このページではキヤノン「EOS R5」の各種RAW設定で撮影した際のダイナミックレンジをチェック。EOSシステムとしては非常に幅広いダイナミックレンジを備えていますが、電子シャッター使用時はいくらか狭くなるので注意が必要です。
テスト環境
環境
- Leofoto LS-365C
- Leofoto G4
- ミニスタジオで光環境を固定
- ISO 100.(D+・D2+時はISO 200)
- シャッタースピードで露出を調整(適正露出からEV±5)
- Adobe Lightroom Classic CCで現像時に適正露出に補正して現像
- ブログではリサイズしたテスト結果を公開
- オリジナルデータはFlickrにて公開中
ダイナミックレンジのテスト
RAW
ノイズ以外の変化について
テスト後にWBを固定し忘れていたことに気が付く。今回はシャドウ・ハイライト復元力をチェックしているため、色の変化はご愛敬で!
(おそらく、ライブビューで露出が変化した際にオートホワイトバランスが影響を受けてしまった可能性あり)
アンダー
-2EV程度の回復は基本的にノイズフリー。-3EVの回復でカラーノイズが僅かに発生し、-4?-5EVでノイズが強くなります。
特に-5EVの回復ではハイライト側でもノイズが目に付くうえ、シャドウでもカラーノイズが浮くので気を付けたいところ。ここまで大きくシャドウを回復させる機会はそうないと思いますが、逆光時に影を持ち上げる際は注意が必要。
ただし、カラーノイズはディテールに影響を与えず、処理しやすいため、この程度であれば問題なく現像できる可能性大。
オーバー
+3EVまで問題無いものの、+4EVでいくらか白飛びが発生。さらに+5EVでは中間域にまで及ぶ白飛びが発生しています。シャドウとハイライトの輝度さが大きい風景写真などではハイライト重視の露出設定がおススメ(諧調・色を残したいのであれば)
色再現
+3EVでもパステル系の明るい色情報が飛んでしまっていることが分かります。ハイライト側の余裕はあまり無いと思っておいた方が良さそう。積極的に「高輝度・諧調優先」モードを活用したいところ。
D+
全体的にダイナミックレンジがハイライト寄りとなっていることが分かります。シャドウのノイズは増えていますが、処理次第でまだ実用的な画質。ハイライト側が1EVほど改善しているため、風景・輝度差の激しいシーンでは常時「高輝度・諧調優先」モードで良いのでは無いかと思います。ベースISO感度が200となるため、スローシャッター時はNDフィルターの必要性が高くなる点に気を付ける必要があります。
D+2
キヤノンの説明によると「撮影シーンによってさらに白飛びを緩和」するらしい。ただ、露出を固定した撮影で「D+」と有意な差は見られませんでした。JPEGに作用する機能なのか、自動露出時に効果を発揮するのか不明。
C-RAW
通常のRAWと比べて圧縮率が高く、ファイルサイズを節約できるRAW形式です。パッと見のダイナミックレンジは通常のRAWと同じであり、シャドウのノイズ・ハイライトの白飛びに大きな差は見られません。
ただし、-5EV復元時のシャドウ領域におけるカラーノイズがやや目立つ傾向あり。本当にシャドウ側のダイナミックレンジを重視する場合は通常RAWがおススメ。
電子シャッター
海外のテストレビューで「電子シャッター時はダイナミックレンジが狭くなる」という話を聞いたので実際にテスト。ただし、EOS R5の電子シャッターが「?0.5秒」という点を失念していたため、今回の光環境では+2以降の露出オーバーを実現することが出来ませんでした。絞り値で調整したものの、他の設定と上手く露出が合わなかったので今回はテスト結果を破棄。今回は露出アンダー側のみを参考としています。
露出アンダーの結果を確認してみると、特にシャドウ領域のノイズが多いことに気が付きました。感覚的にはD+やD+2と同程度のノイズ量。ハイライト側をテスト出来なかったのは残念ですが、アンダー・オーバーどちらも1EVほどのダイナミックレンジが狭くなっている可能性があります。
恐らく、電子シャッター時のローリングシャッター幕速を高めるためダイナミックレンジが狭くなっていると思われます。(20コマ秒の連写を実現するためではなく、あくまでも幕速)
ダイナミックレンジの広さを活かしたい場合はメカニカルシャッター・電子先幕シャッターの使用がおススメです。
露出アンダー時のノイズ確認
ハイライト側
シャドウ側
総評
ココがポイント
- 通常RAWは強力なシャドウ側のダイナミックレンジを発揮
- 通常RAWのハイライト側は限定的なので高輝度・諧調モード推奨
- C-RAWはシャドウ側のダイナミックレンジの端のみ影響を僅かに受ける
- 高輝度・諧調モードはハイライト側にダイナミックレンジが約1EVほどシフトする
- 電子シャッター時は少なくともシャドウ側のダイナミックレンジが1EVほど狭くなる(ハイライト側も制限される可能性あり)
基本的に従来のEOSデジタルのセンサーより強力なダイナミックレンジを備えていると見て間違いないと思います。特に4500万画素の高画素モデルとしては御の字と言ったところ。EOSシステムで風景撮影など、ダイナミックレンジが必要な場合はベストバイ。
幅広いダイナミックレンジを活かして、高輝度・諧調優先モードを常時オンにすることで柔軟性の高いRAWを得られると思います。ただし、シャドウ側を重視したい夜間や夕景、深い森の中などでは当然オフにするべき。ベースISO感度が200になる点も気を付けたいところ。(大口径レンズやスローシャッター使用時に影響があります)
C-RAWはシャドウ側の本当に端の諧調が犠牲となりますが、大部分の撮影で特に大きな問題とは感じないと思います。4500万画素のRAWは特にファイルサイズが大きいため、圧縮RAWを積極的に活用したいところ。連写時のバッファでも恩恵があるので個人的には常時C-RAWがおススメ。とは言え、高輝度・諧調優先モードと組み合わせるとシャドウ側が厳しくなる可能性あり。
電子シャッターは確かにダイナミックレンジが制限されるので風景撮影などでは極力使わないほうが良いでしょう。電子先幕シャッターでも反動や駆動音が十分抑えられているので、で電子シャッターを使う必要性は高く無いはず。
今回使用した機材
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