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ニコン Z f レビュー Vol.3 ダイナミックレンジ編

ニコン「Z f」のレビュー第三弾を公開。今回は従来の撮影環境でカメラのRAWファイルがどれほど柔軟性(露出アンダーやオーバーからの回復)があるのか確かめています。

Z f のレビュー一覧

ダイナミックレンジ

さくっとまとめ

基本的には従来の裏面照射型 2400万画素CMOSセンサーとよく似た画質であり、大きな変化はないように見えます。大きな変化はありませんが「従来通りの良好な性能」と言えるでしょう。高効率RAWは大きな画質低下を伴わずにファイルサイズの圧縮が可能。競合他社に同様の機能を持つ2400万画素機は存在しておらず、Z fの強みとなる。

撮影環境

  • 照明:NALITE PavoTUBE 6C II
    ・CCTモード 100%
  • レンズ:SIGMA 70mm F2.8 DG HSM
  • 露出:ISO 100 F5.6 固定 1/160s ~ 6s (-5EV ~ +5EV)
  • 三脚:Leofoto Summit LM-363C
  • 雲台:Leofoto G4
  • RAW現像:Adobe Lightroom Classic CC
    ・シャープネスオフ
    ・ノイズリダクションオフ
    ・レンズ補正オフ

RAW

Z fは従来の「ロスレス圧縮」「圧縮」「非圧縮」の3択ではなく、「ロスレス圧縮」「高効率★」「高効率」の3種類を利用可能。「非圧縮」の選択肢はなくなってしまいましたが、効果的にファイルサイズを圧縮することができる「高効率RAW」2種類が特徴的。同じシチュエーションでファイルサイズを見比べた結果が以下の通り。

  • ロスレス圧縮RAW:27.0MB
  • 高効率★ RAW:17.0MB
  • 高効率 RAW:11.2MB
  • JPEG Fine L:10.8MB
  • LUMIX S5II RAW:27.5MB
  • EOS R8 RAW:21.9MB
  • EOS R8 圧縮RAW:9.71MB

ロスレス圧縮RAWは(同じ2400万画素センサーの)LUMIX S5IIのRAWとほぼ同じ。ただし、高効率RAWはファイルサイズが小さく、特に「高効率RAW」はJPEGのファイルサイズに近いところまで圧縮しています。ストレージを圧迫しないという点において、高効率RAWの有用性は高いように見えます。

高効率★RAWは高効率RAWよりもファイルサイズが大きくなりますが、ニコン曰く、高効率RAWよりも高画質であるとのこと。具体的にどのような点で優れているのかは不明。EOS R8の「圧縮RAW」はファイルサイズをかなり小さくすることができますが、暗部のノイズが増加するので諸刃の剣。

ロスレス圧縮RAW

他社と比べると極わずかに白飛びしやすいものの、これはニコン機全般に言えることであり、Z fに限った話ではありません。また、気にするほどの差でも無し。カメラ設定値のISOが実効ISOに比較的忠実であると思われます。

全体的な性能は、この価格帯の2400万画素 裏面照射型CMOSセンサーでよく見る結果とほぼ同じ。特筆すべき結果ではないものの、期待通りの性能を発揮するはず。

高効率RAW★

ロスレス圧縮RAWよりも圧縮率の高いRAWですが、暗部のノイズに大きな変化はありません。白飛びの閾値は同じ。じっくり比較してみるとわずかにノイズが増えているものの、実写で心配するほどの差ではないように見えます。

高効率RAW

(「EV-4」のRAWデータが破損して使えなくなっていました)
圧縮率が非常に高いRAWファイルですが、白飛びの閾値は他のRAWと同じ。全体的に顕著な画質低下はありません。よく見ると暗部のノイズがやや強く、カラーノイズでコントラストが低下しているように見える可能性あり。多くの撮影ではロス(ノイズ微増)よりベネフィット(ファイルサイズ大幅減)が上回ると思われます。

参考 LUMIX S5II

全体的な傾向はZ fと同じですが、白飛びの閾値は僅かに良好。S5IIにはZ fのような圧縮RAWの選択肢がないので、ファイルサイズは大きめ。

参考 Z 8

Z fと同じく、僅かに白飛びしやすい傾向が見られます。高解像センサーのわりには広いダイナミックレンジを備えています。やはり高効率RAWはロス少なめでファイルサイズは大幅減。ファイルサイズが大きなZ 8のほうが高効率RAWの恩恵を受けやすい印象。

参考 EOS R8

キヤノンのダイナミックレンジが狭かったのはもはや過去の話。ソニーやニコンの最新センサーと比べて、少なくとも低ISOで顕著な差は無いように見えます。(よく見ると若干多い)

圧縮RAWはファイルサイズを大幅に低減することができるものの、暗部のノイズは目に見えて増加します。これを見た後にZ fの高効率RAWを確認すると、「確かに高効率だ」と感じます。

まとめ

基本的には従来の裏面照射型 2400万画素CMOSセンサーとよく似た画質であり、大きな変化はないように見えます。大きな変化はありませんが「従来通りの良好な性能」と言えるでしょう。

敢えて言えば、幅広いダイナミックレンジの結果を殆ど損なうことなく、効果的にファイルを圧縮することができる「高効率RAW(★)」はZ fの強み。このような圧縮方法を備えている2400万画素機は他社を含めて他に選択肢がありません。キヤノンやソニーは圧縮RAWの選択肢があるものの、暗部へのダメージは高効率RAWよりも大きい。

高効率RAWは暗部の僅かなノイズ増が確認できるものの、日常の撮影で特に心配する必要はないと思われます。高効率RAW★で積極的にストレージの節約をするのも大いにあり。

参考情報

購入早見表

作例

Flickrにてオリジナルデータを公開

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