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AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G + Z 8 レンズレビューVol.5 諸収差編

ニコン「AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G」のレビュー第五弾を公開。完璧とはいかないものの、全体的にまずまず良好に補正された諸収差についてレビューしています。

AF-S NIKKOR 50mm f/1.8Gのレビュー一覧

    像面湾曲

    像面湾曲とは?

    ピント面が分かりやすいように加工しています。

    中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

    最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

    ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

    参考:ニコン 収差とは

    実写で確認

    F1.8でも中央から隅まで被写界深度内に収まっているように見えます。目立つ像面湾曲はありません。

    倍率色収差

    倍率色収差とは?

    主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

    参考:ニコン 収差とは

    実写で確認

    良好な補正状態であり、目に付く色ずれはありません。

    軸上色収差

    軸上色収差とは?

    軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

    参考:ニコン 収差とは

    実写で確認

    完璧な補正状態ではなく、絞り開放付近で色収差が残存しています。過度な影響ではないものの、コントラストが高い状況では色ずれが目に付く可能性あり。F4~F5.6まで絞ると高輝度でもほぼ解消。

    歪曲収差

    歪曲収差とは?

    歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

    参考:ニコン 収差とは

    比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

    実写で確認

    スライドショーには JavaScript が必要です。

    デジタル補正を外した状態でも、ごくわずかな樽型歪曲に抑えられています。追加補正でゼロに近いところまで修正可能ですが、大部分の撮影は未補正でも問題ないように見えます。

    コマ収差

    コマ収差・非点収差とは?

    コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

    参考:ニコン 収差とは

    絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

    実写で確認

    絞り開放付近で顕著な影響が残っています。F2.8まで絞るとほぼ改善し、F4.0でさらに小さくなる。

    球面収差

    完璧ではないものの、シンプルな光学系としては良好な補正状態。撮影距離でわずかな変動が見られます。

    まとめ

    手ごろな価格の50mm F1.8としては良くまとまっているレンズです。気を付けるとしたら軸上色収差とコマ収差ですが、どちらも絞りを調整することで収差を抑えることが可能。と言っても、実写ではF1.8を使ったとしても目立たないことが多いです。ミラーレス世代の撒き餌レンズ「Z 40mm F2」と比べてどうか?
    軸上色収差の補正はやや見劣りしますが、接写時の球面収差やコマ収差の補正状態はより良好。レンズサイズの差が気にならなければ、ミラーレスでも50mm F1.8Gを使い続ける価値はあるのかと思います。(個人的には、40mm F2のコンパクトサイズは価値があると思いますが)

    購入早見表

    作例

    オリジナルデータはFlickrにて公開

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