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AstrHori 120mm F2.8 Macro 2X レンズレビューVol.4 諸収差編

岩石星「AstrHori 120mm F2.8 Macro 2X」のレビュー第四弾 諸収差を公開。撮影距離によって球面収差が増大するものの、それ以外は大きな問題がなく、マクロ撮影でも良好な結果が得られるレンズとなっています。

おことわり

今回は2ndFocusより無償貸与の「AstrHori 120mm F2.8 Macro 2X」を使用してレビューしています。提供にあたりレビュー内容の指示や報酬の受け取りはありません。従来通りのレビューを心がけますが、無意識にバイアスがかかることは否定できません。そのあたりをご理解のうえで以下を読み進めてください。

This time, we are reviewing the “AstrHori 120mm F2.8 Macro 2X” lens, which was provided free of charge by 2ndFocus. We received no instructions on the content of the review or any compensation for providing it. We will continue to provide reviews as we have done in the past, but we cannot deny that unconscious bias may be present. Please read the following with this in mind.

今日のまとめ

中距離以降の球面収差以外は良好な補正状態です。特にマクロ撮影で使う場合に心配する要素はほとんどありません。あくまでも2倍~1倍のマクロ撮影用レンズであり、それ以降はおまけと考えたほうが良さそう。

Apart from spherical aberration at medium distances and beyond, the correction is good. There are almost no factors to worry about, especially when using it for macro photography. It is a lens for macro photography at 2x to 1x magnification, and it seems better to think of it as an extra beyond that.

AstrHori 120mm F2.8 Macro 2Xのレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

2倍マクロ時も像面湾曲は良好に補正されています。ピント面は平坦で極端な湾曲はありません。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

倍率色収差は良好な補正状態。絞り全域で目立つことはありません。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

軸上色収差はとても良好な補正状態。F2.8から大きな問題はありません。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

僅かな糸巻き型の歪曲収差が発生しています。レンズプロファイルがないため、現像ソフトで手動補正が必要です。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

マクロレンズとしては少し目立つコマ収差が発生しています。しかし、小さい画像サイズであれば問題無く、隅の拡大やクロップを必要としなければ問題ありません。

球面収差

前後のボケ質が大きく異なり、球面収差の補正状態が良くありません。ポートレートレンズとしては一つの選択肢だと思いますが、F2.8からコントラストの高い結果を期待する場合には厄介な収差です。これを改善するには絞る必要があります。

一般的な撮影距離ではフォーカスシフトの影響があるものの、マクロ域では良好な補正状態。マクロレンズらしく、マクロ撮影に重点を置いた光学性能となっています。

まとめ

撮影距離によって評価が分かれるレンズ。
光学性能の重心が極端にマクロ側に寄っているため、0.25倍など使いやすい撮影倍率以降の遠側で性能が低下します。中距離以降の球面収差以外は良好な補正状態。マクロ撮影で使う場合に心配する要素はほとんどありません。あくまでも2倍~1倍のマクロ撮影用レンズであり、それ以降はおまけと考えたほうが良さそう。おまけと言っても、球面収差は後ボケに良く作用しており、F2.8を使ったボケがメインの撮影であれば満足のいく結果が得られるはず。ピント面の解像性能や諸収差の補正状態は2倍マクロに重心が置かれている点に留意しておけば悪くないマクロレンズになると思います。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開。

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