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Venus Optics「LAOWA 10mm F2 Zero-D MFT」徹底レンズレビュー 近距離解像編

このページではVenus Opticsの交換レンズ「Laowa 10mm F2 Zero-D MFT」の近距離解像チャートを使ったレビューを掲載しています。

まえがき

レンズのおさらい

レンズ概要

  • 2021年1月30日 発売
  • 商品ページ
  • データベース
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  • レンズ構成:7群11枚
  • 開放絞り:F2.0
  • 最小絞り:F22
  • 絞り羽根:7枚
  • 最短撮影距離:0.12m
  • 最大撮影倍率:0.15倍
  • フィルター径:φ46
  • レンズサイズ:φ53×41mm
  • 重量:125g
  • 金属筐体
  • 電子接点によるEXIF・自動絞り対応
  • MF限定

「4mm F2.8」「7.5mm F2」「9mm F2.8」「17mm F1.8」「50mm F2.8 2X」と過去5本のマイクロフォーサーズ用レンズをリリースしたVenus Optics「LAOWA」シリーズにおける6本目となる専用レンズです。

マイクロフォーサーズ用レンズは数あれど、10mm以下の超広角をカバーしている単焦点レンズは多くありません。オリンパスやパナソニックはズームレンズでのみカバーし、社外製レンズでは電子接点に対応している単焦点が皆無。
このような状況の中、Venus Opticsは電子接点による自動絞りやレンズ情報の伝達に対応した「LAOWA 10mm F2」をリリースしました。フルサイズ判換算で20mmに相当する広い画角を備え、開放F値「F2」と比較的明るいレンズを実現しています。

レンズ構成は7群11枚。うち3枚にEDレンズを使用し、2枚に非球面レンズを使った贅沢な作り。フォーカシングはリアフォーカスを採用しているので、レンズ全長が変化することはありません。
絞り羽根は7枚で、絞った際は14本の綺麗な光条を期待できます。

広い画角と明るいF値を実現しつつ、フィルターサイズは46mm、サイズはφ53×41mmと非常にコンパクトなレンズです。さらに重量は125gと抑えられており、マイクロフォーサーズ対応ドローンとの組み合わせにも対応しています。

公開されているMTF曲線を見る限りでは周辺や四隅まで安定した解像性能を期待できます。この画角のレンズとしては顕著な落ち込みが無く、非点収差も良く抑えられているように見えます。

価格のチェック

日本国内では実売5万円前後で購入可能。同クラスの競合レンズが皆無に近いので、価格が適正なのか判断がつきません。とは言え、非常に高い価格設定とは感じず、この画角のレンズが欲しい人にとって面白い選択肢となることでしょう。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディLUMIX G9 PRO
  • 交換レンズ:LAOWA 10mm F2 Zero-D MFT
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • LUMIX G9 PROのRAWファイルを使用
  • ISO 200 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

中央

中央は絞り開放から「3000」付近に達する非常に良好な結果。カテゴリは異なりますが参考までに、定評のあるオリンパス「40-150mm F2.8 PRO」の150mmが「3000-3300」です。
絞ると少し改善しますが、LUMIX G9 PROでは解像性能が頭打ちとなっています。より高解像なセンサーやハイレゾショットを使用することで、レンズの解像性能を活かすことができます。

F8付近まで良好な性能を維持し、F11からF22にかけて回折の影響による急速な画質低下が発生。出来ることならばF8付近までを使うのがおススメ。

周辺

F2から「2500」を超える良好な性能を発揮。中央ほどではありませんが、広角レンズの接写でこのようなパフォーマンスを発揮するレンズは珍しい。

F5.6のピークに向けて、絞ると徐々に解像性能が向上します。やはりF11から急激に画質が落ち込むので避けたほうが良いでしょう。

四隅

驚いたことに、周辺と遜色のないパフォーマンスを発揮しています。最大撮影倍率に近い接写でのテストにも関わらず、四隅まで安定した解像性能が得られるのは魅力的です。
絞ると周辺と同じように改善し、フレーム全域でとても均質的な描写が得られます。

倍率色収差は許容範囲内に抑えられていますが、ソフトウェア補正を利用することでさらに綺麗に修正が可能。ディテールへの影響は最小限だと思われます。

全体

小型軽量な超広角レンズとしては非常に高い解像性能を備えています。比較的明るいレンズにも関わらず、高いパフォーマンスを維持しているのは凄い。
絞り開放から良好な性能ですが、周辺減光が目立つので、(光量補正時の)ノイズを抑える意味ではF4まで絞って使うのがおススメ。

接写時に若干の像面湾曲が見られるものの、一般的な撮影距離で問題となることはありません。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F2.0 2953 2523 2386
F2.8 3303 2824 2632
F4.0 3276 2913 2996
F5.6 3115 3070 2751
F8.0 2998 2878 2857
F11 2732 2605 2550
F16 2170 2191 1969
F22 1800 1702 1581

実写確認

*F22の露出が少し暗いのは、LUMIX G9 PROの電子シャッターが1秒までのシャッタースピードにしか対応していないため。

ハイレゾショット

2000万画素のテスト結果を見て、「これは伸びしろがあるだろう」と予想していましたが、まさかここまで伸びるとは思っていませんでした。
中央はテストチャートの限界値に近い結果を発揮し、F2からF5.6まで同水準の性能を維持しています。PROレンズLEICA DGレンズも驚きのパフォーマンスと言えるでしょう。
周辺や四隅は中央ほど伸びませんが、それでも絞り開放から「3500」付近の良好な性能を発揮。さらにF4まで絞ると中央の性能と非常に良く似た結果を得ることが可能。出来ることならば、積極的にハイレゾショットを活用したいレンズ。凄い。

競合レンズ比較

10mmをカバーしているレンズは少ないので、LEICA DG 10-25mm F1.7と比較。その違いは一目瞭然で、絞り開放から安定したパフォーマンスを得られることが分かります。大口径レンズの10-25mm F1.7で接写のテストは不利かもしれませんが、それでも驚くような性能差に違いありません。

高性能な小型軽量レンズ

実売4?5万円と手ごろな価格設定に加え、画角とF値を考慮すると非常にコンパクトなレンズに仕上がっています。それでいて解像性能は四隅まで非常に良好であり、絞り開放から満足のいく結果が得られる凄いレンズ。もともと広角レンズが得意なVenus Opticsですが、このレンズも例外ではない模様。拍手喝采。

MFレンズですが、電子接点を搭載して自動アシストやカメラ側での絞り制御には対応しています。マニュアルフォーカス操作も被写界深度の深い広角レンズであれば、近い被写体以外で簡単にパンフォーカスを得られるはず。

この性能が遠景でも同様に機能するのか、そして色収差や歪曲収差、逆光耐性などを含めた総合性能は今後のテストでチェック予定です。

購入早見表

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