OMデジタルソリューションズ「OLYMPUS PEN E-P7」のレビュー第三弾を公開。今回はカメラのドライブ機能や連写・バッファ性能に焦点を当ててレビューしています。
まえがき
カメラのおさらい
カメラの特徴
- 商品ページ/仕様表
- 説明書
- データベース
- 管理人のFlickrアルバム
- 発売日:2021-06-25
- 売り出し価格:84,150円
- 主な特徴
・2000万画素 Live MOSセンサー搭載
・5軸4.5段分のボディ内手ぶれ補正
・カラープロファイル・モノクロプロファイル機能
・ファインチューン機能対応のArtフィルター追加
・2ダイヤル操作に対応
・USB充電対応
・高性能化にも関わらず小型軽量
・SD UHS-II対応によるバッファの強化
2013年に登場した「OLYMPUS PEN E-P5」以来となるPEN E-Pシリーズの最新モデル。
従来の「PEN E-PL10」と比べて、2000万画素の高解像センサーを搭載したほか、5軸4.5段の手ぶれ補正に対応。SD UHS-II対応により連写時のバッファが強化され、USB充電にも対応した全くの別物。さらにコマンドダイヤルが増え、柔軟性の高い操作が可能となっています。
基本的にはE-M10 Mark IVの中身をPENシリーズに載せ替え、さらにクリエイティブコントロールやファインチューンなど独自機能を搭載した小型軽量カメラ。E-M10 Mark IVと比べてファインダー非搭載ながら、自由度の高いクリエイティブコントロールやファインチューンが魅力的。基本的な画質に違いは無いものの、E-M10 Mark IVでは実現できないJPEGの色・トーンを重視するのであればコチラがおススメ。
価格をチェック
売り出し価格は84,150円。E-PLシリーズと比べると高く、価格はOM-D E-M10 Mark IVやE-M5 Mark IIIと似た設定。個人的にクリエイティブコントロールが必要なければOM-D E-M5 Mark IIIが機能的でおススメ。コストパフォーマンスはE-M10 IVやE-P7よりも良いはず。
それでもE-P7を買うとしたら、カメラの携帯性やクリエイティブコントロールなどに価値を見出した時。
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連写・ドライブ
ドライブモード
E-P7のドライブモードは方向ボタン「↓」を押すことで呼び出すことが出来ます。ボタン変更やカスタマイズには対応しておらず、機能は固定。連写速度を変更することができるほか、電子先幕シャッターや電子シャッターへの切替や、セルフタイマーの設定もここから可能。
一部機種のように使わないドライブモードの項目を非表示にすることは出来ません。このため、素早く設定変更する場合は表示の意味を正確に把握しておくこおとが重要。
- 通常:単写
- ダイヤ:電子先幕シャッター(低振動)
- ハート:電子シャッター(静音)
- H:高速連写(AF/AE固定=AF-Sのみ)
- L:低速連写(AF/AE追従対応=AF-S・AF-C対応)
- 時計&数字:セルフタイマー 12秒/2秒
- 時計&C:セルフタイマー カスタム:タイマー・枚数・撮影間隔
連写速度
E-P7のスペックシートに記載されている連写速度は以下の通り。
- [連写H]:約8.7コマ/秒
- [連写L]:約5コマ/秒
- [低振動連写L]:約4.8コマ/秒
- [静音連写H]:約15コマ/秒
- [静音連写L]:約6.3コマ/秒
一部の機種では連写速度を下方向に微調整可能ですが、E-P7は調整することが出来ません。上記の連写速度で固定されています。
静音連写時は秒間15秒の高速連写が可能。AF-S限定のため使えるシーンは限られてきますが、一瞬のシャッターチャンスを切り取りやすい連写速度と言えるでしょう。
追従連写が可能な「連写L」は最速で6.3コマ秒。ソニーや富士フイルムの競合モデルと比べると連写速度が遅く、運動会など動き物がメインとなる場合は少々苦しい。
シャッター方式
メカニカルシャッター
通常(ドライブモードで”ダイヤ”や”ハート”の付かない項目)は前後がメカニカルシャッターで駆動します。シャッターショックは最も大きくなりますが、ローリングシャッター歪み(後述)や大口径レンズ使用時の露出ムラの影響がありません。
電子先幕シャッター(低振動撮影)
先幕シャッターを電子式にきりかえ、後幕シャッターのみメカニカルで動作します。低速シャッタースピード時のぶれを抑えた撮影が可能。ただし、大口径レンズ使用時に高速シャッターを使用すると露出ムラでボケが欠ける可能性あり。
と言ってもオリンパス機は1/320秒以下のシャッタースピードでのみ電子先幕シャッターが動作するので、基本的に低振動撮影に設定し続けても問題は少ないはず。
撮影メニュー2からシャッターボタンを押してから撮影するまでの時間を設定可能。言ってしまえばセルフタイマーのような機能ですが、より細かい設定が可能となっています。初期設定はボタン全押しからタイムラグ無しの「0秒」。
備考として、低振動撮影モードには「連写H」設定が存在しません。高速連写を使用する状況を考えれば必要無いと言えば必要無い機能ですが…。
電子シャッター
メカニカルな先幕シャッター・後幕シャッターを使わず、どちらも電子的なシャッター方式を利用します。機械が動作しないので無反動・無音での撮影を実現可能(レンズの絞り羽根が動作音となる可能性はある)。また、シャッタースピード1/16000秒までを利用可能であり、メカニカルシャッターが1/4000秒までしか対応していないE-P7にとって2段分多く露出を落とすことが可能。特に大口径レンズを使用する際に便利。
連写速度も速く、メカニカルシャッター故障のリスクもない便利な機能ですが、センサー読み出し速度によるバンディングの可能性があります(後述)。
低振動撮影と同じくシャッターボタン全押しから露光までのタイムラグを設定可能。そのほかにもフラッシュやAF補助光などの「静音性・静粛性」に焦点を当てたカメラの設定を一括で変更することが出来ます。例えばピアノコンサートなど、カメラの音や光が邪魔となる環境では予め設定を変更しておくと良いでしょう。
ISOオート設定
ISOオート時に使用するISO感度の下限と上限を設定可能。設定したISO感度の中で適正露出を維持するようにISO感度が変動します。上位機種のように、シャッタースピードの低速限界設定を調整することは出来ません。
バッファ・バッファクリア
カメラは連写撮影時にSDカードへ書き込むまでの空間にバッファがあり、SDカードに書き込むまでの間は一時的にバッファに撮影データが記憶されます。カメラの解像性能やバッファの量によって溜め込むことが出来る撮影枚数には差があり、メモリーカードの種類によってバッファから書き出す速度にも差が発生します。E-P7の仕様表に記載されている数値は以下の通り。
- 連写H・最高速時 [RAW]:カード容量一杯まで
- 連写H・最高速時 [JPEG デフォルト]:カード容量一杯まで
- 連写L・最高速時 [RAW]:カード容量一杯まで
- 連写L・最高速時 [JPEG デフォルト]:カード容量一杯まで
- 静音連写H・最高速時 [RAW]:約42
- 静音連写H・最高速時 [JPEG LF]:約49
- 静音連写L・最高速時 [RAW]:約945
- 静音連写L・最高速時 [JPEG LF]:カード容量一杯まで
- 使用レンズ:M.ZUIKO DIGITAL ED 12-40mm F2.8 PRO
- カード: KIOXIA SDHC UHS-?カード SDXU-D032Gを使用し当社測定条件による枚数
このカメラはSD UHS-IIに対応し、仕様表でもUHS-IIを使った数値となっている点に注意が必要。UHS-Iやそれ以下のメモリーカードでは仕様表通りの結果を得られない可能性あり。
UHS-IIは高速書き込みに対応しているものの、UHS-Iなどと比べて少し高価なメモリーカード。個人的にはそれでも使う価値はあると思うのですが、連写を重視しないのであればSD UHS-Iなども一つの選択肢。
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テスト環境
スマートフォンのストップウォッチ機能を使用。5秒スタートで10秒まで・15秒まで・20秒までの連続撮影を実施し、それぞれ5秒間・10秒間・15秒間で撮影出来た枚数をカウントします。今回は「ソニー 32GB UHS-II Tough G-Series SDカード」を使用。
RAW出力の場合
実際に数値を確認すると、6.3コマ秒(静音連写L)・15コマ秒(静音連写H)どちらでもほぼスペック通りの連写速度を実現しており、バッファクリア速度も良好であることが分かります。15コマ秒の連写速度では5秒以降に少し詰まりがあるものの、それでも10コマ秒以上を維持した連写が可能。
5秒 | 10秒 | 15秒 | |
6.3コマ秒 | 33 | 64 | 98 |
15コマ秒 | 72 | 125 | 179 |
カメラには十分なバッファがあり、SD UHS-II対応による良好なバッファクリア速度を実現しています。この価格帯のカメラでSD UHS-IIに対応しているのは実は貴重な存在であり、こと連続撮影枚数に関して言えばコストパフォーマンスが高い。同価格帯のα6400やX-E4などは、高速連写に対応しているものの、SD UHS-Iまでの対応がボトルネックとなるのです。
コントラストAFのPEN E-P7でここまでの連続撮影能力が必要かどうかは議論の余地があるものの、それが必要な人にとっては面白い選択肢。
RAW+JPEG LFの場合
6.3コマ秒の連写速度ならばパフォーマンスの低下は見られません。ただし、15コマ秒の場合は処理に時間がかかるのでRAWのみほど撮影枚数を稼ぐことはできない模様。と言っても最終的に高速連写L程度の連写測度で継続的に連写することが出来ます。(15秒時の数値がほぼ同じため)
5秒 | 10秒 | 15秒 | |
6.3コマ秒 | 33 | 64 | 95 |
15コマ秒 | 43 | 70 | 96 |
カメラのパフォーマンスを最大限活かして連写時のコマ数を稼ぎたい時はRAW出力に限定するのがおススメ。JPEGのみでさらに向上しますが、伸びしろはそこまで大きくなく、撮影後の柔軟性を考慮するとRAW出力がおススメ。
注意ポイント
カメラの負担が重くなる「eポートレート」やArtフィルター、プロファイル使用時は連続撮影枚数が低下する可能性あり。連写重視の場合は通常のピクチャーモードを使用するのがおススメです。
ローリングシャッター
「ローリングシャッター」とは電子シャッター使用時にセンサーが撮像する方式を指しています。理想はセンサー全体を一括で露光出来ると良いのですが、現在の仕様ではイメージセンサーの上から下まで段階的に読みだしていく方式「ローリングシャッター」を使用しています。
言葉で説明しても難しい、以下の動画で分かりやすく解説されています。
現在、コンシューマー向けのデジタルカメラでローリングシャッター方式を採用していないモデルは非常に少ないです。海外企業が「PIXII」のようなカメラでグローバルシャッターを採用していますが、国産ミラーレスでこの方式を採用しているカメラは存在しません。(キヤノンの業務用向けカムコーダーくらい)
もちろんE-P7もローリングシャッター方式を採用しています。USB扇風機を使い、1/8000秒の電子シャッターを使用して撮影した写真が以下の通り。
ご覧のように扇風機の羽根が不自然な描写となってしまっていますね。ローリングシャッター方式では、このように高速移動する被写体を撮影する際に問題が発生します。
では他のカメラではどのような影響があるのか?と言うのは以下の通り。羽根がコマ切れになっているほどローリングシャッターの幕速が遅く、悪影響が出いやすい性能ということが出来ます。
OM-D E-M1Xなどに搭載している像面位相差対応の2000万画素センサーと比べると見劣りする性能ですが、最新APS-Cセンサーに近い結果を得ることが可能。LUMIX G9 PROなど、パナソニックの2000万画素センサー搭載モデルと似たような結果です。実写で影響が出る可能性は十分に考えられます。歪みが発生しそうな場合は低振動撮影に切り替えたほうが良いでしょう。
参考
電子シャッター利用時に蛍光灯下で高速シャッターを使うと以下のような影響があります。
蛍光灯は1秒間に120回点滅(西日本)を繰り返しています。毎秒120回の点滅中、撮像時に5回の点滅がフレームに写りこんでいるため、単純計算でローリングシャッターの幕速は0.333msと言ったところでしょうか?上位機種であるE-M1 Mark IIIやE-M5 Mark IIIで使用している像面位相差AF対応センサーのISO12800以降のパフォーマンスと似ています。(通常時は0.166msくらい)
ちなみにベースISO感度である「ISO200」から「ISO6400」までは0.333msとなりますが、「ISO12800」以降はパフォーマンスが低下します。6本線となっているので約0.0499msとなります
今回のおさらい
連写測度・バッファクリアに関しては良好なパフォーマンスのカメラです。富士フイルムほどの高速連写は出来ませんが、コンスタントに連写を継続できるのが強み。(この価格帯の富士フイルムやソニーは連写し過ぎるとSDカード書き込み時間が長い)
とは言え、オートフォーカスがコントラスト検出方式であり、追従連写は絶望的。広角レンズで絞って被写界深度を広げ、MFでもピントが合うような撮影シーンが適しています。少なくとも子供の運動会やスポーツ・動き回るペットの撮影が主となる人におススメするカメラではありません。撮れなくもないですが、同価格帯にはより適した選択肢がいくつも存在します。
同じオリンパス・マイクロフォーサーズで連写を重視する場合、「OM-D E-M5 Mark III」がおススメ。像面位相差AFに対応しているので、追従連写の成功率が遥かに高い。そして静音撮影で最大30コマ秒までの連写速度に対応し、SD UHS-II対応で良好なバッファクリア速度を実現。プロキャプチャーモードにも対応しているので、瞬間的なシャッターチャンスを簡単に撮影することが出来ます。それで価格設定はPEN E-P7とそう変わらず、防塵防滴でファインダーも搭載。
購入早見表
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作例
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