このページではオリンパス製ミラーレスカメラ「OM-D E-M1 Mark III」のレビューを掲載しています。
連載9回目はカメラの顔検出と関連機能について色々とチェック。
顔検出動作確認
検出精度・速度は明らかに向上しています。特に瞳の検出速度が顕著な改善を遂げています。検出後は横顔で瞳が見えなくなるまで追従可能。
左右の瞳が切り替わるタイミングで検出が一度外れてしまうのは従来と同じ傾向。このタイミングでピントが外れる可能性もあるので注意したい。できればココはファームウェアアップデートで対応して欲しいですねえ。
検出枠と合焦枠が微妙にずれているのが気になるところ。現状ではレンズ側のフォーカス速度で変化する問題なのか、カメラ側の問題なのか判断が付きません。
顔選択AF
E-M1 Mark IIIは複数の顔を検出・表示可能。そして「専用機能」で検出した顔を選択することができるようになりました。
また、「顔検出のオン・オフ」は従来までスーパーコンパネやAFエリア選択時に変更する必要がありましたが、ボタンカスタマイズに専用機能が追加されシームレスな選定変更が可能に。ボタンプッシュで顔検出のオンオフ、ボタン押し込み時にダイヤルを操作することで顔・瞳の切替を行うことができます。
ただし使い勝手に少し癖がありまして…
- 顔検出が途切れると他の顔へ乗り移る
- タッチ操作による顔選択はモニター左側のアイコン変更が必要
- 専用機能を使わないと顔選択不可
フォーカスしたい被写体の顔検出が外れた瞬間、別の顔へ乗り移ってしまうので注意が必要。その際、元の被写体へ復帰するためにはボタンカスタマイズで「顔選択」を登録しておく必要があります。(もしくは顔検出を一時的にオフにする)
パナソニックのようにタッチ操作で元の被写体に復帰するためには「顔選択」用のタッチ操作モードへ移行しておく必要があります。また、ファインダー使用時はタッチ操作による顔選択は出来ません。
顔検出が途切れて別の顔に乗り移ってしまうのも問題あり。検出が途切れても少し粘りますが、ロックすることは出来ません。出来れば今後のファームウェアアップデートで顔検出のロック機能が欲しいところ。
ちなみに「顔選択」ボタンをプッシュすることでフォーカスエリアに近い顔を優先することも可能。任意のフォーカスエリアを中央1点に固定しておき、複数の顔検出時に被写体を中央に配置して「顔選択」ボタンを押せばOK。これがファインダー使用時に最も有効な使い方かもしれません。
参考:タッチ選択
「顔検出」がオンになっていないと「タッチ選択」モードが表示されないので注意が必要です。
顔優先AF
オリンパスの顔検出でもう一つ注意したいのが検出の優先度。オールエリア以外でも顔検出に対応しており、例えばシングル測距で顔検出すると任意の測距点が無効となり顔を優先して追従します。
この傾向は富士フイルムと似ており、ソニーのように「フォーカスエリア内でのみ顔検出」とは使い勝手が異なる仕様です。
どちらが良い仕様なのか断言できませんが、オリンパスの仕様だと顔以外にフォーカスしたい場合は「顔検出をオフにする」しか方法がありません。
そこでE-M1 Mark IIIに追加された新機能「顔優先AF」の設定を変更します。
大雑把に説明すると「親指AFを顔検出無効のAFとして使用する」と言ったところ。
従来通り、「カスタマイズAF.1ページ」にてAFL/AEL機能に「AF Start」を割り当て、ボタンカスタマイズ(カスタマイズB.1ページ)で任意の場所に配置します。
さらにMark IIIで追加された「顔優先AF(AEL/AFL設定ページ内)」でシャッター半押しと親指AFの機能に区別を持たせます。シャッター半押しで顔検出を優先してもよし、親指AFで顔検出を優先してもよし。自分の使い方に合わせてカスタマイズすると良いでしょう。
動き回る子供を撮るのであれば、顔検出のオンオフや顔選択を使うよりも素早くフォーカシング出来るはず。個人的にはおススメの機能。
顔検出AFテストの雑感
強化されたが癖が強い!操作の全面的な見直しが必須
顔・瞳検出は明らかに強化されましたが、他社とは使い勝手が違うので機能やボタンカスタマイズを含めて操作の見直しが必要。
顔優先AFは使い方によってフォーカスエリア全域の「顔検出AF」と顔検出を無視する1点AFをシームレスに切り替えながら活用できる便利な機能です。これを使わない手はないと思います。
顔選択機能の仕様は「押しながらダイヤル操作」が微妙に野暮ったいものの、プッシュ時の「フォーカスエリア付近の顔で復帰」は結構便利。顔優先AFと併せて活用するのもアリだし、どちらか一方のみを使用するのもアリでしょう。
タッチ操作による顔選択は便利ですが、予め顔選択モードへ移行しておき、ファインダー使用時には使えなくなる点を考慮しておく必要があります。
どちらにせよ、オリンパスらしい複雑怪奇な仕様。使いこなせば便利かもしれませんが、自分にとっての最適解を導き出すのに苦労する機能と感じました。
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