Phototrendがニコン「Z 9」のレビューを公開。優れたビルドクオリティのボディから、オートフォーカス、連写性能、ファインダー像など全体的に高く評価しています。
Phototrend:NIKON Z 9 : PRISE EN MAIN ET PREMIER TEST TERRAIN DE L’HYBRIDE PROFESSIONNEL
ビルド・外観:
- D6の一体型デザインと堅牢性を継承しつつ、メカニカルシャッターを廃し、4,570万画素の積層型フルサイズCMOSセンサーを搭載している。
- ボディは自信に満ち溢れ、ニコンのハイブリッドカメラの中で最も頑丈な構造である。衝撃テストは実施していないが、ニコンによると、D6と同レベルの構造と堅牢性を備えているそうだ。
- 前面に「Z 9」の文字はなく、上端を見ないと「Z 9」であることがわからない。
- ボディのデザインは、グリップ部分を除いてD6よりも角張っているが、操作性は変わりない。
- ボディの電源を切ったときにセンサー前の保護幕が閉じる。これはレンズ交換時にセンサー面を埃から守ることができるものだ。些細なことだが、この機能は初期設定で無効になっている。カメラのメニューで有効にする必要がある。
バッテリー:
- さすがにバッテリー駆動時間を完全にテストすることは出来なかった。しかし今回のテストでは、オートフォーカスや連写性能のテストを中心に1,000枚の写真を撮影したが、バッテリーは減らなかった。
- EN-EL18dバッテリーを使用した場合、通常使用では770コマ(画面表示、パワーセーブモード時)、連写モードでは最大5310コマのバッテリーライフを実現している。
- ちなみに、ニコンD6は光学ファインダーで3580コマ(CIPA規格)と、かなり健闘している。また、EN-EL18cバッテリーをZ 9で再利用することも可能だ。
インターフェース:
- CFexpress Type BまたはXQDカードを2枚使用できる。
- USB-Cポート、HDMI Type Aポート、3.5mmヘッドフォンおよび3.5mmマイクジャック、1000BASE-Tギガビットイーサネットポートなど、Z 9は充実した接続性を備えている。
携帯性:
- 最初に言及しておくが、Z 9はZマウントにおける最大のミラーレスだ。そして、それは良いことだと思う。ご存じない方のために説明すると、Z 9はプロの写真家のために設計されたフルサイズミラーレスだ。フラッグシップ一眼レフである「D6」と比較するのは当然のことだ。
- このカメラのサイズとその非常に優れたエルゴノミクスは安心感を与えてくれる。
- D6のサイズは160×163×92mm(幅×高さ×奥行き)、重さは1.45kgだ。一方、「Z 9」は、同じようなシルエットのモノブロックデザインだが、サイズは149×149.5×90.5mm、重量は1.34kg(バッテリー、メモリーカードを含む)と、約20%コンパクトになっている。
- 筐体の高さ、幅、厚さが抑えられている一方で、背面スクリーンが大きくなり、チルト構造が加わっている。
- D6とZ 9の重量差は110gだが、カメラバッグが軽くなるほどではない。
グリップ:
- グリップはD6よりも薄いが、凹んでいて、とても良いグリップ感が得られる。
- ZマウントのバヨネットがFマウントよりも高い位置にあるため、グリップに余裕があり、非常に快適だ。
- 新しいFTZ IIと組み合わせることで、プロ用レンズでも問題なく使用できる。
操作性:
- ボディ上面には、グリップ上部にシャッターとON/OFFスイッチ、そして動画撮影/ISO、露出補正の3つのボタンが並んでおり、Z 9では他のカメラと同じ通常のボタン配置である。
- 右肩には、Z 6IIやZ 7IIよりも少し大きなOLEDディスプレイを搭載している。
- 左肩には、四つ葉ボタンでブラケティング、連写、フラッシュ、露出モードがまとめられ、下部にドライブダイヤル(シングル、低速連写、高速連写、タイマー、その他の連写)がある。
- 背面には、ジョイスティック、静止画/動画スイッチなど、Z 6IIと同様のボタンレイアウトを採用している。
- モニター下には、D6のような操作画面を設けず、LANインジケーター、マイクボタン、画質・ホワイトバランス調整ボタン、「i」ボタンを追加している。
- さらにグリップ一体型デザインとして、ダブルダイヤル、ジョイスティック、縦位置用のAF-ONボタンを追加し。縦位置のシャッターボタンは誤操作を防ぐためのロック機能がある。
- なお、再生ボタンは左上のスロットから右下のスロットに移行している。
- ボディの前面には、D6と同様に3つのフルカスタマイズ可能なFnボタンがあり、AFモードやISO感度、ホワイトバランスなどの設定を素早く行うことができる。
- メモリーカードの扉にはロックがかかっており、Z 6で指摘した誤操作を防ぐことができる。
手ぶれ補正:
- 記載なし。
ファインダー:
- 368万ドットのクアッドVGAOLED ビューファインダーを採用。快適な使い心地を実現している。
- 精細感の点でライバルをリードするものではなく、Z 6IIと同じだ。しかし、はるかに明るく(3000cd/m2)、何よりも連写時でも黒つぶれのないライブビューが得られる。
- これを可能にしているのが、ニコンの説明するデュアルストリームテクノロジで、センサーに当たるデータの流れを二重にする技術だ。つまり、センサーに記録される情報と、EVF(またはモニタ)に送られる情報を同時に処理している。
- 実際に使用してみると、使い心地が向上していることが確認できた。
- ソニー「α1」、キヤノン「EOS R3」に続き、ニコンも電子ビューファインダーの撮影間のブラックアウトを解消している。
- 明るさが増し、高コントラストでもディテールやシーンの明るさが非常に良く、そして何よりもシームレスな体験:フォーカスを合わせているときも、撮影しているときも、再生画像を見ているときも、ファインダーの精細さが途切れることなく維持される。
- 簡単に言うと、電子ビューファインダーであることを忘れてしまうほどリアルな描写だ。
モニター:
- ニコンの縦位置グリップ一体型モデルでは初となる、チルトモニタ搭載機だ。
- さらに、ダブルヒンジを採用しているため、モニタを水平・垂直方向に傾けることができ、従来では使いにくい場所でも使用できる。
- 特に90°までチルト可能な縦位置はありがたい。
- 実際に使ってみると、モニタは比較的しっかりしているように感じる。
- 縦位置のときは、画面に表示される情報も縦に表示される。
- 連写からの一連のファイルを閲覧する際には、モニタがより滑らかに反応するようになっている。
メニューシステム:
- 記載なし。
オートフォーカス:
- センサーの90%をカバーし、10種類のAFエリアモードを備えたハイブリッドオートフォーカスを搭載している。
- ニコンによると、機械学習したアルゴリズムを採用しているとのことだ。
- EXPEED 7プロセッサを使用したAFは、被写体(人、鳥、車、バイク、飛行機、列車、自転車)を自動的かつ高精度に検出し、被写体を隠す要素があっても追跡することができるとしている。
- 小魚を食べるために素早く海に飛び込むカモメの群れを撮影したところ、他の鳥がたくさん写っていても、撮りたいカモメを検知して追いかけることができた。
- 20fpsの連続撮影モードでは、ほとんど無駄がなく、完璧なトラッキングができた。
- Z 6やZ 7では完全に統合されていなかった、ニコンファンにはお馴染みの3Dトラッキングが復活した。 これにより、追尾したい被写体に測距点を当ててシャッターを半押しすれば、どんな状況でもその被写体を追尾する。
- 顔と瞳の検出は非常に高速で掴みやすい。
- 背景に被写体があり、手前に余計なものがある場合にもピントを合わせた。
連写性能:
- メカニカルシャッターを廃して、電子シャッターに一本化した。メカニカルシャッターを使わずに撮影できるのは、センサーのDRAMメモリーのおかげで、Z 7IIの12倍の速さで情報を読み取ることができるからだ。
- その結果、メカニカルシャッターの劣化が無くなり、カメラの長寿命化を実現した。カメラにおいて最初の故障部品はメカニカルシャッター幕であることが多いからだ。
- 電子シャッターによる1/32,000秒までの動作が非常に優れていることが分かった。人工光の下でもバンディングが発生せず(カメラにはちらつき軽減機能もある)、速い動きの撮影でもローリングシャッターがしっかりと抑えられているなど、良いことばかりだ。
- 連続撮影の面では、AF/AE追従で最大20コマ/秒と、D6よりも6コマ/秒速くなっている。その上、高効率RAWで1000枚(D6は200枚)までの連写が可能なので、連写に対する耐久性も非常に高い。
- 高効率RAW★では685コマで限界となるが、すでに膨大な量が撮影可能だ。
- ロスレス圧縮されたRAWでは、79コマが限界となる。
- JPEGの場合は30fpsの連続撮影も可能だ。
- 画像サイズを1100万画素(4128×2752px)に縮小し、JPEGのみであれば120fpsの連続撮影が可能だ。この機能を有効にするには、四つ葉ボタンの下にあるホイールを右端に設定し、メニューで連続撮影モードの選択に進む必要がある。現場でオプションを見つけられないほどの隠れた場所にある。
高感度ISOノイズ:
- 記載なし。
ダイナミックレンジ:
- 記載なし。
仕上がり機能:
- 記載なし。
動画:
- 記載なし。
総評
Z 9について「最高のカメラ」と「写真(ついでに動画も)を撮るには高すぎる道具」という明確な意見がある。一般の方にとっては賛否両論あるカメラだが、プロの方は間違いない選択肢だ。プロ用ミラーレスに対する先入観を覆すかもしれない。
応答性の良いAF、快適な撮影、長時間の連続撮影、そして動きを捉える1100万画素の120fpsモードが、耐久性と堅牢性を備えたボディに完璧に統合されている。
価格は5999ユーロで、プロフォトグラファーにとって非常に魅力的なソリューションとなっている。Z 9を見る限りでは、ニコンの軸足がミラーレスに移ったとみて良いだろう。
とのこと。
全体的にとても評価の高いミラーレスカメラとなった模様。α1と同じく高解像の積層型CMOSセンサーを搭載し、縦位置グリップ一体型で放熱性が高く、操作性や堅牢性にも優れたZカメラに仕上がっています。ファインダーは国内外で評価する声が多く、特に高輝度で光学ファインダーのようにリアルな描写が好印象である模様。将来的にZ 9以外でもこのようなファインダー像が得らえれると良いですねえ。
オートフォーカスは3Dトラッキングが復活し、被写体検出は有機物から無機物まで幅広くカバー。これまでのZカメラとは一線を画す使い勝手と言えそうです。Phototrendでオートフォーカスは絶賛していますが、Twitterなどで反応を見ていると、状況によって一眼レフのAFセンサーが優れている場合もある模様。特に低照度や背景に引っ張られやすいシーンでは注意が必要かもしれません。
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