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TTArtisan 100mm F2.8 2X Macro レンズレビューVol.4 諸収差編

銘匠光学「TTArtisan 100mm F2.8 2X Macro」のレビュー第四弾 諸収差編を公開。全体的にまずまず良好な補正状態で、これと言って大きな問題はありません。

簡易的なまとめ

製品提供を受けている

このレビューは焦点工房より無償提供された製品を使用しています。金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。無料であること、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。

簡易的なまとめ

マクロレンズらしく安定感のある収差補正で、目立つ欠点はありません。あえて言えば、望遠レンズとしてはコマ収差が目立つため、抑えるためには2段~3段絞る必要があることくらい。目立ちやすい色収差や歪曲収差は良く抑えられています。
球面収差はボケの味付け程度に残存していますが、遠景では若干のコントラスト低下に影響しています。ベストを尽くす場合は2段ほど絞ることで改善。フォーカスシフトに極端な影響は見られないため、F2.8のピント合わせ後に絞ったとしても大きな問題は無いはず。

Product supplied by.

This review uses products provided free of charge by SHOTEN KOBO. I would like to state clearly at the outset that there was no exchange of money or instructions regarding the content of the review. Although it is impossible to deny the unconscious bias of the fact that the products are free and not purchased, I have tried to give as objective an evaluation as possible.

Brief summary

The lens has a stable aberration correction that is typical of macro lenses, and there are no noticeable flaws. If anything, the coma aberration is noticeable for a telephoto lens, so you may need to stop down two or three stops to suppress it. Chromatic aberration and distortion, which are easy to notice, are well suppressed.
Spherical aberration is present to a degree that gives the image a soft focus look, but it does have a slight effect on contrast in the background. If you want to get the best results, you can improve the image by stopping down the aperture by two stops. There is no extreme effect on focus shift, so there should be no major problems even if you stop down the aperture after focusing at F2.8.

TTArtisan 100mm F2.8 2X Macroのレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

F2.8から中央・隅までピントが合っているように見えます。像面湾曲の目立つ影響はありません。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

僅かに残存しているものの、絞り全域で倍率色収差の顕著な影響はありません。残る収差もカメラや現像ソフトで簡単に修正することが出来ます。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

軸上色収差はほぼゼロまで良く抑えられています。残る色収差が実写で悪影響を及ぼす可能性はほとんどないと思われます。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

直線的な被写体をフレーム周辺に配置しても目立つ影響はありません。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

僅かに残存する程度ですが、F4くらいまでは点光源の変形が残ります。

球面収差

前後のボケ質に違いが発生する程度には球面収差が残っています。軸上色収差のテストを見る限り、フォーカスシフトに関して顕著な影響はありません。撮影距離によるのかもしれませんが…。

まとめ

マクロレンズらしく安定感のある収差補正で、目立つ欠点はありません。あえて言えば、望遠レンズとしてはコマ収差が目立つため、抑えるためには2段~3段絞る必要があることくらい。目立ちやすい色収差や歪曲収差は良く抑えられています。

球面収差はボケの味付け程度に残存していますが、遠景では若干のコントラスト低下に影響しています。ベストを尽くす場合は2段ほど絞ることで改善。フォーカスシフトに極端な影響は見られないため、F2.8のピント合わせ後に絞ったとしても大きな問題は無いはず。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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