だが、どちらも良好な画質である。
・動画機能はX-E4が優れている。
・対応レンズはX-E4のほうが豊富である。- X-S10
・中身はほとんど同じだが、良好なグリップと操作性を備えている。
・X-S10はボディ内手ぶれ補正を搭載している。
とのこと。
APS-Cミラーレスとしては非常にコンパクトなカメラですね。フォーカスモードレバーやリアダイヤルが無くなってしまったのは残念ですが、このサイズでチルトモニタとAFレバー、ファインダーを搭載したAPS-Cミラーレスは魅力的。もちろん、X-E3ユーザーなどは操作性の変化に慣れる必要がありますが…。DPReviewが言及しているように「よく言えば素直な撮影、悪く言えばイライラするような撮影」となりそうです。
画質やAF、動画機能はX-T4など最新モデルと遜色無い点も強みと言えそうです。気をつける必要があるのは連写性能とメモリカードやバッファのバランスが取れていないことでしょうか。20コマ秒でRAWを連写するとあっという間にバッファが底をつくので注意が必要。さらにバッファクリアに時間がかかるのが悩ましいポイント(X-T30・X-S10ユーザー談)。
元X-E3ユーザーとしては気になるカメラですが、X-E4の魅力を補完する「XF27mmF2.8 WRレンズキット」が国内市場に存在しないのが個人的にとても残念。後日追加しないかなと狙っています。
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