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Venus Optics「LAOWA 10mm F2 Zero-D MFT」徹底レンズレビュー 完全版

このページではの交換レンズ「Laowa 10mm F2 Zero-D MFT」のレビューを掲載しています。

まえがき

レンズのおさらい

レンズ概要

  • 2021年1月30日 発売
  • 商品ページ
  • データベース
  • 管理人のFlickrアルバム
  • レンズ構成:7群11枚
  • 開放絞り:F2.0
  • 最小絞り:F22
  • 絞り羽根:7枚
  • 最短撮影距離:0.12m
  • 最大撮影倍率:0.15倍
  • フィルター径:φ46
  • レンズサイズ:φ53×41mm
  • 重量:125g
  • 金属筐体
  • 電子接点によるEXIF・自動絞り対応
  • MF限定

「4mm F2.8」「7.5mm F2」「9mm F2.8」「17mm F1.8」「50mm F2.8 2X」と過去5本のマイクロフォーサーズ用レンズをリリースしたVenus Optics「LAOWA」シリーズにおける6本目となる専用レンズです。

マイクロフォーサーズ用レンズは数あれど、10mm以下の超広角をカバーしている単焦点レンズは多くありません。オリンパスやパナソニックはズームレンズでのみカバーし、社外製レンズでは電子接点に対応している単焦点が皆無。
このような状況の中、Venus Opticsは電子接点による自動絞りやレンズ情報の伝達に対応した「LAOWA 10mm F2」をリリースしました。フルサイズ判換算で20mmに相当する広い画角を備え、開放F値「F2」と比較的明るいレンズを実現しています。

レンズ構成は7群11枚。うち3枚にEDレンズを使用し、2枚に非球面レンズを使った贅沢な作り。フォーカシングはリアフォーカスを採用しているので、レンズ全長が変化することはありません。
絞り羽根は7枚で、絞った際は14本の綺麗な光条を期待できます。

広い画角と明るいF値を実現しつつ、フィルターサイズは46mm、サイズはφ53×41mmと非常にコンパクトなレンズです。さらに重量は125gと抑えられており、マイクロフォーサーズ対応ドローンとの組み合わせにも対応しています。

公開されているMTF曲線を見る限りでは周辺や四隅まで安定した解像性能を期待できます。この画角のレンズとしては顕著な落ち込みが無く、非点収差も良く抑えられているように見えます。

価格のチェック

日本国内では実売5万円前後で購入可能。同クラスの競合レンズが皆無に近いので、価格が適正なのか判断がつきません。とは言え、非常に高い価格設定とは感じず、この画角のレンズが欲しい人にとって面白い選択肢となることでしょう。

レンズレビュー

外観・操作性

箱・付属品

白を基調としたLAOWAらしいデザインの箱です。前面にはレンズ名がプリントされ、側面にレンズ構成図がカラーで表示されています。前面に大きくプリントされているレンズのイメージはLAOWAの箱で共通しており、このレンズを写したものではありません。
個人的な見解として、全体的なデザインは7ArtisansやVILTROXと言った中国メーカーのほうが良好に見えます。若干ですがチープな印象。

  • レンズ本体
  • レンズフード
  • 説明書
  • 保証書
  • ビニールのレンズケース
  • QCカード

付属品は最小限で、特に目を引くアイテムはありません。国内正規品んのため、日本語の説明書が付属しています。

外観

全体的にLAOWAらしいしっかりとした作りの筐体。総金属製の鏡筒はアルマイト処理が施されたマットブラックな塗装で仕上げられています。オリンパスM.ZUIKO 17mm F1.8やパナソニックLEICA DG 15mm F1.7と見比べても遜色のない作り。焦点距離表示や被写界深度指標は単なるプリントではなく、刻印に色づけされています。

レンズ名やシリアルナンバーは反射防止用の塗装が施された前面にプリント。個人的にレンズ前面の印字には否定的で、白字プリントのため、逆光時にフィルターへの写りこみが心配。

コントロールポイントはフォーカスリングのみ。電子接点を持ち、絞り制御はカメラ側で操作します。

ハンズオン

フルサイズ判換算で20mmの明るい超広角レンズですが、全長41mm、重量125gと小型軽量。手のひらサイズであり、胸ポケットへ簡単に収納可能なサイズ感はGood!マイクロフォーサーズの強みを活かせる携帯性の高さは必見です。

前玉・後玉

フィルター径は46mm。マイクロフォーサーズ用レンズとしては一般的なサイズであり、同社の7.5mm F2も46mmですね。比較的小口径のため、NDフィルターやC-PLフィルターを低コストで揃えやすい。フィルターは厚み3~4mmの一般的な薄枠フレームで問題無く使用可能です。ステップアップリング経由で49mmフィルターの利用でも問題ありませんでした。

前玉は顕著な凸レンズですが、サイズが小さいので問題なくフィルターを装着できます。逆光耐性は少し弱いかもしれません。今後のテストで確認予定。
インナーフォーカス(正確にはリアフォーカス)のため、フォーカシングによるレンズ全長の変化はありません。

金属製レンズマウントは不均一な配置の4本のビスで固定されています。防塵防滴仕様ではないため、マウント周囲にゴム製ガスケットはありません。
リアフォーカス式のため、フォーカシングで後玉が前後に移動。周囲はフラットな金属製カバーに覆われています。反射防止用のマットブラックな塗装が施されていますが、これが逆光時にどのように作用するのか不明。ざっと使った印象として、逆光耐性はあまり良くありません。

Venus Opticsは2020年にマイクロフォーサーズシステムの賛同企業として名を連ねています。正式にマウント情報を開示されていると思われ、カメラ側との通信に対応するべく電子接点を搭載。このレンズはフォーカスこそMF限定ですが、絞り制御はAE対応のモーター駆動となり、EXIFへ絞り値やレンズ名などの情報を記録可能となっています。

フォーカスリング

最短撮影距離0.12mから無限遠まで操作可能。抵抗はやや強めですが滑らかに動作します。ピント全域の回転角は約90°で、MFレンズとしては回転角が少し小さめ。特に無限遠側の回転角が非常に小さいため、微調整が難しい。オーバーインフがあるので、ハードストップを過信して撮影すると、ピントが合っていない可能性があるので注意したいところ。

電子接点対応レンズであり、フォーカスリング操作時にカメラ側の自動アシストが機能します。拡大機能やピーキングを利用しやすいのはGood。ただし、50mm F2 2X MACRO APOと同じく距離エンコーダーには対応していません。

レンズフード

金属製バヨネットタイプのレンズフードが付属します。7.5mm F2と違い少しクリック感があり、しっかりと固定可能。浅いフードのため、装着したままC-PLの操作も可能だと思われます。逆さ付けにも対応しています。

装着例

E-M1 Mark IIIやLUMIX G9 PROなど、大きめのボディと装着すると、レンズの重量やサイズは無視できるレベルの携帯性です。コントロールがフォーカスリングのみであるため、7.5mm F2のように小さな絞りリングを操作する必要無し。これが意外と効いているように感じます。フォーカスリングの操作に集中できるのは便利。

もちろん小型軽量なPEN・GF・GMシリーズとの相性も良好です。手のひらサイズで10mmの広角レンズを楽しめるのは嬉しい。

互換性

LAOWA 50mm F2.8 2X ULTRAMACRO APO」はVenus Opticsが最初に電子接点を搭載したマイクロフォーサーズ用レンズです。光学性能は良好でしたが、カメラとの互換性は完璧と言えず、手ぶれ補正などの動作不良が目立ちました。

このレンズも互換性が気になっていたのですが、E-M1 Mark IIIやLUMIX G9 PROとの組み合わせで問題無く動作しています。手ぶれ補正や手持ちハイレゾショット、動画撮影における自動絞りで問題無く動作し、フリーズの兆候も見られません。

前述したように距離エンコーダーには対応していませんが、フォーカスリングにピント距離と被写界深度の表示があるので大きな問題とは感じないはず。

AF・MF

フォーカススピード

MFレンズのため無評価。敢えて言えば、フォーカスリングの回転角が小さいので無限遠から最短撮影距離まで素早い操作が可能です。

ブリージング

完璧ではありませんが、この画角のレンズとしては良く抑えられていると思います。

精度

前述したように回転角が小さく、特に無限遠側で調整が難しい。オーバーインフがそれなりにある点も気を付けたいところ。

解像力チャート

撮影環境

テスト環境

  • カメラボディLUMIX G9 PRO
  • 交換レンズ:LAOWA 10mm F2 Zero-D MFT
  • パール光学工業株式会社「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)
  • オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
  • 屋内で照明環境が一定
  • 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
  • LUMIX G9 PROのRAWファイルを使用
  • ISO 200 固定
  • Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
    ・シャープネス オフ
    ・ノイズリダクション オフ
    ・色収差補正オフ
  • 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
    (像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェックしています)
  • 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)

補足

今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証しています。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性があります。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。

テスト結果

中央

中央は絞り開放から「3000」付近に達する非常に良好な結果。カテゴリは異なりますが参考までに、定評のあるオリンパス「40-150mm F2.8 PRO」の150mmが「3000-3300」です。
絞ると少し改善しますが、LUMIX G9 PROでは解像性能が頭打ちとなっています。より高解像なセンサーやハイレゾショットを使用することで、レンズの解像性能を活かすことができます。

F8付近まで良好な性能を維持し、F11からF22にかけて回折の影響による急速な画質低下が発生。出来ることならばF8付近までを使うのがおススメ。

周辺

F2から「2500」を超える良好な性能を発揮。中央ほどではありませんが、広角レンズの接写でこのようなパフォーマンスを発揮するレンズは珍しい。

F5.6のピークに向けて、絞ると徐々に解像性能が向上します。やはりF11から急激に画質が落ち込むので避けたほうが良いでしょう。

四隅

驚いたことに、周辺と遜色のないパフォーマンスを発揮しています。最大撮影倍率に近い接写でのテストにも関わらず、四隅まで安定した解像性能が得られるのは魅力的です。
絞ると周辺と同じように改善し、フレーム全域でとても均質的な描写が得られます。

倍率色収差は許容範囲内に抑えられていますが、ソフトウェア補正を利用することでさらに綺麗に修正が可能。ディテールへの影響は最小限だと思われます。

全体

小型軽量な超広角レンズとしては非常に高い解像性能を備えています。比較的明るいレンズにも関わらず、高いパフォーマンスを維持しているのは凄い。
絞り開放から良好な性能ですが、周辺減光が目立つので、(光量補正時の)ノイズを抑える意味ではF4まで絞って使うのがおススメ。

接写時に若干の像面湾曲が見られるものの、一般的な撮影距離で問題となることはありません。

数値確認

中央 周辺部 四隅
F2.0 2953 2523 2386
F2.8 3303 2824 2632
F4.0 3276 2913 2996
F5.6 3115 3070 2751
F8.0 2998 2878 2857
F11 2732 2605 2550
F16 2170 2191 1969
F22 1800 1702 1581

実写確認

*F22の露出が少し暗いのは、LUMIX G9 PROの電子シャッターが1秒までのシャッタースピードにしか対応していないため。

ハイレゾショット

2000万画素のテスト結果を見て、「これは伸びしろがあるだろう」と予想していましたが、まさかここまで伸びるとは思っていませんでした。
中央はテストチャートの限界値に近い結果を発揮し、F2からF5.6まで同水準の性能を維持しています。PROレンズLEICA DGレンズも驚きのパフォーマンスと言えるでしょう。
周辺や四隅は中央ほど伸びませんが、それでも絞り開放から「3500」付近の良好な性能を発揮。さらにF4まで絞ると中央の性能と非常に良く似た結果を得ることが可能。出来ることならば、積極的にハイレゾショットを活用したいレンズ。凄い。

競合レンズ比較

10mmをカバーしているレンズは少ないので、LEICA DG 10-25mm F1.7と比較。その違いは一目瞭然で、絞り開放から安定したパフォーマンスを得られることが分かります。大口径レンズの10-25mm F1.7で接写のテストは不利かもしれませんが、それでも驚くような性能差に違いありません。

遠景解像力

テスト環境

  • 撮影日:2021年2月2日 午前・曇天
  • 三脚:Leofoto LS-365C
  • 雲台:Leofoto G4
  • カメラ:OM-D E-M1 Mark III
  • 絞り優先AE・ISO200固定
  • RAW出力
  • Adobe Lightroom Classic CCで現像
    ・シャープネス0設定

いつもと比べて天気が悪く、そもそもコントラストが低い点に留意してください。そのうち晴天下で再テスト予定ですが、何しろ冬の北陸は天気が悪く…。

テスト結果

中央

絞り開放から良好なシャープネスとコントラストです。少なくとも2000万画素のOM-D E-M1 Mark IIIでは絞りによる改善効果は期待できないくらい高いシャープネス。
F8あたりから回折の影響が出始め、F11~F22にかけてシャープネスやコントラストが徐々に低下します。被写界深度を深くしたい場合を除いてF16~F22は避けるのがおススメ。

周辺

中央と比べて遜色のない画質ですが、F2の場合は少しコントラストが低いように見えます。F2.8~F4で改善し、ピークの画質へ到達。パフォーマンスはF5.6まで持続し、F8で低下が始まります。
やはり許容範囲はF11までで、F16~F22は理由がない限り避けたい絞り値に見えます。

四隅

周辺減光の影響は否めませんが、シャープネスやコントラストはまずまず良好に見えます。F2でも極端な落ち込みは見られません。F2.8で光量落ちが改善し、F4に向かってシャープネスとコントラストが少し改善します。
F4~F5.6でピークの性能に達し、F8も絞り開放より良好な状態を維持。F11もまだ良好ですが、F16~F22は避けるべし。

全体

小型軽量な超広角レンズとしては非常に良好な性能です。周辺減光を処理する必要があるものの、シャープネスやコントラストは絞り開放から実用的。画質のピークは概ねF4前後であり、被写界深度も程よく深くなるので使いやすいはず。

ハイレゾショット

OM-D E-M1 Mark IIIのハイレゾショットはLightroomのRAW現像と相性が良くないので参考までに。次回テスト時はLUMIX G9 PROと組み合わせる予定。

F2

80MPハイレゾショットの恩恵は間違いなくあります。特に像高5割までの中央領域は絞り開放から伸び率が高く、非常に高解像な結果を得ることが可能。周辺や四隅に関して描写の粗はありませんが、中央ほどの伸びは見られません。

F2.8

1段絞ると全体的にコントラストが強くなり、よりシャープな結果を期待できます。周辺・四隅の画質も向上しており、80MPハイレゾショットの恩恵は大きい。

F4

中央や周辺はF2.8と比べて大差ありませんが、四隅はさらに改善しています。フレーム全域で高解像な撮影がしたいのであればF4かF5.6を使うのがおススメ。

撮影倍率

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレーム四隅に現れる色ずれです。絞り値による改善効果が小さいため、この問題を解決するにはカメラボディでのソフトウェア補正が必要となります。ボディ側の補正機能で比較的簡単に修正できます。

実写で確認

広角レンズとしては良く補正されていますが、僅かに周辺部の色ずれを確認できます。完璧では無いものの、補正しやすい収差であり絞り値全域で「問題ナシ」と言える水準。自動補正は利用できないので、修正は後処理が必須となる点に注意。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれを指しています。手前側で主にパープルフリンジとして、奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差です。簡単な後処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えて欲しいところですが、大口径レンズでは完璧に補正できていないことが多いです。

実写で確認

絞り開放から問題ありません。F2と比較的明るいレンズとしては良好に抑えられています。

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には滲むように柔らかくボケるのが綺麗と感じます。逆に、段階的にボケず、急にボケ始める描写を硬調で好ましくないと感じます。

実写で確認

顕著な差はありませんが、比較的後ボケが滑らかに見えます。前ボケは少し騒がしいものの、「10mm F2」で前ボケが入るシーンは限られているので問題ないでしょう。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、四隅が楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまったりします。これを解消するには絞りを閉じるしかありません。しかし、絞ると羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じてF値を変化させる必要あり。

逆に口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが出来ます。これは玉ボケに限った話ではなく、一般的な四隅のボケ描写の質感にも繋がります。口径食が強いと、ボケ量が少なく感じたり、四隅のボケが荒れてしまう場合もあるため、口径食の小さいレンズが好ましい。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

「10mm F2」のスペックで玉ボケを得るのは難しいですが、最短撮影距離の短さを活かすことで玉ボケを得ることは可能。その際は口径食が少なく、四隅まで円形に近い玉ボケを得ることが出来ます。

ただし、絞り開放でも完璧な玉ボケとは言えず、非球面レンズの影響や縁取り、四隅では色収差の影響も見られます。絞ると急速に五角形となる点にも注意が必要です。

球面収差の補正状態も完璧とは言えません。後ボケと前ボケで大きな差が見られます。特に前ボケで2線ボケの兆候が見られるものの、「前後のボケ」で言及したように10mm F2のレンズで問題となることはありません。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに「歪む」収差です。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすい。主に魚眼効果と似た形状の「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

実写で確認

通常、オリンパスやパナソニックのRAWファイルにはレンズプロファイルが格納されています。Adobe Lightroomなどで読み込むと自動的に補正データが適用され、これを外すことは出来ません。このレンズを使って撮影したRAWファイルも、Lightroom読み込み時に補正データを適用している痕跡があります。そこで社外製ソフト「RaeTherapee」で補正データを適用しない状態で現像したJPEGが以下の通り。

補正前と比べて画角が極僅かに狭くなっています。ただし、歪曲収差をソフトウェアで補正したようには見えません。光学的に歪曲収差を適切に補正していることが分かります。

ミラーレス用レンズは歪曲収差をソフトウェア補正に丸投げするケースが多々見られる中で、このようにきちんと補正しているレンズは珍しい。「ZERO-D」と冠しているのは伊達じゃない。

周辺減光

周辺減光とは?

周辺減光とは読んで字のごとく。フレーム周辺部で発生する不自然な減光のことです。中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となっていることを指します。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生、ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を増感でカバーするのでノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景で高感度を使う場合にはノイズが強く現れる可能性があります。

実写で確認

小型軽量で明るい超広角の泣き所。
絞り開放「F2」では近距離でも無限遠でも目立つ光量落ちが発生します。最短撮影距離(MFD)ではLightroomの手動補正値で約50、無限遠(INF)では約80程度の補正値で修正が必要。絞りによる改善効果を狙うのであれば、少なくともF5.6までは絞りたいところ。

歪曲収差と同じく、レンズ格納の補正プロファイルは存在しません。自動補正されないので、絞りを使うか、後処理の必要があります。同社の「7.5mm F2 MFT」と比べると影響する量は少ないものの、風景やフラットなコントラストでは光量落ちが目立つ可能性あり。

最短撮影距離と無限遠で実効F値に大きな違いは見られません。F22のみ露出が高いのは「実際の絞り値が設定値(F22)よりも小さい」ことを意味しています。マイクロフォーサーズでF22を使う人はそう多くないと思いますが、マニュアル露出でF22を使う場合には注意が必要です。

コマ収差

コマ収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないことを指しています。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日などが影響を受ける場合があります。後処理が出来ないため、光学的に補正する必要がある収差。絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞り開放のコマ収差補正が重要となります(絞るとシャッタースピードかISO感度に影響があるため)。

テスト結果

完璧ではないものの、小型軽量で明るい超広角レンズとしては良く抑えられています。4Kモニタの全体像では目立たず、拡大すると少し目に付く、と言う程度。像高5割あたりから点光源が変形し始め、四隅に向かってコマ収差が大きくなります。

残存収差は1段絞ると改善し、2段絞るとほぼ解消します。F2.8~F4でもシャープな光条が発生するため、コマ収差が目に付く絞り値は限られています。

逆光耐性・光条

フレーム周辺

LAOWAレンズは逆光に弱い傾向があり、このレンズも例外ではありません。特に絞り開放はレンズフレアが発生しやすく、コントラストの大幅な低下が予想されます。
幸いにも1段絞るとレンズフレアは劇的に改善可能です。ゴーストの発生は避けられませんが、このような明るい広角レンズとしては一般的な逆光耐性です。

絞ると、奇数5枚羽根による10本の光条が発生します。F2.8からシャープで綺麗な光条が発生するのは強みと感じます。従来のレンズと異なり、ライブビューは基本的に「絞り開放」となるため、光条の発生状況を確認したい場合は「絞り値のプレビュー機能」を利用する必要があります。

フレーム四隅

フレーム内に光源がある時ほどのフレアは発生しません。とは言え、画質に影響を及ぼしかねないフレアの兆候は見られます。
やはり1段絞るとフレアは改善し、ゴーストの発生もよく抑えられているように見えます。このクラスのレンズとしては良好な逆光耐性と言えるかもしれません。

光条

前述したとおり、1段絞ると良好な光条が発生します。マイクロフォーサーズは回折が発生する絞り値が小さく、F5.6~F8よりも小さなF値で光条が発生するレンズは重宝します。(解像度の維持と光条の生成が両立しやすいため)
基本的にF2.8でも十分に満足のいく光条ですが、F4~F5.6まで絞るとよりシャープな光条を得ることができます。さらに絞るとクロスフィルターを使ったようなキレのある光条となりますが、解像性能との両立が難しいのでF11前後までに抑えておくのがおすすめ。

総評

肯定的見解

ココがポイント

  • 小型軽量
  • 金属製の頑丈な筐体
  • 円形フィルター対応
  • 滑らかに回転するフォーカスリング
  • 電子接点による情報伝達・自動絞り
  • ピント距離に関わらず、全体的に優れた解像性能
  • 撮影倍率が高い
  • わずかな倍率色収差
  • わずかな軸上色収差
  • 滑らかな後ボケ
  • 広角レンズとしては良好な歪曲収差補正
  • 穏やかなコマ収差
  • 絞った際の素敵な光条

小型軽量ながら、F2と明るく、解像性能に弱点らしい弱点は無く、諸収差も良好に補正されています。「これぞマイクロフォーサーズ」と言っても過言では無いでしょう。LAOWA 7.5mm F2と違い、自動アシストや自動絞りに対応したことで、さらに使いやすいレンズに仕上がっています。

小型軽量の機動性をGM1Sのような小型ボディで活かすもよし、高い光学性能を大きなボディで活かすもよし。アマチュアからプロまで満足のいく小型で高性能なレンズ。少し絞れば綺麗な光条が発生するのもおススメ。

批判的見解

ココに注意

  • フォーカスリングの回転角が小さい
  • 一部カメラで動作不良
  • 周辺の光量落ちが目立つ
  • 玉ボケが騒がしい
  • 絞り開放の逆光耐性

最も注意すべきは逆光耐性。絞り開放のみ顕著なフレアが発生し、フレーム全体の画質が低下する場合があります。絞れば改善しますが、自動絞りによりライブビューが「絞り開放」に固定されてしまうのが痛い(ライブビューで露出オーバーとなる場合は絞りが動作します)。ホワイトバランスや露出結果にも影響してくるので気を付けたいポイント。それ以外にも細かい問題はありますが、特に気を付けるべきは逆光耐性くらい。

一部カメラで互換性の問題は発生すると思いますが、LAOWA 50mm F2と比べると改善しています。LAOWAのエレクトロニクス分野は始まったばかりだと思うので、今後の成長に期待したいところ。

総合評価

管理人
満足度は95点。
弱点と言えば光量落ちと逆光耐性くらいで、2つに気を付ければ大きな問題なく、満足のいく超広角レンズに仕上がっています。マイクロフォーサーズ用の10mm単焦点は選択肢が限られているものの、個人的にはおススメの一本。

購入早見表

作例

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