このページでは「AstrHori 120mm F2.8 Macro 2X」のレビューを掲載しています。
おことわり
今回は2ndFocusより無償貸与の「AstrHori 120mm F2.8 Macro 2X」を使用してレビューしています。提供にあたりレビュー内容の指示や報酬の受け取りはありません。従来通りのレビューを心がけますが、無意識にバイアスがかかることは否定できません。そのあたりをご理解のうえで以下を読み進めてください。
AstrHori 120mm F2.8 Macro 2Xのレビュー一覧
- AstrHori 120mm F2.8 Macro 2X レンズレビュー完全版
- AstrHori 120mm F2.8 Macro 2X レンズレビューVol.4 諸収差編
- AstrHori 120mm F2.8 Macro 2X レンズレビューVol.3 ボケ編
- AstrHori 120mm F2.8 Macro 2X レンズレビューVol.2 解像チャート編
- AstrHori 120mm F2.8 Macro 2X レンズレビューVol.1 外観・操作編
管理人の評価
ポイント | 評価 | コメント |
価格 | 高くはない | |
サイズ | 一般的なサイズ | |
重量 | 金属鏡筒が重い | |
操作性 | マクロ以外のMF操作が難しい | |
解像性能 | マクロ以降は周辺や隅が低下 | |
ボケ | マクロ以降で非常に柔らかい後ボケ | |
色収差 | とても良好な補正状態 | |
歪曲収差 | 良好な補正状態 | |
コマ収差・非点収差 | マクロ以降でやや目に付く | |
周辺減光 | 大きな問題無し | |
逆光耐性 | 状況によって目立つ | |
満足度 | 2倍マクロ特化のレンズ |
評価:
2倍マクロ特化のレンズ
光学性能や操作性が2倍マクロ側に寄っており、一般的な撮影距離では扱い辛いレンズとなっています。マクロ撮影時は価格を考慮すると良好な結果が得られますが、長くて重い鏡筒がフロントヘビーとなり、三脚リングがないことでバランスを取りづらいのが悩ましいところ。柔らかい後ボケを活かしたポートレートレンズとして活かせる部分もありますが、この場合はフォーカスリングの短いストロークが厄介となります。
The optical performance and operability are twice as good on the macro side, making this lens difficult to handle at typical shooting distances. When shooting macro, you can get good results considering the price, but the long, heavy lens barrel is front-heavy, and the lack of a tripod ring makes it difficult to balance the lens, which is a problem. There are also parts where you can use it as a portrait lens that makes use of the soft background blur, but in this case, the short stroke of the focus ring becomes a nuisance.
Index
まえがき
2024年夏に発売したAstrHori製の望遠マクロレンズ。中国レンズメーカーのマクロレンズとしては焦点距離が比較的長めで、ワーキングディスタンスを長めに取りつつ高い倍率の撮影が可能となっています。フルサイズミラーレス4マウントに対応するほか、一眼レフのEFマウント用のラインアップあり。電子接点のないフルマニュアルのレンズですが、三脚に搭載した状態でのマクロ撮影ならば気にならないかもしれません。
- 2ndfocus
- 焦点工房
- 最新情報まとめ
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- フォーマット:フルサイズ
- マウント:E / RF / Z / L / EF
- 焦点距離:120mm
- 絞り値:F2.8-F22
- 絞り羽根:13枚
- レンズ構成:9群14枚
- 最短撮影距離:0.3m
- 最大撮影倍率:2倍
- フィルター径:72mm
- サイズ:φ77×165mm
- 重量:930g
- MF限定
- アクセサリ用ネジ穴
9群14枚のレンズ構成には4枚のEDレンズと3枚の高屈折率レンズを使用。手頃な価格の120mmマクロレンズとしてはEDレンズの使用数が多く、良好な光学性能を期待したいところ。MTFを見る限りではマクロの撮影距離を重視した光学設計となっており、特に2倍マクロ時に高いパフォーマンスを発揮するように設計しているように見えます。
価格のチェック
国内での販売価格は6万円前後。電子接点無しのレンズとしては安くない価格設定ですが、フルサイズ用の2倍マクロレンズとしては手頃な価格。競合レンズは銘匠光学「TTArtisan 100mm F2.8 MACRO 2X」で、焦点距離が異なるものの、同じ価格帯で2倍マクロに対応しています。
また、LマウントやEマウントではシグマ「105mm F2.8 DG DN MACRO」を8万円台で入手可能。AstrHoriは2倍マクロや120mmの焦点距離を必要としない限り苦しい戦いとなりそうです。ただ、キヤノンEFマウントは競合製品が少なく(TTArtisanくらい)、貴重な存在となるはず。
レンズレビュー
外観・操作性
箱・付属品
黒を基調とした箱にレンズの焦点距離やF値、レンズの図面がプリントされています。レンズ本体は発泡素材に包まれた状態で収納。
説明書など書類を除くと、レンズ本体と前後キャップのみ。レンズポーチやフードはありません。
外観
鏡筒は全体的に金属パーツを使用した頑丈な作り。930gと重いのが悩ましいところですが、しっかりとした作りに違いありません。とはいえ、三脚座がないため、カメラ側の三脚ネジ穴で固定するとフロントヘビーとなる可能性あり。
ピント距離指標や被写界深度の表示は白字でプリント。AstrHoriのロゴの一部や焦点距離、撮影倍率の表示は加工された上から赤色の塗装が施されています。フォーカスリングや絞りリングも金属製で、表面はゴムカバーではなくローレット加工でグリップを強化。
レンズ先端にはTTArtisanと同じくコールドシューアダプターを装着可能と思われるネジ穴があります。ただし、レンズにアダプターは付属していません。
ハンズオン
ライカLマウント用のため、絞りリングからレンズマウントまでが(EFマウント用と比較して)長め。500mlのペットボトルサイズですが、AFや手振れ補正に非対応のためか細く長い鏡筒となっています。ただし、金属製外装でやや重め。レンズの直径はマウント側から先端までほぼ一貫しており、すっきりとした外観となっています。
前玉・後玉
レンズ最前面は鏡筒先端付近に固定されています。これが保護ガラスなのか、光学系の一部なのか不明おそらく保護ガラスだと思いますが、気軽に交換できるものではありません。フッ素コーティング処理の記載はないため、ダメージが想定されるシーンでは保護フィルターを装着しておいたほうが良いでしょう。レンズは72mm径の円形フィルターに対応しています。
フォーカスリングを無限遠側に設定すると、光学系が全体的にレンズ中央へ移動します。内部は反射を抑えるためにマットブラックの塗装。
レンズマウントは3本のビスで固定。通信用の接点や防塵防滴のシーリングはありません。光学系最後尾のレンズはフォーカシングによって前後へ移動します。
フォーカスリング
金属製の幅広いフォーカスリングを搭載。適度な抵抗感で滑らかに回転しますが、最短撮影距離から無限遠までのストロークが約135度と短め。その大部分は2倍から等倍までの撮影距離をカバーしており、等倍から無限遠までのストロークは45度くらいしかありません。さらに1mから無限遠までが非常に短く、(被写界深度の浅い)120mmの焦点距離を考慮すると快適なフォーカシングからは程遠いと言わざるを得ません。
絞りリング
1段刻みでクリックストップのある金属製絞りリングを搭載。TTArtisanと比べるとクリック時の抵抗感が小さく、クリックレスに近い感覚で操作可能。クリックレスへの切り替えには対応していません。絞り値の中間でも固定可能。
装着例
LLUMIX S5IIに装着。ミラーレスカメラとしては中程度のボディサイズですが、120mmマクロレンズを装着するとボディが小さく見えます。バランスが悪いとまでは言いませんが、良くはありません。特にパナソニックは非常にコンパクトな「LUMIX S 100mm F2.8 Macro」があるため、携帯性や取り回しを重視する際はAstrHoriを選ぶ必然性は手頃な価格と2倍マクロくらい。
三脚搭載時はフロントヘビー不可避で、重量を支えることができる頑丈な雲台が必要となるでしょう。無限遠時は光学系がボディ寄りとなるものの、2倍マクロ時は光学系が移動し、重心が前方へシフトします。
ブリージング
ブリージングとはピント位置によって画角が変化することを指します。画角の変化が大きいと、フォーカシングで画角が広がったり狭くなったりするので気が散ったり、AFが不安定化する原因となります。出来ればフォーカシングブリージングは無い方が良い。今回はブリージングの影響を確認するために、レンズを最小絞りまで絞り、最短撮影距離・等倍・1m・無限遠で撮影した結果が以下の通り。
マクロレンズらしく、ピント位置によって画角が大幅に変化します。
解像力チャート
撮影環境
テスト環境
- カメラボディ:LUMIX S9
- 交換レンズ:AstrHori 120mm F2.8 Macro 2X
- パール光学工業株式会社
「【HR23348】ISO12233準拠 8K解像力テストチャート(スチルカメラ用)」 - オリンパス HYRes 3.1 解析ソフト
- 屋内で照明環境が一定
- 三脚・セルフタイマー10秒・電子シャッター
- RAW出力
- ISO 100 固定
- Adobe Lightroom Classic CCでRAW現像
・シャープネス オフ
・ノイズリダクション オフ
・色収差補正オフ - 解析するポイントごとにピントを合わせて撮影
(像面湾曲は近接で測定が難しいので無限遠時にチェック) - 近接でのテストであることに注意(無限遠側はさらに良好となる可能性あり)
補足
今回はRAW出力を元にしてシャープネスをオフの状態で検証。ボディ出力のJPEGやRAW現像でシャープネスを整えるとより数値が向上する可能性あり。今回の数値はあくまでも「最低値」とお考え下さい。
テスト結果
通常撮影
絞り開放の隅に若干の低下が見られるものの、F2.8から良好な結果が得られています。パナソニックやシグマのマクロレンズと比べるような性能ではないものの、これで十分という人も多いと思います。実写で確認するとF2.8が少し低コントラストですが、絞ると改善します。全体的にF5.6以降でピークとなり、回折の影響が強くなるF11以降で徐々に低下。
ハイレゾモード
F2.8-4の場合は9600万画素を活かしきれないものの、F5.6まで絞ると解像チャートの限界まで測定可能となっています。少なくとも中央はハイレゾモードの恩恵が大きい。周辺部はF2.8で伸び悩むものの、F5.6まで絞ると中央に近い結果を得ることができます。隅は絞ってもあまり改善しません(ただし、F2.8の数値が何故か良くなっています)。
中央
周辺
四隅
数値確認
2400万画素
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F2.8 | 3321 | 2659 | 2095 |
F4.0 | 3005 | 2953 | 2879 |
F5.6 | 3307 | 3452 | 3014 |
F8.0 | 3413 | 3440 | 2953 |
F11 | 3280 | 3387 | 2789 |
F16 | 2880 | 3058 | 2912 |
F22 | 1926 | 1906 | 1977 |
9600万画素 ハイレゾ
中央 | 周辺部 | 四隅 | |
F2.8 | 4400 | 3036 | |
F4.0 | 4574 | 3163 | 3131 |
F5.6 | 4789 | 4200 | 3192 |
F8.0 | 4805 | 4347 | 3576 |
像面湾曲
像面湾曲とは?
中央から四隅かけて、ピントが合う撮影距離が異なることを指しています。例えば、1mの撮影距離において、中央にピントが合っていたとしてもフレームの端では1mの前後に移動している場合に像面湾曲の可能性あり。
最近のレンズで目立つ像面湾曲を残したレンズは少ないものの、近距離では収差が増大して目立つ場合があります。と言っても、近距離でフラット平面の被写体を撮影する機会は少ないと思われ、像面湾曲が残っていたとしても心配する必要はありません。
ただし、無限遠でも影響がある場合は注意が必要。風景など、パンフォーカスを狙いたい場合に、意図せずピンボケが発生してしまう可能性あり。この収差は改善する方法が無いため、F値を大きくして被写界深度を広げるしか問題の回避手段がありません。
実写で確認
2倍マクロ時も像面湾曲は良好に補正されています。ピント面は平坦で極端な湾曲はありません。
倍率色収差
倍率色収差とは?
主にフレームの周辺部から隅に現れる色ずれ。軸上色収差と異なり、絞りによる改善効果が小さいので、光学設計の段階で補正する必要があります。ただし、カメラ本体に内蔵された画像処理エンジンを使用して、色収差をデジタル補正することが可能。これにより、光学的な補正だけでは難しい色収差の補正が可能で、最近では色収差補正の優先度を下げ、他の収差を重点的に補正するレンズも登場しています。特にミラーレスシステムでは後処理に依存する傾向あり。
実写で確認
倍率色収差は良好な補正状態。絞り全域で目立つことはありません。
軸上色収差
軸上色収差とは?
軸上色収差とはピント面の前後に発生する色ずれ。ピントの手前側は主にパープルフリンジとして、ピントの奥側でボケにグリーンの不自然な色付きがあれば、その主な原因が軸上色収差と考えられます。F1.4やF1.8のような大口径レンズで発生しやすく、そのような場合は絞りを閉じて改善する必要があります。現像ソフトによる補正は可能ですが、倍率色収差と比べると処理が難しく、できれば光学的に収差を抑えておきたいところ。ただし、大口径レンズで軸上色収差を抑える場合は製品価格が高くなる傾向があります。軸上色収差を完璧に補正しているレンズは絞り開放からピント面のコントラストが高く、パンチのある解像感を期待できます。
実写で確認
軸上色収差はとても良好な補正状態。F2.8から大きな問題はありません。
歪曲収差
歪曲収差とは?
歪曲収差とは、平面上で直線的に写るはずが直線とならずに歪んでしまうこと。特に直線が多い人工物や水平線が見えるような場合に目立ちやすく、魚眼効果のような「樽型歪曲」と中央がしぼんで見えてしまう「糸巻き型歪曲」に分かれています。
比較的補正が簡単な収差ですが、「陣笠状」など特殊な歪みかたをする歪曲は手動での補正が難しい。この場合はレンズに合わせた補正用プロファイルが必要となります。
実写で確認
僅かな糸巻き型の歪曲収差が発生しています。レンズプロファイルがないため、現像ソフトで手動補正が必要です。
コマ収差
コマ収差・非点収差とは?
コマ収差・非点収差とは主にフレーム四隅で点像が点像として写らないこと。例えば、夜景の人工灯や星、イルミネーションなど。日中でも木漏れ日など、明るい点光源で影響を受ける場合あり。この問題は後処理が出来ないため、光学的に補正する必要あり。
絞ることで改善するものの、夜景や天体撮影など、シャッタースピードが重要となる状況では絞ることが出来ず、光学的な補正が重要となる場合もあります。
実写で確認
マクロレンズとしては少し目立つコマ収差が発生しています。しかし、小さい画像サイズであれば問題無く、隅の拡大やクロップを必要としなければ問題ありません。
球面収差
前後のボケ質が大きく異なり、球面収差の補正状態があまり良くないことが分かります。ポートレートレンズとしては一つの選択肢だと思いますが、F2.8からコントラストの高い結果を期待する場合には厄介な収差です。これを改善するには絞る必要があります。
前後ボケ
綺麗なボケ・騒がしいボケとは?
ボケの評価は主観的となりがちですが、個人的には「滲むように柔らかくボケる」描写が綺麗と評価し、逆に「急にボケ始めたり、ボケの輪郭が硬い」描写は好ましくない(もしくは個性的な描写)と定義しています。ただし、感じ方は人それぞれなので、ひょっとしたら逆のほうが好ましいという人もいることでしょう。参考までに「滲むボケ」「輪郭の硬いボケ」のサンプルが以下のとおり。描写傾向の違いは主に球面収差の補正状態によるもの、前後どちらかのボケが柔らかい場合はもう片方のボケが硬くなる傾向があります。
後ボケ
残存する球面収差の影響で滲むように柔らかい後ボケ。ボケの縁取りは全く目立たず、輪郭が溶けるようにだボケていく描写。
前ボケ
後ボケとは打って変わって縁取りが強い騒がしい描写。
玉ボケ
口径食・球面収差の影響
口径食が強いと、フレーム四隅のボケが楕円状に変形したり、部分的に欠けてしまいます。この問題を解消するには絞りを閉じるしか方法がありません。しかし、絞るとボケが小さくなったり、絞り羽根の形状が見えてしまう場合もあるので状況に応じて口径食を妥協する必要あり。
口径食の影響が少ないと、絞り開放から四隅まで円形に近いボケを得ることが可能。できれば口径食の小さいレンズが好ましいものの、解消するには根本的にレンズサイズを大きくする必要があります。携帯性やコストとのバランスを取る必要があり、どこかで妥協が必要。
球面収差の補正が完璧では無い場合、前後のボケ描写に差が発生します(前後ボケのレビューで示した通り)。この場合はどちらかが滲みを伴う滑らかな描写になり、反対側で2線ボケのような硬い描写となってしまいます。
実写で確認
縁取りが弱く、滑らかな玉ボケ。口径食の影響が若干あるものの、気にならない程度。F5.6で隅まで円形。
ボケ実写
至近距離
撮影距離が短く、ボケが大きい場合に欠点は見当たりません。ピント面から背景へのグラデーションは滑らかで綺麗。
近距離
撮影距離が少し長い場合も綺麗で滑らかな描写。若干の口径食はあるものの問題なし。色収差も良く抑えられています。
ポートレート
全高170cmの三脚を人物に見立て、絞り開放(F2.8)で距離を変えながら撮影した結果が以下の通り。球面収差のためかコントラストはやや低め。ただし、滲むようなボケとなり、全身をフレームに入れる際にも非常に柔らかく滑らかな描写。周辺は非点収差かコマ収差の影響が見られるものの、広い範囲は良好。撮影距離が短くなるほど欠点は抑えられ、隅まで良好な描写。
周辺減光
周辺減光とは?
フレーム周辺部で発生する不自然な光量落ち。
中央領域と比べて光量が少なく、フレーム四隅で露出不足となります。主に大口径レンズや広角レンズで強めの減光が発生。
ソフトウェアで簡単に補正できる現象ですが、露出不足を後処理の補正(増感)でカバーするため、ノイズ発生の原因となる点には注意が必要。特に夜景や星空の撮影などで高感度を使う場合はノイズが強く現れる可能性あり。
最短撮影距離
隅に減光が見られるものの、影響する範囲は狭い。絞りによる改善速度は遅く、数段絞ってもしつこく残ります。
無限遠
隅に減光効果は弱め。ただし、最短撮影距離よりも減光効果の影響範囲が広い。軽微な問題で無視できる程度。1段絞ると大きく改善します。
逆光耐性・光条
中央
フレーム全体のコントラストが大幅に低下するフレアは発生していないものの、部分的に虹色フレアが発生。光源周辺にも小さなフレアが発生しています。絞るとフレアは改善するものの、複数のゴーストが目立つ。
隅
光源を隅に移動させるとフレアの影響は軽微。絞った際のゴーストも無視できる程度に抑えられています。
光条
13枚の奇数絞りで、26本の光条が発生。F16付近でシャープな結果が得られるものの、それ以外の絞りでは平凡で目立たない描写。イルミネーションシーンのように光源の多い場所ではフレアの影響が強め。
まとめ
良かったところ
ココがおすすめ
- 金属製の頑丈な筐体
- インナーフォーカス
- マクロ域で像面湾曲がほとんど無い
- 優れた色収差補正
- 歪曲収差が少ない
- 中距離以降の柔らかいボケ
安定したパフォーマンスを期待できる等倍以上のマクロ撮影と、柔らかい後ボケが特徴的なポートレート撮影に適したレンズ。一般的なマクロレンズと異なり、撮影距離によって特性がガラッと変わる点に注意が必要なものの、撮影スタイルが適した人には丁度いいレンズとなるはず。
悪かったところ
ココに注意
- 長い金属鏡筒はフロントヘビー傾向
- バランスを取りやすい三脚リングなし
- 電子接点なし
- MFリングのストロークが短すぎる(特に遠側)
- 無限遠にピントが合わない
(2つのLマウント個体で確認) - 等倍以降の遠側は周辺や隅の性能が低下
- 中距離以降でコマ収差が少し目に付く
- 中距離以降で球面収差が目立つ
マクロ特化の設計は光学系のみならず。フォーカスリングもマクロ撮影に重点が置かれています。マクロ以外の撮影ではピント合わせが難しく、あまり適していません。ポートレートに使えそうな綺麗な後ボケが得られるだけに惜しい。
結論
「2倍マクロ」レンズを探している人にとって手頃な価格で堅実的な選択肢。
光学性能や操作性が2倍マクロ側に寄っており、一般的な撮影距離では扱い辛いレンズとなっています。マクロ撮影時は価格を考慮すると良好な結果が得られますが、長くて重い鏡筒がフロントヘビーとなり、三脚リングがないことでバランスを取りづらいのが悩ましいところ。柔らかい後ボケを活かしたポートレートレンズとして活かせる部分もありますが、この場合はフォーカスリングの短いストロークが厄介となります。
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作例
関連レンズ
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