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VILTROX AF 56mm F1.7 X-mount レンズレビューVol.5 諸収差編

「VILTROX AF 56mm F1.7」のレビュー第五弾を公開。低価格の大口径レンズながら全体的に良好な収差の補正状態で、特に軸上色収差が綺麗に補正されている点に驚きました。

簡易的なまとめ

製品提供を受けている

このレビューはPERGEARより無償提供された製品を使用しています。金銭の授受やレビュー内容の指示は一切ないことを最初に明言しておきます。無料であること、購入した製品ではないことに対する無意識のバイアスは否定できませんが、できるだけ客観的な評価を心がけています。

簡易的なまとめ

2万円ちょっとの手頃な大口径レンズですが、諸収差は思いのほか良くまとまっています。特に軸上色収差の補正状態が良く、ボケに色づきが目立たないのがGood。接写時に球面収差の変動がありますが、これは柔らかいボケ質が得られる微妙な収差量で許容範囲内。ただし、ピントの山を正確に狙いたい場合はフォーカスシフトに注意。

VILTROX AF 56mm F1.7のレビュー一覧

像面湾曲

像面湾曲とは?

ピント面が分かりやすいように加工しています。

中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。

最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。

ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

よく見ると僅かに影響が残っているものの、ほぼ無視できる範囲内に収まっているように見えます。

倍率色収差

倍率色収差とは?

主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

フレーム隅をよく見ると、倍率色収差がわずかに残存しています。目立たないシーンが多いと思いますが、コントラストの高いシーンでは少し目立つ可能性あり。

軸上色収差

軸上色収差とは?

軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。

参考:ニコン 収差とは

実写で確認

低価格のF1.7レンズとしては驚くほど良好な補正状態です。わずかに残存していますが、大部分のシーンで問題とならない可能性が高い。

歪曲収差

歪曲収差とは?

歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。

参考:ニコン 収差とは

比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。

実写で確認

スライドショーには JavaScript が必要です。

ごく僅かな糸巻き型であり、実写ではそのままでも目立たないシーンが多いはず。修正する場合は現像ソフトのスライダーで簡単に修正が可能。

コマ収差

コマ収差・非点収差とは?

コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。

参考:ニコン 収差とは

絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。

実写で確認

部分的に点光源が変形しているようにも見えますが、それはピント外の背景である点に留意してください。ピント無いの点光源については特に大きな問題はありません。

球面収差

少なくとも近距離では球面収差が残存しており、前後のボケ質に変化が発生しています。

近距離ではフォーカスシフトの兆候も見られ、特にF1.7とF2.0の間で顕著。

まとめ

2万円ちょっとの手頃な大口径レンズですが、諸収差は思いのほか良くまとまっています。特に軸上色収差の補正状態が良く、ボケに色づきが目立たないのがGood。接写時に球面収差の変動がありますが、これは柔らかいボケ質が得られる微妙な収差量で許容範囲内。ただし、ピントの山を正確に狙いたい場合はフォーカスシフトに注意。幸いにも、フォーカスシフトの影響が見られるのは近距離のみで、遠景で問題となることはありません。像面湾曲やコマ収差も良く抑えられているため、F1.7の明るさを活かした低照度撮影などにも使えると思います。

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