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ニコン NIKKOR Z DX 24mm f/1.7 レンズレビューVol.3 ボケ 編

ニコン「NIKKOR Z DX 24mm f/1.7」のレビュー第三弾を公開。今回は前後のボケ質差や玉ボケの形状と絞り羽根の影響、撮影距離を変化した場合のボケ質などをチェックしています。

NIKKOR Z DX 24mm f/1.7のレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。

描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

実写で確認

前後にボケ質の差が少ないニュートラル寄りの描写ですが、よく見ると後ボケのほうが少し柔らかい描写に見えます。準広角レンズで前ボケを重視するシチュエーションは少ないと思われ、後ボケ寄りのボケ質は肯定的に評価できるポイント。残念ながら軸上色収差の影響は皆無ではなく、ボケに色づきが発生する場合があります。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

実写で確認

小型軽量なレンズですが、少なくともボケが大きい場合に顕著な口径食の影響はありません。F2までは玉ボケの形状が円形を維持していますが、F2.8まで絞ると角ばり始める。

F1.7とF2.0

F1.7とF2.0でボケのサイズを同程度にして撮影した作例が以下の通り。

F1.7のほうがボケを大きくしやすいですが、隅に向かってボケが騒がしくなり、特にピント位置が遠側にあるほど目立ちます。大口径の準広角レンズではよくある傾向であり、このレンズに限った話ではありません。もしも騒がしいボケが気になる場合はF2まで絞ると安定します。(気になる場合はさらに絞る必要あり)

ボケ実写

最短撮影距離

接写性能を活かすことで準広角ながら大きなボケを得ることができます。この際はF1.7から隅まで柔らかく滑らかなボケを得ることができ、色収差による影響は目立ちません。低価格のレンズとしては文句なしの結果。

至近距離

撮影距離が少し開くと、隅のハイライトにおいて騒がしくなる兆候が見られます。F2まで絞ると角が取れてマイルドな描写となる。F2.8も似たような傾向ですが、F4まで絞るとボケのアウトラインが再び目立ち始め得ます。

近距離

さらに撮影距離が長くなると、ボケが騒がしいと感じる領域が広がります。中央の狭いエリアを除いて、ボケの縁取りが強く、背景の状況によってはかなり騒がしくなりそう。F2まで絞ると広い範囲で改善しますが、四隅やその周辺部はもう少し絞る必要あり。F2.8まで絞ると、全体的に見栄えの良いボケが得られます。

中距離

さらに撮影距離が長くなると、24mm F1.7と言えどもボケが小さくなります。よく見ると全体的に騒がしいボケ質ですが、ボケが小さいのでプリントサイズによってはF1.7でも問題なし。気になる場合はF2くらいまで絞るとのがおススメです。

ポートレート距離

全高170cmの三脚を人物に見立てて、F1.7を使って撮影した結果が以下の通り。

全身をフレームに入れると被写界深度だけで被写体を分離するのは難しい。光やパースなどなんらかの手段を併せて講じる必要がありそうです。膝上・上半身くらいまで近寄るとボケが大きくなりますが、この撮影距離ではボケが少し騒がしいのでF2まで絞って使うのがおススメ。バストアップまで近寄ると良好なボケ質で被写体を分離することが可能。顔のクローズアップではさらにボケが大きくなります。

まとめ

完璧からは程遠いものの、接写では良好なボケ質を得ることができ、少し離れた際はF2からF2.8くらいまで絞るとまずまず良好なボケとなります。傾向が分かりやすく、特に使い辛いと感じることはありません。手ごろな価格を考慮すると軸上色収差もうまく抑えられています。

レンズ構成中に非球面レンズを2枚使用していますが、玉ボケに同心円状のムラが発生することはありません。研磨状態が良いのか、ガラス(プラスチック)モールドなのか、ムラが目立たない配置なのか詳細は不明。いずれにせよ玉ボケの内側は綺麗です。(残存する球面収差と思われる)玉ボケの縁取りは目立ちますが…。

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作例

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