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RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM レンズレビューVol.4 ボケ編

キヤノン「RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STM」のレビュー第四弾を公開。今回は前後のボケ質差や玉ボケの形状と絞り羽根の影響、撮影距離を変化した場合のボケ質などをチェックしています。

RF-S10-18mm F4.5-6.3 IS STMのレビュー一覧

前後ボケ

綺麗なボケ・騒がしいボケとは?

ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。

実写で確認

前後のボケ質に顕著な差は見られず、ニュートラルな描写。ボケを大きくできるレンズではないものの、使い勝手は良いようです。軸上色収差による色づきはありません。

玉ボケ

口径食・球面収差の影響

口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。

口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。

球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。

10mm

1枚の非球面レンズを使用していますが、いわゆる玉ねぎボケの影響はありません。これはPMo非球面レンズを使用しているためと思われます(他のPMo非球面使用のRFレンズもボケが綺麗)。滑らかな描写ですが、玉ボケの周辺にわずかな縁取りがあり、フレーム周辺部では倍率色収差の影響が目立ちます。あくまでもこれはカメラ出力のJPEGであり、補正をオフにしたRAW現像では以下の通り。歪曲収差の補正がオフになると、トリミングされるはずの四隅を確認することが出来ます。口径食は穏やかですが、イメージサークルの端では強めの変形が見られます。
面白いことに、JPEGでは見られたフレーム周辺部の色ずれがありません。なぜこのような結果となるのか不明。

14mm

基本的に10mmと同じ傾向。ボケは綺麗で縁取りは目立ちません。手ごろな価格のコンパクトな広角ズームの描写としては評価できる結果。

18mm

縁取りがやや強めですが、その他はまずまず良好。

ボケ実写

10mm

「10mm F4.5」では質感を評価するほどボケが大きくなりません。細部をよく見ると少し騒がしいと感じるかもしれませんが、全体像からすると無視できる範囲内。どうしても気になる場合はF8くらいまで絞るとほぼ問題ありません。撮影距離が長くなると、さらにボケが小さくなります。

18mm

焦点距離は10mmと比べて長くなるものの、開放F値「F6.3」では接写時でもボケが小さい。やはり質感を評価するほどの規模ではないように見えます。

ポートレート

全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。10mm F4.5で全身をフレームに入れると背景までピントが合っているように見えます。十分なボケを得るには顔面に近寄る必要があります。
18mm F6.3でもフレームを全身に入れる場合は後ボケがほぼ皆無。少なくともバストアップ、できれば顔のクローズアップまで近寄りたいところ。

10mm

18mm

まとめ

手ごろな価格で小型軽量な広角ズームレンズのボケとしては悪くない描写。とは言え、これを実写で活かせるシーンはそう多くありません。特に10mm F4.5は被写体から少し離れるとボケがあっという間に小さくなってしまいます。花や昆虫など、小さな被写体を撮影しない限りボケは期待しない方が良いでしょう。

購入早見表

作例

オリジナルデータはFlickrにて掲載

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