EOS R3に搭載の積層型CMOSはキヤノン自社設計・製造のセンサーで間違いない

PetaPixelがキヤノンから「EOS R3の新しい積層型CMOSセンサーがキヤノン自社設計・製造である」と確認を取った模様。これまで「自社設計で製造は委託」と噂されていたことに回答したようです。

PetaPixel：Canon Rebuffs Rumors That Its R3 Sensor is Made by Sony

キヤノンがEOS R3の開発を発表した当初から、そのコアとなる裏面照射型センサーの製造元がキヤノンではないとの噂が流れていた。6月17日に掲載された報道で、R3のセンサーがソニー製であると記載されており、キヤノンはこれに反論している。

ことの経緯

4月13日にPetaPixelが報じたように、キヤノンはEOS R3センサーについて、"キヤノン初の自社設計によるフルフレームの裏面照射型積層型CMOSセンサーを搭載する "と述べている。

EOS R3の開発発表から約1ヶ月後、Canon NewsとCanon Watchは、Canon UKのウェブサイトで一部の表現が調整されていることに気付いた。以前は "designed and manufactured by Canon "と記載されていたものが、"developed by Canon "に修正されていたのです。これを皮切りに、キヤノンがセンサーの製造元ではないことを推測させる報道が相次いだ。

その2日後、Canon Watchは、キヤノン・ロシアのAndrey Tishchenko氏（Head of Product and Consumer Expertise）のインタビューの翻訳を掲載した。その中でTishchenko氏は、EOS 3は "我々が独自に開発した初の裏面照射・積層型センサーである”と述べ、キヤノン初の積層型センサーではないかという質問に、"G7 X Mark IIIには1型の積層型CMOSセンサーが搭載されている "と答えている。

これは、G7 X Mark IIIのセンサーがソニー製であり、Tishchenko氏がそれをキヤノン製として扱っていることから、EOS R3のセンサーもソニー製の可能性がある、という意味に受け取られた。
(訳注：G7 X Mark III＝ソニーセンサーを裏付ける物的証拠は見つかりませんでした。状況的に可能性は高いと思われますが…)

そして6月17日、EOSHDに掲載された記事で、ソニーの新型センサー「IMX554DQC」の資料をもとに、EOS R3センサーはキヤノン製ではなく、ソニー製であると断言している。（編集部注：掲載後、EOSHDの記事が修正されている。オリジナルの記事はこちらでご覧いただける。）
この記事では、35mmフルサイズの3,038万画素裏面照射型センサーで、静止画モードで毎秒36.6コマの撮影が可能であると記載されたソニーのプロダクトシートを紹介している。

"ソニーの裏面照射型積層センサー技術を採用するため、キヤノンが最新のフラッグシップEOSカメラ用センサー製造を依頼するのはこれが初めてのことだ。自社開発で特許を取得するよりも、ソニーからセンサーを購入した方が経済的に有利になるに違いない。これは時代の流れだ。

つまり、キヤノンEOS R3から出力される画像は、基本的にソニーの画像ということになる。画像処理やカラーサイエンスの要素もあるが、基本的にはソニーの画質だ。政治的に、これはキヤノンには受け入れがたいことだ。”

キヤノンはこれまで噂に反応しなかったが、今回の記事は性質上、噂や憶測としてではなく、事実として扱うということで、会社の考えが変わったのかもしれない。

キヤノンはPetaPixelへの声明の中で、新しいセンサーの設計元であるだけでなく、その製造元でもあることを明確に繰り返し述べている。

”EOS R3カメラに搭載されるセンサーは、キヤノンが設計・製造したものだ”

これは、EOS R3の正式な開発発表に先立ち、4月上旬に行われたブリーフィングで、同社がジャーナリストに対して語った言葉と同じものである。なぜそのメッセージと矛盾する報道が続いているのかは不明だが、今はEOS R3のセンサーを製造しているのがソニーではなく、キヤノンであることに疑問の余地は無い。

とのこと。
以前から「センサーがソニー製」の噂が出回っていましたが（眉唾な情報でスルーしていました）、よく炎上するEOS HDの記事が再び火元となった可能性があるようです。

PetaPixelの受け取った回答が本当だとすると、間違いなく「キヤノン設計・製造の積層型裏面照射CMOSセンサー」となりそうですね。キヤノンは数多くの積層型CMOS・裏面照射型CMOSの特許を出願しており（例えばコレ）、設計・製造の土壌は出来上がっていたと言えるかもしれません。

もともと、レンズからイメージセンサー・画像処理まで一貫して設計・製造してきた（過去にはプロセッサがテキサスインスツルメンツと共同開発と言った話もありますが現在は不明）ことが強みとなっていたはずなので、ここに来てキヤノンがその強みを手放すことはないと思われます。

「じゃあ1型センサー搭載のPowerShotはどうなのか？」というと、どうなのでしょうね…？
（更新：K氏からキヤノンとソニーの1型積層型CMOSに関する違いについて情報を頂きました。キヤノンの積層型CMOSにはDRAMの記述が無く、確実な証拠ではないものの、別物である可能性も残っているのではとのこと。G7 X Mark III・RX100 IV）

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