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M.ZUIKO 17mm F1.8とM.ZUIKO 17mm F1.2 PROを撮り比べる【機材レビュー】

手元に17mm F1.2 PROと17mm F1.8が存在するので、「せっかくだから撮り比べてみよう」と思い試写してみました。

Torunara's Judges

17mm F1.2 17mm F1.8
レンズの造り 金属製 金属製
付属品 フード・ケース
遠景解像 ほぼ完璧 周辺がやや甘い
コントラスト 良好
ボケ 良好
色収差 良好 やや良好
発色 良好
フォーカス 高速 高速
操作性 良好 良好
コスパ やや悪い やや良好

外観比較

デザイン

17mm F1.2 17mm F1.8
フィルター Ø62mm Ø46mm
サイズ Ø68.2×87mm Ø57.5mm x 35.5mm
質量 390g 120g

材質

どちらも金属製のしっかりとした鏡筒でプラスチック製と比べてはるかに質感が良好。

PROは実用性、F1.8は趣味性の高いデザインとなっています。

サイズ

同じ17mm単焦点レンズですがレンズ全長や質量は比較してPROが倍ほど大きい。

F1.8はどのマイクロフォーサーズカメラに装着してもバランス良好ですが、PROはOM-D E-M1やLUMIX G9などグリップの大きなカメラを使わないとしっかりホールドできません。

一方でサイズの大きいPROはフォーカスリングやL-Fnボタン、焦点距離・ピント距離表示などが大きく印字されていたりと使い勝手は良好。

機能性

AF

どちらもMSC機構と呼ばれているテッピングモーター駆動を採用しています。

25mmや45mmのようにF1.2・F1.8でフォーカス速度の差は無く、PRO・F1.8共に高速と感じる軽快なオートフォーカス。

どちらもピント距離による画角の変動(ブリージング)は小さく、近接の四隅でもピントは合いやすい。

MF

どちらもフォーカスリングを前後することでオートフォーカスとマニュアルフォーカスを切り替えることが可能。

17mm F1.2 PROの「マニュアルフォーカスクラッチ」はピント微調整に対応しており、ヘリコイド式に近い操作感覚でフォーカスリングを操作することが可能です。これがなかなか良い。

17mm F1.8の「スナップショットフォーカス」はゾーンフォーカスを前提とした粗いピント調節機能となっています。マニュアルフォーカスクラッチと比べてピント位置が段階的に動くため被写界深度が浅いとピントを合わせづらいと感じるかもしれません。

ただし、カメラ側で「MF」を設定することで一般的な「フォーカスバイワイヤ」方式での操作も可能。

その他

PRO F1.8
L-Fnボタン あり
防塵防滴 対応
コーティング Z.C.Nano ZERO.C

PROとF1.8で大きく差が付くポイント。

操作性や信頼性と言った部分でPROがF1.8を大きく上回っています。特に35mm周辺の画角で防塵防滴仕様の単焦点レンズは17mm F1.2 PROの他にありません。

レンズフード

PROはプラスチック製花形フードで取り付けはバヨネット式。遮光性重視だが、サイズが大きく嵩張るデザイン。

F1.8は金属製の円形フード(別売り)で取り付けはネジで締め付け式。レンズ本体の意匠と合う趣味性が高いデザイン。

どちらもレンズの志向性に合わせたデザインとなっています。PROはレンズの付属品ですが、F1.8は別売り品を購入する必要があるので注意。

実写比較

遠景解像

  • LUMIX G9 PRO
  • 三脚でカメラを固定
  • 絞り優先AE
  • ISO200固定
  • ホワイトバランス固定

絞り開放

PROはF1.2の絞り開放から四隅まで極めてシャープ。素晴らしい。

一方で17mm F1.8の四隅は非点収差・色収差や歪曲の補正が影響していると思われる描写の甘さを少し感じる。

と言っても破綻するほど酷く甘い描写ではなく、レンズサイズを考えるとなかなか良好な結果。

中央はどちらもシャープで絞った際の改善幅はとても小さい。ほぼトップスピードと言っても過言では無いでしょう。

F1.8

PROをF1.8まで絞ると四隅の差は歴然。中央もコントラストが僅かに強まりPROの解像感が高いように思える。

F2.8

PROがほぼトップスピードを出しているのに対して17mm F1.8は周辺の画質改善の速度が遅い。

17mm F1.8の四隅をシャープに写すためにはもう少し絞りたいところ。

F4.0

「キレ」という意味では差があるものの、細かい話を抜きにすると差は僅か。

17mm F1.8で遠景の風景を撮影するのであればこの絞り値までは絞っておきたいところ。

F5.6

17mm F1.8の画質が十分に改善し、中央のコントラストはPRO並となり、四隅の差は大きく縮まる。

ここまで絞って使うのであれば17mm F1.8のコスパは高く、PROは価格差ほどの圧倒的なパフォーマンスを発揮出来ない。

F8.0

ほぼ同等。顕著な差を指摘できないレベル。

ボケ 中距離

絞り開放

重箱の隅を楊枝でほじくるような見方をしなければどちらも良好なボケ質。

嘗め回すようにチェックすると17mm F1.8の後ボケはPROと比べて少し騒がしい。特にボケのアウトラインに色収差が強く発生しているので場合によって目立つかもしれない。

PROはボケの縁撮りが滑らかでとても良好。このために世に出てきたと言っても過言では無いパフォーマンス。

どちらも「年輪ボケ」と呼ばれている非球面レンズの影響が少ないが素晴らしい。

F1.8

PROを1段絞ると滲みが弱くなり17mm F1.8のボケ描写に近くなる。

ただし、色収差が少ないのでPROの優位性は確か。ただし、実写でこの差が気になるシーンは少ないはず。

F2.8

PROを2段しぼるとレンズの個性が無くなり平凡なボケ質へ。

ここまで絞ると17mm F1.8の1段絞りのほうが滲みを感じるボケ描写だが、17mm F1.8は色収差が発生してる点に気を付けたい。

F4.0

ほぼ変わらない。PROのほうが若干ボケ量が大きく感じられるものの、これはハイライトの玉ボケが妙に強調されているため。

ボケ 近距離

絞り開放

PROはハイライトのボケが程よく滲み、背景の輪郭が溶けている柔らかい後ボケ。この画角・このボケ量で柔らかい後ボケとなるレンズは少ないはず。

17mm F1.8はボケが小さくPROほど柔らかくないものの、この画角のレンズとしてはまずまず良好。

やはりどちらも非球面レンズの影響は少ない。

F1.8

差は縮まるものの、PROが滑らかなボケ質。ボケ質の差は中距離と変わらず。

F2.8

先ほどと同様、PROを2段絞ると滲みが無くなり普通のボケ描写となり、滲む量は1段絞りの17mm F1.8が有利(色収差による影響はややあるが…)。

F4.0

ほぼ同等。

色・コントラスト

どちらも似た発色傾向を示すものの、PROはややイエロー寄りで彩度は少し低めでアッサリしている。

この辺りはレンズ構成枚数が多くヌケに影響するPROが不利と感じるか、アッサリしているので使いやすいと感じるかは個人差がありそう。

風景を撮るなら17mm F1.8、人を撮るなら17mm F1.2 PROが相性良さげ。ただし、解像・マイクロコントラストは17mm F1.2 PROのほうが良好なので、後処理前提ならば風景でもPROがおススメ。

色収差

軸上色収差はどちらも良好だが、F1.8が僅かに目立つ。

倍率色収差はデジタル補正されていることもあってどちらも良好。

逆光耐性

どちらもフレア耐性は良好でコントラスト低下は少ない。

ただし、レンズ構成枚数が多い17mm F1.2 PROは逆光時にゴーストが発生しやすい。

T値(レンズの明るさ)

厳密な比較では無いものの、同じ絞り値に設定した場合は同じシャッタースピードとなることが多い。PROとF1.8の絞り開放を比較すると確かに1段差のシャッタースピードとなります。

このため、シャッタースピードを1段分稼ぎやすい17mm F1.2 PROは屋内や暗所で画質を確保しやすいレンズと言うことが出来るでしょう。

まとめ

M.ZUIKO 17mm F1.8 コストパフォーマンスは良好

こんな方におすすめ

  • レンズ交換を楽しみたい人
  • 携帯性の高いカメラシステムが好きな人
  • 趣味性の高いデザインが好きな人
  • スナップ撮影が好きな人

注意点

  • レンズフードが不足しない
  • 絞り開放付近で周辺解像がやや甘い
  • 防塵防滴非対応
  • スナップショットフォーカスは段階的なピント調整機能

今回の比較で分かったポイントはこのレンズの良いところと悪いところ。開ける時は開けて、絞るときは絞って使えば、目立った欠点が無く使いやすい単焦点レンズ。

PROほど堅牢性は無いものの、小型軽量で携帯性が良好なので行楽や旅行はこれで十分。

LEICA DG SUMMILUX 15mm/F1.7 ASPH.」との選択で迷うかもしれませんが、画角の好みで決めれば良いかなと。光芒は17mm F1.8のほうが個性的。

ただし、レンズフードが付属していないのでやや高価な純正フードか社外製のねじ込み式フードも併せて検討しておくべき。

M.ZUIKO 17mm F1.2 PRO ベストを尽くすならコレ

こんな方におすすめ

  • 17mmでベストを尽くしたい人
  • 雨や砂塵など厳しい撮影環境に臨む人
  • マニュアルフォーカスを多用する人
  • ボケ質を重視する人
  • 屋内・暗所での撮影が多い人

注意点

  • マイクロフォーサーズレンズとしては高価
  • 逆光でゴーストが発生しやすい

M.ZUIKO 17mm F1.8も良いレンズですが、それを全体的に上回っているのがこのレンズ。

解像性能とボケ質が見事なまでに両立し、17mm F1.8と比べて1段明るい。さらに耐候性・AFの精度やスピード・MFの使いやすさ、などなど全方位で優れている。お金に余裕があり、サイズが気にならないのであればベストバイ。

欠点を挙げるとするならば、価格設定とレンズ構成枚数。コストパフォーマンスは決して良好とは言えず、光学性能の差に加えて防塵防滴や使い勝手など利便性の差も考慮する必要はあるでしょう。

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