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パナソニック LUMIX S 26mm F8 レンズレビューVol.3 諸収差編

パナソニック「LUMIX S 26mm F8」のレビュー第三弾を公開。残存する歪曲収差があるものの、それ以外は良好な補正状態となっています。手頃な価格のパンケーキレンズですが、描写は癖が無く使いやすい。

今回の簡単なまとめ

ボケの色づきやフレーム周辺の色ずれはほとんどありません。シンプルな光学系の26mmレンズですが、色収差は良好に補正されているようです。像面湾曲やコマ収差もほとんど問題とならないため、開放F値が気にならなければ撮影シーンを選ばずに使うことができます。

唯一気になるのが歪曲収差ですが、これはカメラや現像ソフトで簡単に修正することが可能。歪みが気にならない場合は(補正を利用しないことで)26mmよりも少し広い画角を利用することもできます。

MFパンケーキレンズながら画質は使い勝手が良く、癖を抑えた優等生的な描写となっています。撮って出しJPEGを利用する機会の多いLUMIX S9との相性が良く、最小限の修正・補正で思う存分リアルタイムLUTを楽しむことができます。

There is very little bokeh coloration or color shift around the frame. Although this 26mm lens has simple optics, chromatic aberration seems to be well corrected. Image curvature and coma aberration are also hardly a problem, so it can be used in any shooting situation as long as the maximum aperture f-number is not a concern.

The only concern is distortion, but this can be easily corrected with the camera and development software. If distortion is not a concern (by not using the correction), a slightly wider angle of view than 26mm can be used.

Despite being an MF pancake lens, the image quality is user-friendly and the image quality is excellent with minimal quirks. It works well with LUMIX S9, which has many opportunities to use JPEGs taken out of the camera, and you can enjoy real-time LUT to your heart's content with minimal correction or amendment.

LUMIX S 26mm F8のレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

フレーム中央から隅まで被写界深度内に収まっているように見えます。大きな問題はありません。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

Adobe Lightroom Classic CCにて、レンズ補正オフの状態で問題ありません。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

軸上色収差は綺麗に補正されています。極端な状況でも目立つ色づきはありません。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

極端ではないものの、やや目立つ樽型歪曲が発生。これをボディ側で修正すると、四隅を引き延ばしながら歪曲収差を補正していることが分かります。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

フレーム隅の端で点光源の極わずかな変形があるのみ。大きな問題は無いように見えます。

まとめ

ボケの色づきやフレーム周辺の色ずれはほとんどありません。シンプルな光学系の26mmレンズですが、色収差は良好に補正されているようです。像面湾曲やコマ収差もほとんど問題とならないため、開放F値が気にならなければ撮影シーンを選ばずに使うことができます。

唯一気になるのが歪曲収差ですが、これはカメラや現像ソフトで簡単に修正することが可能。歪みが気にならない場合は(補正を利用しないことで)26mmよりも少し広い画角を利用することもできます。

MFパンケーキレンズながら画質は使い勝手が良く、癖を抑えた優等生的な描写となっています。撮って出しJPEGを利用する機会の多いLUMIX S9との相性が良く、最小限の修正・補正で思う存分リアルタイムLUTを楽しむことができます。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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