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M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 レンズレビューVol.1 外観・操作・AF編

「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0」のレビュー第一弾 外観・操作・AF編を公開。小型軽量ながら質感が良く、フォーカス性能も十分に高速。スナップショットフォーカスの使い方に少し癖があるものの、慣れてしまえば面白いスナップレンズになると思います。

簡易的なまとめ

趣味性の高い外観と操作性を備えた小型軽量な単焦点レンズ。売り出し価格はやや高めでしたが、最近は値下げもあって買いやすくなっています。スナップショットフォーカスの操作性は少し癖があるものの、慣れてしまえば小型軽量なミラーレスと相性の良いスナップ撮影用の広角レンズとなることでしょう。AFは十分に高速で、フォーカスブリージングも良く抑えられています。

A compact, lightweight, fixed-focus lens with a highly specialized appearance and operability. The selling price was a little high, but recently it has become more affordable due to a price reduction. The snap-shot focus operability is a little quirky, but once you get used to it, it will become a wide-angle lens for snap photography that is compatible with compact, lightweight mirrorless cameras. The AF is sufficiently fast, and focus breathing is well suppressed.

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0のレビュー一覧

M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 のおさらい

2011年に登場した最古参の現行モデル。
発売から10年以上が経過していますが、モデルチェンジされることなく販売継続中。従来の対応レンズはプラスチッキーで安っぽい印象が強かったものの、本レンズは外装が総金属製で高級感のある作り。その後、同シリーズのレンズとして「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8」「M.ZUIKO DIGITAL ED 75mm F1.8」が登場します。

本製品はフルサイズ判換算で広角24mmに相当する焦点距離の単焦点レンズ。さらにF2の明るい開放F値を実現しつつ小型軽量なサイズを実現。さらにフォーカスリングをスライドすることで素早くMFへ切り替えることができる面白い仕組みを搭載しています。

売り出し価格はやや高めですが、携帯性の良さと高級感のある作りで人気を博しました。当時のPENシリーズと相性も良く、組み合わせて撮影する人が多かったと記憶しています。

主な仕様

発売日 2014年 9月20日
初値 ¥73,862
レンズマウント マイクロフォーサーズ
対応センサー 4/3
焦点距離 12mm
レンズ構成 8群11枚
開放絞り F2
最小絞り F22
絞り羽根 7枚 円形絞り
最短撮影距離 0.2m
最大撮影倍率 0.08倍 0.16倍相当
フィルター径 46mm
手振れ補正 -
テレコン -
コーティング ZEROコーティング
サイズ Ø56×43mm
重量 130g
防塵防滴 -
AF STM
絞りリング -
その他のコントロール スナップショットフォーカス
付属品 -

価格のチェック

売り出し価格は7万円超。
当時のマイクロフォーサーズ用レンズとしては高価で、比較的安価なレンズが増えた現在でも高めの印象は拭えません。しかし、数年前に大幅値下となり、現在は4万円台で購入可能となっています。当時の価格を知っているのであれば、非常に安くなったと感じることでしょう。

ただし、(かなり高価な)金属製レンズフードが別売りとなっています。

外観・操作性

箱・付属品

少なくとも私が購入した時点(2023年)で外箱のデザインはオリンパス初期のもの。黒を基調とした新デザインや、OMデジタルにブランドが切り替わったものではありません。

付属品は前後キャップと書類のみ。レンズフードは付属していません。フードが必要な場合、5千円以上もする金属製角型フィルターを買う必要があります。

外観

前述したように、外装は全て金属製のしっかりとした作り。プラスチック鏡筒の一般的なlレンズと比べて高級感があります。シルバーの塗装は富士フイルムなどの「シルバーモデル」よりも少し渋みのある色合い。いぶし銀。

とても見栄えの良いシルバーモデルですが、残念ながらOMデジタル製品には相性の良いカメラが少ない。あるとすればE-P7のシルバーモデルのみ。

とてもシンプルな外観で、コントロールはフォーカスリングのみ。オリンパスレンズらしい青色のデコレーションリング以外に装飾はありません。

ハンズオン

全長43mm、重量130gと小型軽量なレンズ。金属鏡筒のしっかりとした作りですが、重いと感じることはありません。GM1Sのように小さなカメラに装着してもバランス良好。

前玉・後玉

当時では一般的な46mmフィルターに対応。防塵防滴には非対応で、前面のフッ素コーティングにも対応していません。ダメージが予想されるシーンでは保護フィルター装着がおススメ。

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別売りレンズフードを装着するバヨネットはありません。その代わり、ネジ式フードを固定するための余地があります。

金属製レンズマウントは4本のビスで本体に固定。防塵防滴用のシーリングはありません。マウント部には製造国が「中国」と印字されています。ただし、現在の製造はベトナムに移管しており、本個体は少し前に生産されたものと思われます。

フォーカスリング

適度なサイズの金属製フォーカスリングを搭載。抵抗感はほとんどなく滑らかに回転。応答性は回転速度に依存しているようにも見えますが、ほとんど変化ありません。おおよそのストロークは180°前後。

フォーカスリングを手前にスライドすると、スナップショットMF機能で素早くMFモードに切り替えることが出来ます。この際、ピント位置はフォーカスリングに印字された撮影距離に対して「大雑把に」移動します。

最短撮影距離から無限遠まで10段階低度のステップでピント位置が変化するため、狙った部分にピントを合わせる操作には不向き。この点でPROシリーズの「マニュアルフォーカスクラッチ」機能と異なります。

絞り値と被写界深度の関係はOMデジタルが早見表を用意しているので参考になると思います。

レンズフード

金属製で高級感のある別売りレンズフード。7万円もした当時ならば、付属しておいたほしかったアイテム。4万円台で別売りなら許容範囲内。されど高い。

高価ですが、外装の塗装や質感はレンズ本体と全く同じ。12mm F2ユーザーならば、持っておいて損はない作りとなっています。

装着例

マイクロフォーサーズの(一般的なスタイルのカメラ)中では最小クラスのGM1Sに装着。F2の明るい広角レンズながらGM1Sとの組み合わせでバランス良好。

AF・MF

フォーカススピード

OM-1に装着してテスト。輝度差のあるシーンでも難なく合焦。AF速度はPROレンズほど電光石火ではないものの、ほとんど遜色のない程度に高速。C-AFでは近距離でも応答性の高いAFを実現しています。

ブリージング

ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・・無限遠で撮影した結果が以下の通り。

スライドショーには JavaScript が必要です。

画角変化はほとんどありません。ぱっと見で画角の変化に気が付かず、自然なピント移動を実現可能。

精度

OM-1やLUMIX機と装着した状態で精度に問題はありません。C-AFの応答性が良いので、胴体撮影でも利用可能。あとはカメラ側のパフォーマンス次第。

MF

前述の通り、スナップショットフォーカス未使用時は180°程度のストロークで操作可能。微調整に十分な操作量があるため、MFモードを問題なく利用可能。

スナップショットフォーカスは特性(ざっくりしたピント合わせ)を理解していれば十分に実用的。遠景や数m先以上のパンフォーカスで役に立つ機能です。F2の絞り開放でも、5m以上離れた撮影ではパンフォーカスとなり、F8まで絞れば1mくらいまではシャープな結果を期待できます。

まとめ

オリンパス・OMデジタルのレンズラインアップの中では趣味性の高い製品。小型軽量ながら質感が良く、個性的なコントロールを備え、M.ZUIKO ラインアップの中で異彩を放つレンズ。

特にスナップショットフォーカス機構を搭載しているのは本レンズと「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8」くらい。小型軽量で軽快なAFやMFを楽しむことが出来るスナップ撮影向けのレンズに仕上がっています。

また、質感の高い金属外装は必見。いぶし銀のようなシルバーモデルは他にPENTAX FA Limitedくらいで、個人的におススメはシルバーモデル。ただし、レンズフードがディスコンとなっているので、新品を手に入れたい人は早めに動いたほうが良いでしょう。
(ブラックはOM  SYSTEM銘で再販されるかもしれませんが、シルバーは難しいかも?)

最近は本レンズと組み合わせやすい(コンパクトな)ボディが少なくなってきたものの、LUMIX GM1やOYMPUS PENなど古めのボディを所持しているのであれば相性の良いレンズになると思います。古いMFTカメラは金属外装である場合が多く、小ぶりながら質感の高い組み合わせとなります。また、小型ボディは素早くMFに切り替えるコントロールが無いため、スナップショットフォーカス構造が役に立つはず。

肝心の光学性能はと言うと…、小型軽量な広角単焦点レンズなり。
売り出し7万円のレンズとしてはシャープさに欠けると感じるかもしれません。もともと1200万画素付近からスタートしたマイクロフォーサーズ用レンズなので、2000万画素や80MPハイレゾモードは予想していなかったと思われます。最新モデルとの組み合わせで高い光学性能は期待しないほうが良いでしょう。

とは言え、F8くらいまで絞ると隅まで良好な結果が得られ、ちょうどパンフォーカスを得やすい絞り値となります。サクサク撮りたいなら、しっかりと絞ってスナップショット。F2の明るさが必要であればF2を積極的に使えば良いのかなと。

F8まで絞ると光量やシャッタースピードが不足すると感じる場合もありますが、カメラ側に手振れ補正を搭載している場合は余裕があります。12-40mm PROや12-100mm PROに取って代わるような光学性能ではないものの、携帯性を楽しむのであれば面白い選択肢。

購入早見表

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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