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VILTROX AF 28mm F4.5 レンズレビューVol.3 諸収差編

「VILTROX AF 28mm F4.5」のレビュー第三弾 諸収差を公開。極端な弱点は無く、全体的に許容範囲内に収まっています。ただし、像面湾曲を改善することができないため、遠景のパンフォーカスとは相性が悪い。

簡単なまとめ

製品提供を受けている

このレビューはPERGEARより無償提供された製品を使用しています。金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。無料であること、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。

簡易的なまとめ

小型軽量で低価格の28mmレンズながら、極端な欠点はありません。色収差は良く抑えられているし、球面収差やコマ収差は許容範囲内。「F4.5」固定絞りながら、それで不便と感じることは多くありませんでした。

Despite being a small, lightweight, low-priced 28mm lens, it has no major drawbacks. Chromatic aberration is well controlled, and spherical and coma aberration are within acceptable limits. Despite having a fixed aperture of F4.5, I didn't find it inconvenient in many situations.

VILTROX AF 28mm F4.5のレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

左がフレーム中央でピント合わせ
右がフレーム隅でピント合わせ

ご覧のように、隅にピントを合わせると隅の画質が改善します。ただし、中央や周辺がピントの山から外れて画質が低下。代償を考慮すると現実的とは言えず、中央ピント合わせで隅のソフトな部分をトリミングするのが無難。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で

補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

色収差が少し残っていますが、許容範囲内。
レンズの価格やサイズを考慮すると健闘しているように見えます。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

軸上色収差による問題は全くありません。F4.5固定のレンズですが、軸上色収差に関して絞る必要なし。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

スライドショーには JavaScript が必要です。

補正無しで僅かな糸巻き型。Lightroomのプロファイルを適用すると何故か隅が過補正気味となるので注意。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

完璧からは程遠いですが、「極小ボディキャップレンズの28mmフレーム隅」としては良好にすら見えます。

球面収差

大きな問題はありません。

まとめ

小型軽量で低価格の28mmレンズながら、極端な欠点はありません。色収差は良く抑えられているし、球面収差やコマ収差は許容範囲内。「F4.5」固定絞りながら、それで不便と感じることは多くありませんでした。

歪曲収差の補正状態もまずまず良好で、いざとなればLightroomなどに補正用のプロファイルが用意されています。

解像性能編と同じく、注意すべき点があるとしたら像面湾曲。遠景の撮影時にフレーム端・隅がピントから外れ、少しソフトな画質になる。絞り固定のため改善することが出来ず、対策は周辺をトリミングすることくらい。目立たない程度の領域なので、細かいことを気にしなければ許容範囲内。

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作例

オリジナルデータはFlickrにて公開

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