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RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM レンズレビューVol.5 諸収差編

キヤノン「RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM」のレビュー第五弾を公開。今回は色収差や歪曲収差など各収差を恒例のテスト環境でチェックしています。

RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMのレビュー一覧

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

10mm

ゼロではないものの、3000万画素のEOS R7を使って大きく拡大しても色収差がほぼ分からない程度に抑えられています。この価格帯の小型軽量な広角ズームレンズとしては非常に良好な補正状態に見えます。

14mm

10mmと同じく非常に良好な補正状態。

18mm

他の焦点距離と同じく、望遠端でも良好な補正状態です。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

10mm

絞り開放から色収差はほぼ完璧に抑えられています。絞る必要はありません。

14mm

10mmと同じく良好な補正状態です。

18mm

広角や中間域と比べると僅かに増えてようにも見えますが、それでも全く問題ありません。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

10mm

魚眼レンズかと見間違えるほどの大きな樽型歪曲が残っています。カメラ内で補正すると、四隅に向かって引き延ばすように周辺部がクロップされます。当然ながら画質は低下します。とは言え、光学的な補正にこだわるよりも、価格とサイズとのバランスは取れているのかもしれません。

注意点はレンズの補正用プロファイルが無いと綺麗に修正するのが難しいこと。純正品(DPP4)やAdobe Camera RAWは既に対応していますが、マイナーな現像ソフトだと補正に対応するのが遅くなる可能性あり。

12mm

10mmと比べると良好な補正状態。それでも顕著な樽型であり、補正時に大きなクロップ・引き延ばしを伴います。

14mm

12mmよりも少し良好ですが、陣笠状の歪みを伴うので修正には補正用プロファイルが必須となります。

スライドショーには JavaScript が必要です。

16mm

比較的穏やかな歪曲収差ですが、引き続き目に見える歪みを伴います。

スライドショーには JavaScript が必要です。

18mm

このレンズで最も歪曲収差の影響が小さい焦点距離。それでも目立つ樽型歪曲が発生します。

スライドショーには JavaScript が必要です。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

10mm

フレーム隅で点光源の変形があります。F5.6-F8で改善傾向ですが、F11まで絞ると回折の影響が発生。バランスを取るのであればF5.6-10あたり。

14mm

絞り開放からほぼ問題ありません。

18mm

広角端に近い影響度合い。絞ると改善しますが、回折発生までの絞りに余裕がありません。

球面収差

前後のボケ質に大きな違いは無いように見えます。

まとめ

手ごろな価格で小型軽量なエントリー超広角ズームながら、倍率色収差はズーム全域で良好に補正されています。レンズ補正に依存しないクリアな画質で、フレーム隅の細部まで良好なでディテールを維持。3000万画素のEOS R7でも十分に満足のいく画質です。極端な歪曲収差には注意が必要。純正ソフトや主要な社外製の現像ソフトは補正に対応しているものの、補正用プロファイルが無い環境では歪曲収差の修正が非常に厳しい。小型軽量・低価格・高画質を実現するために犠牲となっているのが歪曲収差の補正状態に見えます。

購入早見表

作例

オリジナルデータはFlickrにて掲載

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