【評価･作例】ニコワンのポートレートレンズならこれだ『1 NIKKOR 32mm f/1.2』

1型センサーのデジタルカメラでは類を見ない大口径レンズ。そのF値は1.2と非常に明るく、小型な１型センサーながら大きいボケを演出する事が出来る。

35判換算で86mmという焦点距離からも分かるように、ポートレート向けのレンズに仕上がっている。ボケ量はフルサイズの85mmF1.2と比べてしまうと雲泥の差があるものの、暗所での高速シャッターと適度な被写界深度を稼げると言う意味合いでは1型センサーの方が秀でている。

ローライトなポートレートで適度な被写界深度を稼ぎたい時には特に効果的だ。ボケ量が必要な場合には被写体との距離で調整しよう。

さらに、フルサイズ機には出来ない高速電子シャッターが搭載されている機種が多い。その点を活かして絞り開放で撮影出来れば大型センサーとの差を縮めることが出来るだろう。

このレンズは中望遠の大口径レンズだが、フルサイズのように開放で収差を残した柔らかい（言い換えればやや甘い）描写では無い。開放からキレのあるシャープな画像を得ることが出来る、さながらマクロレンズのようなキレ味を見せてくれる。とは言え、近接撮影ではやや描写の甘さを感じるのでその場合には1段程度絞ってやるとかなり安定した描写になる。

1 NIKKORレンズとしては珍しく、ナノクリスタルコートを採用しており逆光耐性は非常に良好。さらに、1 NIKKORとしては初となるフォーカスリングを搭載しているので、ピントの追い込みも可能だ。バイワイヤ方式の為、機械的な接点があるレンズと比べるとフィーリングに違和感がある。AF時のマニュアル操作はシャッター半押しの時しか利かないので注意。

ニコンワンをメインカメラとするユーザーであれば、是非とも携帯しておきたいナイスなレンズ。